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【経営学26】クラウドファンディングの類型解説(ファイナンス、ビジネスモデル分野)

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はじめに

パソコンでインターネットが使えるようになった頃のことって覚えていますか?🤔
Yahoo! JAPANの日本語版がリリースされたのが確か1996年なので、その頃が一般家庭でインターネットが普及し始めた時期です。
ちょうどたまごっちが流行っていた頃です😁
私はまだ小学生でした。

あれから25年が経ち、今やインターネットは全国民の8割以上に浸透しています。
若い世代では90%を超える普及率でしょう。
スマホ、PCを問わず、一日中インターネットに触れない日の方が珍しい(私はほぼ無い)くらいです。

そんな高度IT時代に生きる私達に、新しいファイナンス(資金調達)手段が発展してきています。
それが「クラウドファンディング」という手法です。
FinTech(ファイナンス+テクノロジー)の領域に属するこの資金調達手段は、元々は海外から入ってきたものですが、今や日本でもかなりの浸透度を誇っています。

そこで今日は、クラウドファンディングの類型についてご説明しましょう😁
少し難しいお話も含まれますが、明日使えるレベルまで簡易化して伝えられるよう努力しますのでぜひ最後までお付き合いください🎵


1.クラウドファンディングとは

クラウドファンディングとは、内田=林(2018)によると「不特定多数の人々から資金を募ること」をいうとされています。
具体的には、資金を必要とする人(法人含む)が、インターネット上で自己の行おうとしている事業や作ろうとしている商品等の告知を行い、そのアイデアや事業に賛同した人たちから資金を調達する仕組みのことをいいます。

ちなみに、“Crowdfunding” は、大衆や群衆を意味する「crowd」と資金調達を意味する「funding」を組み合わせた造語です。

クラウドファンディングの面白いところは、

  1. 広く一般個人に対し「資金調達」を呼びかけられるという点

  2. 個人であっても簡易な方法で「資金調達」ができてしまうという点

この2点です!

個人が広く一般に対し「こんな事業やりたいんでお金ください!」といえる時代になったのです。

これはもう革命に近いと思います😍
自分の脳内にあるアイデアが面白ければ、たとえ銀行がお金を貸してくれなくても、本人にお金が無くても、それに賛同してくれた人たちからお金を集め、現実化することができる。
そういう時代になったのです。
いろんな銀行に走り回って借り入れをしなくても、クラウドファンディングで集めちゃえばいい!
そんな素敵な時代が到来したといえます。

最近の事例としては、アニメ映画「この世界の片隅に」(2016年公開)が有名です。
本映画は、制作費をクラウドファンディングで集めたことで話題を集めまして、公開後には累計動員数200万人を突破し、興行収入25億9000万円を超えるロングヒット作品となりました。
Amazon Primeでも見れます!


実は私、大学院でクラウドファンディングの研究をメインでしていたのです。
大学院1年生の頃に『クラウドファンディングって実はとんでもない可能性を秘めているんじゃないか?』と思ってしまって、ほぼ丸2年間クラウドファンディングのことばかり調べてビジネスモデル論や経営戦略、法学の論文をかき集めて読んでいました🤣

結論からいうと、クラウドファンディングは今後の小規模な資金調達手段の主流の一つになるだろうと思いますし、一般投資家にとって有効な投資対象の一つになると考えています。
しかし、問題は山積みでございます😱


2.クラウドファンディングの類型

日本におけるクラウドファンディングの歴史はまだ浅く、クラウドファンディングの類型論も論者により様々ありまして、一般化されたものはまだございません。
また、現在日本では70社以上のクラウドファンディング事業者が存在していて、これからも新しい類型が出てくるものと考えられます。
そこで本記事では、比較的多くの論者が採用している購入型、寄付型、株式型、融資型(ソーシャルレンディング)の4類型分類で解説することにします😁
最近第5類型として不動産特定共同事業法の規制を受ける「不特法型」というものも出てきていますが、まだまだ発展途上なので一旦省きます。

