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一人相撲 精霊の呪い

一人の力士が前に出る。これから一人相撲がはじまるようだ。
精霊と相撲をし、精霊に勝たせ、豊作や繁栄を約束させる、そういう儀式らしい。

「迫力あるね、あの人」

「元関取って書いてあったよ」

最初は興味がなかったものの、力士の迫力におされて、今では早くはじまらないかと期待している。
行司の長い語りが終わり、力士が構えた。

「のこった!のこった、のこった!」

押しつ押されつの一進一退の攻防、回しを取られ、吊り上げられないよう耐えている。
行司の大声と、力士の表情により本当に相撲をしているように見えた。
苦しそうな表情で力士の足が少しづつ上がる。
踵が浮き上がり、つま先立ちになる。

「あっ……」

力士の足が浮いた。
みんな驚いた顔をしている。幻じゃない。
力士はなんとか足を再び地面につけ、精霊を投げ飛ばした。

「この勝負……勝っちゃいけないんだよね?」

彼女が不安そうにこちらを見た。

【続く】

さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます