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ベテラン整備士が語る、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)の真実


DCTの歴史

ほな、聞いてや!デュアルクラッチトランスミッション(DCT)っちゅうもんがあるんやけど、これがなんや面白いデザインでな、ヨーロッパで始まってん。なんでかって言うたら、めっちゃ速くシフトチェンジできるトランスミッションを作りたかったんや。最初にこれ試したんはフランス人やったんやけど、そいつはハーフトラックっちゅう戦車みたいなんのために設計したんや。でもな、1939年になったらドイツ人が「おいフランス、おまえらは俺らのもんやで!」言うて占領してしもたから、フランスが軍用車両を作るんはそこでおしまいになってもうたんや。ほんまにフランス、もうちょい頑張りぃな!

Kégresse track
シトロエンの技術者Adolphe Kégresseが開発した、前輪はタイヤ(車輪)、後輪の代わりにトラック(履帯)を持つ車両。
Citroën Traction Avant
Kégresseの設計したDCTが初めて導入された。

おかしなことに、結局最初に本格的に使い始めたんはドイツ人自身やったんや。アウディとポルシェがこれいじくりまわしててん。アウディもポルシェも今やみんなフォルクスワーゲンに買収されとるんやけど。ほんで、1986年にポルシェがDCTのセミオートマティックパドルシフター付きトランスミッションでレースに勝ったんが最初やったんや。それで結局、フォルクスワーゲンが自家用車に使い出してDCTのパイオニアになったんや。

Porsche 962
1986年と1987年にポルシェ962がデュアルクラッチトランスミッションを使用して ル・マンの総合優勝を飾った。

DCTのメリット

一番有名なんはフォルクスワーゲンのニュービートルに搭載されたDCTやな。あれ、見たことあるやろ?ニュービートルのオートマはDCTやったんや。このヨーロッパのDCTのデザインは、高級スポーツカーのオーナーが「もうマニュアルトランスミッションなんかええわ。もっとスムーズにシフトチェンジしたいねん!」って思ってたから考えられたんや。ほんで、賢い奴が考えたんや、コンピューターがDCTの中のクラッチを自動的に操作するか、パドルシフターを使って自分でギアを変えるかってシステムを作りよったんやな。このトランスミッションはな、完全オートマティックモードで操作できるんや。要するにギアに入れたら、コンピューターが次のギアにシフトするタイミングを勝手に決めてくれるんや。もしくは、パドルシフターで手動で操作することもできるっちゅうわけや。ええやろ?

ダイレクトシフトギアボックス(DSG)は、電子制御されたデュアルクラッチを持つ多軸のオートマチックギアボックスである。最初のデュアルクラッチトランスミッションは、1980年代にポルシェ962用にポルシェ社内で開発されたもの。 簡単に言えば、DSGは2つのマニュアルギアボックス(およびクラッチ)を1つのハウジング内に収め、1つのユニットとして機能するように自動化したもの。アメリカの自動車部品サプライヤーBorgWarnerによって設計され、IAV GmbHのサポートを受けてフォルクスワーゲングループにライセンス供与されている。2つの独立したクラッチを使用することにより、DSGはシフトタイムを短縮できる。従来のオートマチックトランスミッションにあるトルクコンバータはない。

コンピュータっちゅうもんはな、人間よりも速くて正確にシフトチェンジできるんや。どんだけプロのグランプリレーサーでも、コンピュータにはかなわんのやで。だから、金持ちが高級車で「俺、すごいやろ?」って見せびらかすために、パドルシフターを付けとるんやけど、ほんまのところコンピュータのほうがうまいことやってくれるんやで。ほれ、BMWの高級車に付いてるデュアルクラッチトランスミッションなんか、たった60ミリ秒でシフトチェンジできるんやで。めっちゃ速いやろ?でもな、最近のデュアルクラッチトランスミッションはコンピュータでコントロールされとるから、いろんなモードで使えるんや。エコノミーモードにしたら、標準のトランスミッションよりも燃費がええんやで。コンピュータが一番燃費がええように調整してくれるんや。

BMW E92 M3に搭載される7速M DCT Drivelogic
トラクションを途切れさせたり減速することなく、瞬時にシフトチェンジができる。

ほいでな、これらのシステムには4つか5つの設定があって、好きなように運転できるんや。コンピュータが全部やってくれるから、人間よりも効率的に燃費も良くなるし、速さもアップするんやで。スポーツモードに切り替えたり、トラックモードにしてほんまに回転数上げたり、パドルシフターで自分でシフトしたりもできるんや。

DCTのデメリット

ほんでな、デュアルクラッチトランスミッションには面白いところもあるんやけど、ほんまにでっかいデメリットもあんねん。

まず第一に、普通のトランスミッションよりも重たいんや。車がどんどん小さくなってる今、重さとサイズはめっちゃ重要やねん。あともう一つの大問題は、作るのがめっちゃ高いっちゅうことや。大体2,000ドル以上の追加コストがかかるんや。ほんで、壊れたら修理するのもめちゃくちゃ高いんやで。めちゃめちゃ壊れやすいんや。フォルクスワーゲンのニュービートルに付いてたデュアルクラッチトランスミッションなんか、最悪やったんや。壊れたら修理するのに7,000ドルもかかったんやで。車の価値なんか4,000ドルもねえのにの。

ほんまに、レースカーの設計やからシフトはめっちゃええんやけど、普段乗りの車には何の利点もないんや。2018年には、デュアルクラッチトランスミッションは世界中で出荷された車の8.5%にしか搭載されてなかったんや。アメリカではたった5%や。なんでか言うたら、高いし、みんな慣れてへんし、特に低速でのフィーリングが悪いんや。もともとこれらはレーストラックのために設計されたもんやから、日常の運転には向いてへんねん。

フィアット、クライスラー、ホンダ、フォードもデュアルクラッチトランスミッションで痛い目にあったんや。普段使いの車に搭載なんかしてしもうた時には、買った人が「ワイの車ガチャガチャいっとるし、なんかおかしいで!」って思うねん。フォードなんか、低価格帯の車に搭載したデュアルクラッチトランスミッションのことで集団訴訟までされてるんやで。ほんま、なんで高級なレースカー用の技術を安い車に使うねん?フォルクスワーゲンのニュービートルとか、低価格のフォードとかに使うのは、ほんまにアホらしいわ。

プロのメカニックとして、俺の経験から言わしてもろたら、こんなもん買うべきやないわ。なんでそんな複雑なデュアルクラッチトランスミッションを選ぶんや?シンプルなマニュアルトランスミッションで十分や。壊れへんし、修理も安いし、ガソリン代も節約できるんや。ほんまに、デュアルクラッチトランスミッションの車なんかかっ飛ばしたいもん以外買う必要ないわ。ほな、またな!


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