ひとまずは主要な4類型を抑えておけば大丈夫です👍


(1)購入型とは

まず代表的な類型である購入型は、資金の提供者が、資金提供の対価として、資金調達者から何らかのモノやサービスの提供を受ける類型です。
簡単にいうと「対価(商品等)をもらう代わりにお金を出すモデル」です。
普通の対面での購入との違いは、先にお金を出して、後で対価(商品等)をもらうという点くらいで、実態としては受注生産方式の物品販売とほぼ同じです。

購入型は、現在のクラウドファンディングの類型の中では最も有名な類型であり、事業者の多くも購入型を運営しております。

また、購入型は、クラウドファンディングを行うためのプラットフォームをインターネット上に設立し、資金の提供者と資金の調達者をマッチングするビジネスモデルです。
このマッチングによって資金調達が成功した場合、当該調達額の10~20%が手数料として徴収されます。
この手数料がクラウドファンディング業者の売上となります😁

つまり、購入型クラウドファンディングの売上は、ファンドの成立数✕平均資金調達額✕手数料率ということになるので、ファンドの成立数と平均資金調達額を上げる施策をし続けないといけません。
購入型クラウドファンディングは、プラットフォーム型ビジネスモデルなので、規模(取り扱い高の規模)がKPIとなります。

そして、何をもって「成立」というかについて、2つの仕組みがあります。

それが
「All or Nothing型」

「All In型」
です。
基本的にはどちらかを選べるようになっています。

まず「All or Nothing型」は、資金調達者が資金調達の目標金額と募集期間を設定し、その募集期間内に、資金の調達額が目標金額に達した場合にのみ資金調達が可能となる類型です。
目標金額に到達した場合にのみお金が入ってくるので「オール・オア・ナッシングだ!」ということですね。

一方、「All In型」は、資金調達者が資金調達の目標金額と募集期間を設定し、その募集期間内に目標金額に達していない場合であっても資金調達が可能(出資された分を受け取ることができる)となる類型です。
要するにもらえるもんはもらっとけスタイルです。

なお、購入型クラウドファンディング事業を行う場合、特に法令上の許認可等は必要とされていないので、ある程度の資金力があれば誰でも始めることができるビジネスモデルとなっています😁
ゆえに、現在のクラウドファンディング市場は戦国時代です。
有名所でいうとマクアケさんが有名です。



(2)寄付型とは

寄付型とは、購入型と異なり、資金の提供者が対価を取得しない類型です。

この類型は、社会貢献を目的としたプロジェクト地方創生プロジェクトの資金調達の場として利用されています。

なお、寄付型も購入型と同様に、法令上の許認可等は不要であり、クラウドファンディング事業者が受け取る収益は、寄付の成立額に対する一定割合の手数料です。
購入型と異なり、手数料は10%以下となることが多いようです。
そのため、事業者として「儲かるか」と言われるとかなり厳しいビジネスモデルです。
社会貢献を目的としたNPO的な経営理念が必要になるといっていいでしょう。

有名なところはREADYFORさんかなと思います🤔



(3)株式型とは

株式型とは、株式会社である資金調達者が、自社の事業や今後行うプロジェクトの魅力を告知し、資金提供者を集め、資金提供の対価として自社の株式を資金提供者に交付する類型です。

なお、日本では株式又は新株予約権を交付する類型が多いため、「株式型」または「株式投資型」と表現することが多いですが、国によっては株式以外の証券を交付する場合もあるため、より広く「エクイティ型」と表現することもあります。

株式型では、非公開株式を取り扱うことになるため、募集を仲介する事業者は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号、以下、「金商法」という。)に基づく第一種金融商品取引業(金商法28条1項)の登録または第一種少額電子募集取扱業者の登録(金商法29条の4の2第9項)が必要となります。
この登録には、ベンチャーにとっては大きなコストと時間がかかります。
そのため、参入障壁が高く、ベンチャー企業が思いつきで参入できるタイプのビジネスモデルではありません。
日本でもまだ事業者は少ないので、FUNDINNO社が頭一つ抜けている状態です。
今後流行るかどうかは今の所まだわかりません🤔

