アウトサイダーが地方を強くする
地方創生の鍵は「地域資源」の活用にあることはいうまでもありません。
地域資源とは何か。Wikipediaでは下記のように説明されています。
地方創生とまではいきませんが、弊社も野菜やフルーツといった地域資源を積極的に消費者にアピールしているおかげか、ここ3年で売上は3倍近くまで成長しました。
一方、豊富な地域資源に恵まれているにも関わらず、それらがうまく活用されている地域はそう多くありません。
当たり前だからこそ見えない価値
地域資源が活用できていない最大の原因は、地域資源の価値が見えていないことだと思います。
地域住民にとって地域資源はあって当たり前のもので価値に気付いていない、あるいは価値を正しく認識できていないのではないか、ということです。
再度Wikipediaを引用しますが、地域資源のページにこのような記述があります。
例えば山形の庄内地域では、酒田には不老不死の水とも言われる湯ノ澤霊泉、鶴岡には地酒の仕込みに使われている竹の露の湧水など、質の高い湧水がたくさん湧出しています。
地域住民は単に家庭用水として利用していますが、湧水は価値のあるコンテンツです。
湧水でつくったかき氷や蕎麦はその文脈が付加価値になるし、湧水自体ミネラルウォーターとしても利用価値があります。
野菜やフルーツは、この傾向が特に顕著です。
新潟には越後姫という品種のイチゴがあります。水分量が多くすぐに崩れるため、輸送に向かず県外に流通することはほとんどありません。
デリケートな反面、味は抜群で、私は越後姫を食べてから普通のイチゴが美味しいと思えなくなってしまいました。
そんなイチゴが新潟県内では普通にスーパーで購入できてしまうため、新潟の人は越後姫をただのイチゴとしか認識していません。
地域資源の価値に気付くのはアウトサイダー
こういった地域資源の価値に気付けるのがアウトサイダーです。
ここでいうアウトサイダーとは、その地域に密着した生活者ではなく、地域と付かず離れずの関係にある部外者のことを指します。
地方創生の成功例を調べてみると、地域内のコミュニティだけで完結している例は稀です。ほとんどは、東京や大阪に拠点を持つ企業や団体が関わっていることがわかります。
地域を俯瞰できるアウトサイダーが旗振り役となることで、地域資源の魅力を再発見できるのではないでしょうか。
また、その土地で生まれ居住していても、やはり他県に住んだ経験がある人の方が地域の魅力をちゃんと認識しています。
実際、私の周りに限っても地方で活躍できている方は県外、もしくはUターンで戻ってきた人たちが多い印象です。
地方創生のために移住支援をやめる
とはいったものの、外の人がその地域に片足を突っ込むのは、なかなかハードルが高いです。
地方創生の文脈で語られる「関係人口」よりはその地方との関わりが深いけど、住民ではない。
地方から積極的に働きかけてアウトサイダーを巻き込んでいくのは、至難の業だと思います。
どちらかというと、何をやるべきでないか、の方がイメージが湧きます。
代表的なのは、移住支援です。特に、Uターン、Iターン、Jターン起業のような、移住を前提とした起業支援です。
起業は結構ライトにできてしまいますが、移住は正直ハードルが高いと思います。
コミュニティがまるっきり入れ替わるわけですし、生活が大きく変わってしまいます。
ですから、地方の起業支援を、その地域の住民でない起業家にも適用できるようにすべきです。
例えば平日は東京のオフィス街で働き、休日や長期休暇は地方で地元の果物を使ったスムージー屋をやる、みたいなことができます。
そうすれば、地方との関わりたい行動力のあるアウトサイダーが集まりますし、空き店舗問題の解消にも繋がります。
何より、仮に移住支援で人口が増えたとしても、日本全体で人口が急速に減っているわけで、いずれ再び減少します。
それよりも、地域資源を活かして都心や海外から関心を持ってもらう方が、地方の未来につながるのではないでしょうか。
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