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わかおの日記158

【ここまでのあらすじ】
軽井沢旅行で思いの外ギャルとうまくやれたため、コミュニケーション能力に自信を取り戻しつつあったわかおだが、いざ東京に帰ってみると、自分に友達などいなかったことに気がついてしまう。朝夕の叶姉妹公式ラインからの挨拶の他には、誰からも連絡のこない日々……わかおは、気が狂う前に、おいしいラーメンを求めて独り旅立った。

誰に会うわけでもないのにキチンとした格好をして電車に乗り、書いてあることの半分も理解できない哲学の本を読みながら、日本橋まで行った。

お得意のレンタサイクルにまたがって、スカイツリーのほうにあるラーメン屋に向かった。日本橋とか丸の内の辺りの街並みはワクワクする。恵比寿とか中目黒はお高く止まっている感じがいけ好かないが、不思議と日本橋や丸の内にはそういった印象を抱かない。どうしてなんだろうか。街並みを眺めているだけで証券会社や商社に就職したくなる強力な磁場が、あそこには働いているような気がする。就活シーズンになったら冷やかしで三井物産とかの面接に行ってみようかな。場違いすぎて逆に受かったりしないかな。

お目当てのラーメンはそこそこだった。期待していたほどの感動はなかった。店内に流れているBGMがジブリ音楽のジャズアレンジな時点で嫌な予感はしていた。ジャズを流すかジブリ音楽を流すかどっちかにすればいいのに。そういうところに作り手のセンスのなさが表れると思った。

ラーメンを食っただけで帰るのも嫌だと思って、上野広小路の快活クラブに寄り道して、読みたかった漫画「ドラフトキング」を全部読んだ。目の覚めるような面白さだった。漫画は面白かったけれど、禁煙のフラットシートは少し臭かった。







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