ビジネスモデルを簡易的に述べると、一般の人がまだ上場していないベンチャー企業に投資するというモデルなので、非常にハイリスクな投資です。
一方でハイリターンかと言われると、まだハイリターンが得られた事例は少ないです。
非上場ベンチャーへの投資は、今の所IPOかM&Aしかエグジット手段(利益確定手段)がないので、大きな利益を獲得できる確率はかなり低いと言わざるを得ないです。
そのため、投資を呼びかける際は、ベンチャーにとってはあまり現実的ではないですが、配当などの利益分配手段も提示して呼びかけないといけなくなるでしょう🤔

そのため、流行るかどうかは投資家の皆さんの判断次第というところです。
逆に全く流行らずに廃れてしまうことはベンチャー・スタートアップ業界にとってマイナスだと思うので、判断がとても難しいところです。
ちょうど今過渡期にいると思うので、これからの趨勢に期待して注視しているところです。



(4)融資型とは

融資型とは、貸金業を営む営業者が、貸付先の情報や資金使途等を開示して資金を集め、当該資金を貸付先に貸付け、貸付先から返済された利息および元本を資金提供者に分配する類型です。
超絶わかりにくいですよね🙄
ということで、図にしてみました!

ソーシャルレンディングのビジネスモデル図

ちょっと難易度が高いビジネスモデルなんですが、ソーシャルレンディングというビジネスモデルは、ソーシャルレンディングのためのプラットフォームを運営する事業者貸金業を営む営業者がいるのです。
それぞれを1つの法人で行う会社もありますし、2社で行う会社もあります。
他の類型と異なり登場人物(プレイヤー)が多いので、混乱しやすいです。

この類型は別名「融資型クラウドファンディング」または「ソーシャルレンディング」と呼ばれています。
最近では「ソーシャルレンディング」という名称の方が一般的かもしれません。
たぶん呼び方としてカッコイイから浸透していっているのでしょう🤣

この類型では、資金の募集の取り扱いを行う者(プラットフォームの運営者)には第二種金融商品取引業(金商法28条2項)の登録が必要であり、資金提供者から集めた資金を貸し出す者(営業者)には、貸金業法(昭和58年法律第32号)第3条1項の「登録」が必要となります。
ゆえに、参入障壁はかなり高く、かつ、事業を維持し続けるコストもそこそこの額が必要になってきます😱
何よりも、これらのビジネスモデルを理解して、内部で運営を回せる人材の確保が最難関だと思います。
転職市場にもほとんど居ないでしょう。

そして、このソーシャルレンディングという業界は昔から不祥事が絶えず、業界トップに君臨していた事業者が相次いで不祥事で廃業に追い込まれています。
したがって、まだまだ混乱の中にある発展途上の市場です。

ちなみに、ソーシャルレンディングの発祥国はイギリスであると言われています。
イギリスにあるZopa Limitedが2005年に創業したのが世界初のソーシャルレンディングで、その後アメリカでもLendingClubというソーシャルレンディング事業者が誕生し、上場するに至っています。
なお、Zopaは上手く行っているようですが、LendingClubはお世辞にも上手く行っているとはいえません。

ソーシャルレンディングは今や全世界的に発展しつつあるビジネスモデルで、英国・米国・日本だけでなく、東南アジアや中国などでも続々と事業者が誕生しています。
そして、各国の法規制の違いから、それぞれ全く異なるモデルになっています。
特に日本は、金商法と貸金業法という制度が異なる2つの法律の規制を受ける関係で複雑なビジネスモデルになってしまっています
このあたりは後で簡単にご説明いたします。



3.クラウドファンディングの市場規模

日本クラウドファンディング協会が発表した資料によると、2020年の市場規模は以下のようになっています。

(1)購入型:501億円
(2)寄付型:不明(購入型に包含されている)
(3)株式型:9.2億円
(4)融資型:1125億円

これを見てわかるとおり、実は、クラウドファンディングの市場規模の大半は融資型(ソーシャルレンディング)なのです😱
単純計算でクラウドファンディング市場の約70%はソーシャルレンディングの市場です。
これは、ソーシャルレンディングの案件単価がとても大きいからです。
購入型の単価はせいぜい数百万から1000万円程度ですが、ソーシャルレンディングの場合、原則として億単位の融資案件になります
不動産担保融資を行う場合がほとんどなので、一般投資家は、オフィスビルや土地などを担保にした億単位の融資案件に投資することになります。
その結果、市場規模が大きくなります。
したがって、実際の案件数でいえば購入型の方が圧倒的に多いです。

