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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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#HSP

HSPな母親×激しめの息子たち

HSPな母親×激しめの息子たち

子どもを産むまでは、自分で管理できる、コントロールできるものだけに囲まれていればよかった。

わたしの感情は、ジェットコースター並みに上がったり下がったりを繰り返しているKICK THE CAN CREWの曲のようなもので、どちらかというなら面倒なタイプだろうと思うのだけれど、とはいえこれは「わたしの」問題だ。

自分で管理コントロールできないにしろ、付き合い方は自分で模索できる。

ただ、「子ど

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出たがりの出不精

出たがりの出不精

道草をせず、即帰宅する高校生だった。

高校までは電車を乗り継ぎ、片道約一時間。その所要時間が、即帰宅の理由だと思っていた。10月にもなると、すぐに暗くなる。早く家に帰りたかったんだろうと思っていたのだ。

でも、実はこれはわたしの性質が理由だったのかなと思っている。

わたしはHSPだ。(自己診断だけれど)そして、どちらかというと内向型。どちらも、この1年で知ったものだけれど、知ったときには「こ

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不安定な土壌

不安定な土壌

ふわっと風に包まれるように、不安感に飲み込まれそうになることがある。

原因があるときもあるけれど、特にないことも多い。不安感は天気が崩れる直前の生温い風のように忍び寄り、わたしを覆い隠すように包む。

本格的に飲み込まれてしまうと思考が麻痺してしまうから、空元気を装ってみたり、わざと多忙にしてみたりする。効果は微妙。

理由はわからないのだけれど、心のどこかで、本当のわたしは誰にも好かれないのだ

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割り切れなくてもいいじゃない

割り切れなくてもいいじゃない

「若菜は精神的に弱いから、図太くなれるように意識しなさい」

中1の秋から冬にかけて、部活の人間関係トラブルが原因で不調になった。わたし自身が当事者であったわけではない。先輩、同輩が揉めている中に放り込まれていたような立場だった。

「わたしには関係ないもーん」とすれば良かったのかもしれないけれど、当時のわたしにはできなくて、まともに受け止めてはどうすればいいのかを考え、その結果腹痛やら吐き気やら

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大樹にはなれないけれど

大樹にはなれないけれど

心のぐちゃぐちゃが体に及んで、倒れていた。子どもが持ち帰ってきた学校の便りも読めていない。何なら封書は封も開けられていない。

浮き沈みが激しい自分とは小学校高学年頃からの付き合いだから、ある意味で「慣れ」てはいる。それでも、つらいものはつらいし、避けられるものなら避けたい。慣れはただの「ああ、ヤバイな」という気づきにしかならなくて、避ける技術は一向に上がっていない気がする。

目覚めていると本当

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孤独を飼い慣らす

孤独を飼い慣らす

「“ひとり”を好み、“独り”を怖がる若者たち」

高3の秋、AO入試の一次試験用に書いた小論文のテーマだ。携帯が当たり前のものになり、そこで起きるコミュニケーションの変化について、携帯を持っていない高校生として書いたものだった。

高3当時、携帯を持っていない人はかなりの少数派だった。そのことが関係しているのかどうかはさておき、二次試験の面接で教授たちに「小論文がおもしろかった」と言ってもらえたこ

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侵食するように変化する

侵食するように変化する

久しぶりに電車に乗る。この路線は数ヶ月ぶりだ。たった数ヶ月前ではあるけれど、前回乗ったときがかなり前のことのように思える。

大人になれば変化が緩やかになるだなんてまやかしで、大人の変化はじわじわ進んでいくから、目に見えて気づくタイミングが遅いだけなのだと思う。そして、気づいたときには、“変わる前”はかなり遠いところにある。

たった数ヶ月前をかなり前のように感じるのは、ここ数ヶ月で訪れた変化が、

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察した感情の真偽

察した感情の真偽

生粋のネガティブだったんだなあ、と思った日から、わたしは何も変われていない。

人には“察する力”がある。人の雰囲気や言葉の端々や表情から、相手の想いや感情を読み取る力だ。人によって持ち得る度合いは違うけれど、大多数の人に大なり小なり備わっているものだと思う。大半が持ち得ているからこそ、持ち得ない人は人間関係でわかりやすくトラブルになってしまう。

ただ、いくら察することができるといったって、それ

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おなかの底に穴が開く

おなかの底に穴が開く

ばくん、とおなかの底に穴が空く。

——ああ、やばい。

なんとかしようと、息を吸う。とにかく深く、深く吸う。吸い込んだ空気の冷たさを感じはするけれど、うまく呼吸できている気はしなくて、何度も、何度も息を吸う。

大きく息を吐き出して、穴に抵抗できなかったことに嘆く。暗闇はそこにまだあって、わたしを飲み込もうと構えている。……ブラックホールみたいに。

もやもやすることが重なると、穴は開きやすく、

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あるべき姿なんて、きっとなかった

あるべき姿なんて、きっとなかった

昔から、友人の相談を受けることが多かった。何か解決への道筋を示せるわけでも、気の利いたことを言えるわけでもなかったけれど、「何かあれば、わたしでよければ話してね。聞くことしかできないけれど、聞くことだけならできるから」と何となく気になった子に伝えてきた。

気持ちを吐き出すことは、勇気がいることだと思う。弱さを見せることは、下手をすればさらに傷つくかもしれないことで、だから、覚悟がいることだと思う

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また、一年を生きられた

また、一年を生きられた

生きていたくなくなる。消えたくなったり、死にたくなったりする。

そんな感情が芽生えてからの時間が、“それ以前の時間”を抜いた。人生の半分以上を、わたしは「生きていくのってしんどいよ」と思いながら生きてきたことになる。

きっかけはあった。けれども、今となってはそれが原因ではない。ないけれども、ふいに落とし穴がぱっくりと足元に口を開けたり、ブラックホールに吸い込まれそうになったりする感覚は、今でも

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鞭には飴を、叱咤には激励も

鞭には飴を、叱咤には激励も

5歳からピアノとエレクトーンを習っていた。

8歳の年に引っ越したあとも教室を変えて続けてきたのだけれど、この新しい先生が本当に怖かった。

おそらく「才能」というものを考えるようになったのは、この先生とのレッスンがきっかけだ。何人もで演奏をするアンサンブルのレッスンにも通っていたため、ほかの子の演奏を聴く機会が常にあり、それを指導する先生の言動で自分の力とほかの子の力とを比べやすかったのだ。

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