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月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」

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中華圏の現地でどのような注目の話題があるのか。必ずしも日本とは関係のない、また日本では話題にならな… もっと詳しく
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#中米関係

240326 【現代ビジネス】寄稿:“ソフトパワー戦争”でも「中国の苦しい立場」が浮き彫りに...東南アジアをかき回した「テイラー・スウィフト争奪戦」

日頃から英語(系)メディアを読んでいる方はさんざん目にしたはずの話題なんですが、日本語メディアにほとんど真剣に取り上げられている様子がなかったので、書きました。たぶん、日本のマスメディアには、記事中の香港議員たちと同じように薄ら笑いして「エンタメ話題」程度としか思われていなかったんだろうな……

実は、テイラー・スウィフトのシンガポール公演がアジアに与えた衝撃はすごかったんですよ。もちろん、その動

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【ぶんぶくちゃいな】ガザ衝突と中米首脳会談:中国が抱える危うい「爆弾」

この原稿を書き始める直前に、来月米国で行われる予定のアジア太平洋協力(APEC)会議に出席するため訪米する習近平・中国国家主席とバイデン米大統領との首脳会談実現に向けて、米中両が正式に具体的な準備作業に入ることになったというニュースが伝えられた。

中国がAPECでの米中トップ会談実現を切望し、準備していたことは、すでに6月のブリンケン国務長官の訪中時に重要議題の一つになっていたから、特に「大ニュ

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【ぶんぶくちゃいな】「クルマ作りはしない」ファーウェイのクルマ作り

中国のニュースメディアで4月初め、精密機器メーカー「華為 Huawei」(以下、「ファーウェイ」)の創設者である任正非CEOが3月31日に全社員に向けて、「ファーウェイはクルマ作りはしない」、また「プロモーションや(車両の)外観上に『華為』や『HUAWEI』のロゴを入れてはならない」と強調する文書を配信したらしい、という報道がバラバラッと流れた。

どの記事を読んでも、その任CEOの語調がかなり厳

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【ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼「ChatGPTをめぐる中米AI競争」(後編)

【ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼「ChatGPTをめぐる中米AI競争」(後編)

前編はこちら:

米「ニューヨーク・タイムズ 中国語版」の袁莉・編集長が聞き役を務めるポッドキャスト「不明白播客」の後編をお送りする。ゲストは米スタンフォード大学の中国経済及制度研究センターの高級研究員、許成鋼教授。許教授は清華大学機械工学部の大学院を卒業する際に同学部で初めてコンピュータ補助設計についての論文を発表した。

この後編では、許教授は米OpenAIが発表したChatGPTの世界的ブー

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【ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼「ChatGPTをめぐる中米AI競争」(前編)

【ぶんぶくちゃいな】経済学者許成鋼「ChatGPTをめぐる中米AI競争」(前編)

ネットや技術に関心のある方はすでにChatGPTの話題に触れておられることだろう。この、米国企業「OpenAI」が開発した人工知能で駆動される「チャットボット」は、中国でも大きく注目されており、まず技術屋さんから、そして一般のビジネスマンにも、「新しい世界を切り開くツール」として論じられている。

わたしもまだちょろちょろっと触ってみただけで、それを論ずることができるほど理解しているわけではないの

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 【ぶんぶくちゃいな】民主主義と中国解放軍――中華圏はペロシ下院議長の台湾訪問をどう見たか

【ぶんぶくちゃいな】民主主義と中国解放軍――中華圏はペロシ下院議長の台湾訪問をどう見たか

米国のナンシー・ペロシ下院議長による8月1日から始まったアジア歴訪がさまざまな事態を引き起こしている。

下院議長は米国政府において、大統領、副大統領に次ぐ3位の地位にある立場。その彼女が8月1日にシンガポール入りして、翌日マレーシアへ向かい、その後出発前の正式な声明のスケジュールになかった台湾で1泊し、翌日韓国を経て日本を訪問後に帰国した。

5泊6日の強行軍でこれだけの地域を駆け巡り、それぞれ

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220508 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿:中国政府お墨付きの香港「次期トップ候補」、YouTubeアカウントを消され騒然

220508 「ダイヤモンド・オンライン」寄稿:中国政府お墨付きの香港「次期トップ候補」、YouTubeアカウントを消され騒然

5月8日に投票が行われた香港行政長官選挙の「唯一の候補者」、李家超氏について書きました。

今回の選挙は中国政府によって「唯一の候補者」宣言が行われたり、選挙戦と称する期間に発表された李氏周辺の発言が、「中国語としてこれどうなの?」「英語の意味がわからん」などとさまざまなネガティブな話題を振りまかれましたが、最大の話題はやはりGoogleが李氏陣営がYouTubeに設けた選挙活動用アカウントを削除