そして、ソーシャルレンディングは前述の通り不祥事が続いていて業界最大手だった2社が相次いで廃業になっていますので、今後は市場規模が縮小していくことが予想されます。
少なくとも今より大きくなることはしばらくの間ないでしょう。

そこで台頭してきているのが購入型・寄付型(メインは購入型)です。
日本クラウドファンディング協会の資料の2ページに掲載されているグラフを引用しますと、以下のとおり購入型・寄付型の市場規模がここ数年で5倍以上に成長していることがわかります😁

日本クラウドファンディング協会「クラウドファンディング市場調査報告書」P.2

引用元:

http://safe-crowdfunding.jp/wp-content/uploads/2021/07/CrowdFunding-market-report-20210709.pdf


これは、購入型・寄付型の参入障壁が低い(ほぼ無い)ため、競合他社が大量に入ってきた結果もたらされた市場規模の拡大といえますが、それでも拡大は拡大です。
市場全体で見るとまだまだ伸びる余地があるので今後も購入型・寄付型の市場規模は拡大を続けるでしょう。
少なくとも1000億円くらいの規模にはなるのでは?と思っています。
つまり、ソーシャルレンディングを超える勢いなのです😁

これまでのクラウドファンディングの中心は間違いなくソーシャルレンディングでしたが、近い将来、そのビジネスモデルの難易度の高さから、ソーシャルレンディングの事業者そのものが減っていく可能性が高いので、購入型・寄付型を中心とした市場に再編成されていくと思われます。
購入型・寄付型は今の所法規制があまりないので今後はどうなるか要チェックです。

最近では購入型・寄付型でも詐欺まがいの案件が出ていたりするのでなおさら注意が必要かと思います。
今後、消費者保護の観点から何らかの法規制が入ることになれば、一気に参入障壁が高くなるので、既存の上位クラウドファンディング事業者にとっては圧倒的に有利な市場に生まれ変わります。
FinTechの中でもクラウドファンディングはまだまだ発展途上の市場なのでどうなるかは全く読めませんけども、非常に興味深い市場です。
今後の動向に注視が必要です。


4.ソーシャルレンディングのビジネスモデル

せっかくなので、現時点での市場の中心的存在であるソーシャルレンディングについてもう少しだけ学習しましょう😁

ソーシャルレンディングというビジネスモデルを簡易化すると、上記で示した図のようになります。

↓こんな感じです。

この図にしたがって、ソーシャルレンディングをシンプルにすると、
①一般投資家から出資を受ける
②当該出資金を借手(第三者法人)に貸し付ける
③借手から返済を受ける
④利息及び元本の償還を行う

という4つのプロセスにすることができます。

複雑なところは、これらのプロセスを一括して行えるインターネット上のプラットフォームの運営者(ソーシャルレンディング事業者)貸金業務を行う営業者がいる点です。
ソーシャルレンディング事業者には金融商品取引法の規制が適用され、営業者には貸金業法が適用されます😱
そのため、ソーシャルレンディング事業者はプラットフォームの運営法人貸金業務を行う貸金業法人を分けて設立することが多いかと思います。
その方が管理運営上やりやすいからです。
ただ、両方を同一の法人で行っている事業者もいます。
この辺りが複雑さを増大させています。

ソーシャルレンディング事業者が1社だったり、子会社を含めた2社だったりするのです。
ややこしい。

そして、それぞれの法規制の下、専門家を雇わないといけません。
金商法に詳しい法務、貸金業法に詳しい法務、それぞれの運営に長けた経理・計理担当者、内部管理者、貸金業務取扱主任者、融資担当者、ファンドマネージャーなどなど。
様々な専門家を雇う必要があります。
これらの専門家が揃っていないとそもそも登録すらできないので事業を始められません😱

そして、これらの専門家は金融分野の専門家なので報酬の平均値がとても高いです。
そのため、この事業を行おうと思ったら事業開始前の段階から相当な人件費をかけないと人が集まりません。
その結果、創業初年度から大きなコストがかかるビジネスモデルです。

