相撲

逆噴射小説大賞特集号より「相撲ジャンルの勃興について」

こんばんは、今夜の特集です。
【逆噴射小説大賞】で一大ジャンルを築き上げている【相撲】をご存知でしょうか。

現在の投稿数、約1000件中の約40件が相撲ジャンルで締められている。Noteの逆噴射プラクティス内「注目」「急上昇」ランキングでも上位に上がることがあり、現時点でのTOPにはマツモトキヨシ氏の「量子相撲」が鎮座している。なぜ相撲ジャンルは多くの指示を集めているのか。専門家に聞いた。

<相撲専門家 江戸川・コナー・新一>

相撲のフォーマット的な強さ

相撲という競技は「儀式としての神秘性」「ガチガチの規則」「力士が向かい合いぶつかる」というシンプルで強固なフォーマットを持っているため、物語の強度が高いんです。力士を二人並べてハッキヨイ。これだけで物語が生まれます。流行のネットミームに左右されない相撲本来の強度があります。

土俵は人生であるとはよく言ったもので、力士の入場、立ち合いの間合い、十分に睨み合い、二人の息があった瞬間に立ち会って決着。人間が生まれてから死ぬまでが一つの取り組みに込められているんです。「一人相撲 精霊の呪い」は伝統美を活かしたまま次のステップ(徳俵)へ足を掛けており正統派の傑作です。

人生色々力士も色々。

ルールがシンプルゆえに設定に手を加えやすい。ゆめくらげ部屋の「ジャズ相撲」や「セレブ相撲」は土俵人生観の争いですね。少年の夢の世界を無限に広げ続ける「相撲・エンディング・ストーリー」は少年少女期向けの児童文学として図書室で永遠に台本板が刺さっていたことを覚えている人がいるんじゃないでしょうか。(持ち主が次々と疾走するので返却されたことがないため)

大相撲から巨大相撲へ

相撲ジャンルは単純にスケールアップするだけでも楽しい。やはり人類に刻まれた大相撲願望は捨てがたいものだと実感しました。国技館ロイヤルランブル」では同時参加人数を撤廃した大乱闘が実現。「深海相撲」は極限の土俵と異種族力士が登場する超絶スケール。「力士達の黄昏《シコナロック》」は神話と世界滅亡までスケールが高まっています。

ジャンルクロスオーバーを受け入れる度量。

転校生」「魔法少女」「漂流記」「モンスター」「巨大ロボ」「アイドル」「アイドル」「宇宙戦艦」これらは実際に投稿された作品のジャンルの一部です。このジャンルの登場人物が力士だったら……? 単純なワンアイデアですが思考実験をしやすいポピュラーな要素を「相撲」は広い懐で己の土俵に各ジャンルを上げて受け止める度量の広さがあるんです。

神聖ゆえの「都市伝説」との親和性

力士は神を降ろす神聖動物であることは社会での共通認識であり、神秘性とは酩酊した胡乱さに通じるものがあります。それゆえに力士に様々な不条理が乗り移ることは自然に飲み込むことができます。「エターナル横綱 虚空蔵関の不思議な冒険」「相撲生まれのTさん」これらの作品は恐怖体験の少し先にある「神聖」を描き出していて作品として格調高さがあります。

論理的飛躍を果たした「量子相撲」

量子相撲」は相撲ジャンルを超えた領域に達した作品で逆噴射無関係者にまで飛び火してニューロンを焼き焦がしたことが知られています。

"α関の体長は10^(-11)cm 。横綱の名にふさわしい堂々たる体躯だ。"

仕切りの初速が違います。
一見して大きさの想像がつかない。しかし、堂々とした巨体であることは作中の描写でわかる。果たして対戦相手は? 小兵なのか巨漢なのか? どのように取り組みが行われるのか? 一行当たりの情報量と横綱としての品性が400文字を堂々と電車道です。ゴッツァン!今後も「量子相撲」はインターネット相撲エンターテイメントのマスターピースとして語り継がれていくでしょう。

守破離、そして。

ジャンルが勃興して定着しその定石を覆す作品が生まれた。
横綱、最強の証明。」は相撲ジャンルから離れ新たなジャンルに至った作品。刮目せよ。もはや相撲ではない。また、「菜園相撲」や「東一局666本場」ももしかしたらその域に達している作品かもしれない。どちらも見逃せないぞ。

未来へ

これでよくわかりましたね。
相撲ジャンルは魔薬。用法容量を守り正しくお使いください。
「量子相撲」に前後して、セカイ系や概念系の力士が多く登場して、一部では最強議論も盛んです。まだまだ日程的には中入り。千秋楽まで気を抜かずに毎日ちゃんこで元気になろう。

いじょうです。

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