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【ぶんぶくちゃいな】中国の「下半身」と冬季北京オリンピック

 皆さん、こんにちは。彭帥です。
 先日、WTA[訳注・女子テニス協会]の公式サイトで発表されたニュースに関して、あの内容はわたし自身が確認、検証したものではなく、わたしの同意なしに発表されたものです。発表されたニュースは、性的暴行の疑惑も含めて事実ではありません。わたしは行方不明でも安全でない状況にもありません。自宅で休息しているところで、なんの問題もありません。わたしのことを気にかけていただき

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【ぶんぶくちゃいな】回る回る「協議」は回る…新たなステップを踏み出した米中関係

アジア時間の9月25日未明、2018年12月からずっとカナダで足止めされていた、中国の精密機器メーカー「華為 Huawei」(以下、「ファーウェイ」)の孟晩舟CFOの身柄拘束が解かれ、同日夜にはファーウェイの本社がある深センの空港に戻ってきた。

ニュースでご覧になった方も多いだろうが、中国の国旗を思わせる真っ赤なドレスを来た彼女がスポットライトを浴びながら搭乗口に姿をあらわし、一歩一歩タラップを

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【ぶんぶくちゃいな】中国「奇文」鑑賞:米国に対峙するため、エンタメ界を整頓せよ!

8月の香港では満身創痍と言ってもいいほどめちゃくちゃな出来事が立て続けに起きたが、中国でもここ1ヶ月あまり、天と地がひっくり返るほどの騒ぎが起きている。

7月には、義務教育期間中の子どもたちの「重圧」軽減を口実に、学外教育、つまり塾や長期休み中の集中学外授業、英語学校などが一斉に禁止になった。中には一度に日本円で数十万円もの学費を取っていた塾や課程もあり、機関側の紹介で金融機関にローンを組んで支

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【ぶんぶくちゃいな】中国国内で高まる「承認欲求」と台湾叩き

「日本企業を逃がすな!」(別譲日企跑了)。

先週、朝のニュースチェックをしていたら、こんなタイトルの記事が目について、ぎょっとした。

中国メディアに「別譲◯◯跑了」(逃してはならない)というタイトルの記事が踊るのを見るのはこれが初めてではない。4年ほど前には、「李嘉誠を逃がすな」という、国有通信社「新華社」傘下のシンクタンクが発表した記事が出現して、物議を醸した。

香港のトップ富豪である李嘉

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【ぶんぶくちゃいな】まだまだ続く、中国の「新型コロナ」戦時気分

前号「『戦勝』に酔う中国政府vs.『戦争』責任を問う市民 」でご紹介した、武漢市中心医院の艾芬医師のインタビュー記事騒ぎ後の1週間、中国ではメディアを舞台に、さまざまな「情報合戦」が展開された。

「合戦」と呼んでいいのかどうか、迷うところなのだが、間違いなく政府はメディアや報道を利用して情報を待つ人たちの心をつかもうとしている出来事が続いた。今回は簡単にその動きをまとめておきたい。というのも、今

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【ぶんぶくちゃいな】新華社の「謝罪しろ、感謝しろ」に見る中国戦時ロジック

ニュースクリップでもご紹介したが、中国の国有通信社、新華社が「はっきりと胸を張って言う 世界は中国に感謝すべきだ」という記事を掲載した。

この記事はもともと新華社内部で書かれたものではなく、SNS「WeChat」で利用者が自由に登録して記事を配信する「公衆アカウント」の一つが発表したもの。「黄氏の金融話」というそのアカウントは深セン市に拠点を持つ、投資相談や投資テク講座を展開する私企業が主宰して

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【ぶんぶくちゃいな】 「カネか自由か」、凄まれたNBAは自由を選んだ

【ぶんぶくちゃいな】 「カネか自由か」、凄まれたNBAは自由を選んだ

まさか、こんなことになるとは。1週間前には誰もとんと予想もしていなかった事態が起きた。たぶん、ご本人も、そして中国政府自体も。

きっかけは今月5日、一つのツイートだった。「FIGHT FOR FREEDOM / STAND WITH HONG KONG」(自由のために闘う 香港とともに)なんてツイートは、ずっと香港事情を追ってきたわたしからしたらもう見慣れ過ぎていて、あっという間にタイムラインの

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