ただ、やっていることはシンプルな貸金業で、収益源は借手が支払う利息です。
この点は通常の貸金業と変わらないです。
しかし、通常の貸金業と異なり、ソーシャルレンディングの貸付資金の出どころは一般投資家の資産です。
普通の貸金業は、銀行から借りたお金や自己資金を使って貸付けます。
これは言い換えると、貸し倒れリスクの負担者が異なるということです。

通常の貸金業の場合は、貸し倒れリスクを負っているのは貸付資金を貸金業者に貸し付けた「銀行」、または「貸金業者自身」です。
一方で、ソーシャルレンディングの場合は、貸付資金を一般投資家が出しているので、貸し倒れのリスクは「一般投資家」が負っています

そのため、一般投資家を保護するために、通常の貸金業よりも強い規制が必要で、一般投資家の資産を保全するための法規制に服します。
それが金融商品取引法です。
しかし、金融商品取引法がフォローできるのはあくまでもルール上の規制だけなので、実際のリスクの低減まではなかなか…

そのため、貸し倒れリスクの最終的な判断は、一般投資家自身がしなくてはなりません。
営業者が開示した情報の正確性も保証されていませんから、全部自分で調査し、理解し、貸し倒れリスクを踏まえた上で投資の意思決定をしないといけない。

これは極めてレベルの高い投資行為です🤔
したがって、ソーシャルレンディングに投資するのであれば、ある程度投資や貸金業の勉強をした上で行ったほうが良いでしょう。

この他にも様々な点で問題点がありますが、記事の難易度が急に上がるので、今回は省略します。
ソーシャルレンディングというビジネスモデルは本当に奥が深いのです。
可能性も大きい分、問題も大きいという感じです。
これだけで本1冊書けるくらいの情報量。
ご興味がある方は是非一度学んでみてくださいませ🙄


5.ソーシャルレンディングの類型

上記の通り、ソーシャルレンディングというビジネスモデルは、やっていること自体はシンプルなのですが、構造が複雑です。
そのため、今ではいろいろな類型が出てきています🤔
その類型を私の見解でまとめておきます。

現存するソーシャルレンディング事業者は、私の見解としては以下の4つに分類できると考えています。

(1)基本型
(2)自社案件型
(3)マーケティング型
(4)トランザクションレンディング(未来の話)

簡単にですが、上記4類型を解説させていただきます。


(1)基本型

こちらの類型は、通常のソーシャルレンディングです。
一般投資家からお金を集めて、それを第三者に貸し付けて、返済を受けることができれば、一般投資家に分配をするというオーソドックスなモデルです。

この類型の場合、ソーシャルレンディングが抱える構造上の問題をすべて抱えたままになるので、一般投資家にとってはミドルリスク~ハイリスクの投資商品となります。
そのため、今後この類型が発展していくためには、一般投資家のリスクをいかにヘッジしていくか(リスクを減らすか)にかかっています。
優良な借手を厳選する能力、貸付金を回収する能力などを磨き上げる必要がありますね!


(2)自社案件型

最近人気を集めているのが自社案件型のソーシャルレンディングです。
これは、自社グループ(親会社など)が実施する不動産投資案件において、その出資金の一部を一般投資家から募集する類型です。

親会社が東証一部上場等の場合、貸し倒れリスクが相当減るので、一般投資家にとっては嬉しい条件です。
この類型で最も有名なのは東証一部上場であるCREさんの案件を扱うCRE Fundingでしょう。
どの案件もほぼ一瞬で売り切れるほど人気です🤣

また、最近では、自社案件型と基本型を両方行う事業者も現れています。
それがマザーズに上場しているロードスターキャピタルさんです。
同社はオーナーズブックというソーシャルレンディングサイトを運営していますが、最近大人気です。
ロードスターキャピタル社の最大の強みは、社内に不動産鑑定士が7名もいて、自分たちで確実に処理できるという案件しか引き受けないし、投資家にも案内しないという点でしょう。
その誠実性が投資家からも人気を集めていて、どの案件も数分以内に売り切れています😱
不動産系のソーシャルレンディングでは最も信頼の厚い会社と言って良いかも知れません。


