2100年の千秋楽

 相撲は神々に奉納する神事であった。その伝統は千年以上の時を経ても脈々と受け継がれた。今年も両国国技館は満員御礼である。会場はタニマチ・クラブ会員で寿司詰めだった。


 行司が先導し、きらびやかな化粧廻しに身を包んだ力士たちが土俵に上がった。そしてエレクトロニック・ダンス・ミュージック風のイントロが流れ始める。今年の千秋楽を締めるのは、幕内42の『恋のTIRI☆CHOUZU』だ。

  告白の痛み分けなんて もうまっぴら わたしは死に体だけど
  ガチンコ力士だから ちゃんこをごっつぁん また頑張れるの
  恋のライバルには ねこだまし二連発 きっと彼のハートを掬い投げ

 センターの横綱、大嶋嶽得意の高速パラパラ・ダンス。
 タニマチが熱狂して座布団を高く放り上げる。

  涙は力紙で拭いて 力水で元気 力塩がキラキラ輝くの
  かわいがりは許さない 序の口で 泣いてるあなたと外無双
  わたしたちの未来は 初っ切りじゃない 夢の番付駆け上がるの
  さぁ恋の塵手水 四股を踏んで 塵手水―― 


【続く】

#逆噴射小説大賞 #逆噴射プラクティス

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