(3)マーケティング型

続いて、ここ数年で新しいソーシャルレンディングの形を提案しているのがファンズさんです。
ソーシャルレンディングとマーケティングという2つの要素をかけ合わせて、独自の概念で新しいソーシャルレンディングの形を作っています。
ファンズで取り扱う案件の多くは上場企業の案件であり、かつ、当該上場企業のマーケティング要素を多く含んでいる案件なので、比較的貸し倒れリスクが低い点が人気です。
少額な案件が多く、投資家に対する還元利回り自体もそこまで高くないのですが、そのコンセプトに共感した一般投資家の皆様から人気を集めていて、どの案件も瞬時に売り切れている状況が続いています。


(4)トランザクションレンディング(未来の話)

最後に、まだ出てきていません(出てきてたら教えて欲しい)が、私の予想ではトランザクションレンディングとソーシャルレンディングの混合型が出てくるであろうと予想しています。

まず、トランザクションレンディングとは、取引履歴等の膨大なビックデータを活用して、借手の信用力をスコアリングし、その信用力に応じた貸付を行う貸金業の新しいモデルです。

今までの貸金業では、借手から提出されたBS・PL・口座残高の写し・登記簿謄本・固定資産台帳などで融資審査を行っていました。
しかし、これは非常に効率が悪いのです。
借手が粉飾決算を行っていたりしたらもう終わりですからね😱
公認会計士や税理士でも、長期的な会計情報を追いかけない限り粉飾決算を見抜くことは難しいです。
これだと融資審査に人件費ばかりかかってリスクも軽減されない。

そこで、誤魔化しようがないトランザクションデータ(取引データ)を活用しようというのがトランザクションレンディングの素晴らしいところです。
例えば、クラウド型会計ソフトと連携したら日々の取引履歴を追いかけることができますし、インターネットバンキングと連携したら口座情報も取得できます。
これらのデータを活用すれば、活きた情報が大量に手に入るのです😁

最大のメリットは、これらの膨大なトランザクションデータの審査時に、AIを活用して一瞬でスコアリングすることで融資審査期間が大幅に短縮しうる点です。
最終的には数秒で融資審査が完了し、資金調達ができる未来が実現されます😱

今の所、大手ではAmazonさんなどが行っていますが、今後はこの波が拡大していくはずです。
ビックデータを保有しているECサイト運営者などとの相性がとても良いのです。
Yahoo・楽天などのプラットフォーム運営者、各種銀行、freee・マネーフォワードなどのクラウド型会計ソフトの運営者、Apple・Googleなどがトランザクションレンディングを始めた場合、確度の高いデータに基づいて融資審査が行なえると思います。

このトランザクションレンディングの仕組みを活用して、貸付資金をソーシャルレンディングで集めた場合、全く新しいソーシャルレンディングが出来上がるのです😍
資金の出資者である一般投資家にとっては信用力の高い案件に投資できるのでメリットがありますし、ソーシャルレンディングプラットフォームを運営する事業者は自己資金を使うリスクを回避して手数料が得られる点でメリットがあります。
借手は面倒な融資審査を経ずともすぐに資金調達が行えるというメリットがあります。

もし実現すれば三方良しです。

そういうモデルが登場するにはまだもう少し時間がかかると思いますが、ソーシャルレンディングの活用方法の一つとしては非常に面白いのではないかと思っています😁



おわりに

今日はFinTech分野の中でもクラウドファンディングについて解説させていただきました。
少し難易度が高いお話だったので、明日使えるレベルに簡易化できているか不安ですが、誰かのお役に立てれば幸いです😁

FinTech分野は今後10年で別次元の発展を遂げると思います。
様々なものにインターネットが繋がるIoTの時代になっていくので、より発展速度が早くなっていくでしょう。
数十年前までSFの世界でしか描かれていなかった未来がすぐそこまで来ています。

ワクワクしますね😍

この分野は技術的難易度が高いので、そういう点は私では一切説明できないのですが、興味だけはあるので今でも追いかけています。
法律やビジネスモデルという視点からしか解説できませんが、ベンチャーで働く皆様にとって何らかの気づきが与えられれば幸いでございます。


それではまた書きます🎵


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著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
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