超銀河相撲

私は冷凍睡眠から目覚めた。睡眠時間は567年。予想より、早い。私は柄にもなく焦っていた。この取組で対戦しているのは横綱・大三角。対する私はただの小結に過ぎない。それも運良く先場所に大関を轟沈せしめ、幕内10勝をどうにか達成したからだ。

だが年も若く経験も薄い自分には三役は過ぎた地位。いずれ陥落するだろうと思っている。それでも上位陣として横綱三役全てと戦う事に恐れより胸の高鳴りを覚えている。

コーヒーを淹れて、時計を見る。接敵は10分後。目を閉じて567年前の立合を思い出す。横綱は右へ量子魚雷を集中させたかと思わせ、左へ舵を切り見事に我が艦に肉薄。そのまま星系からの押し出しを狙ったが、私も負けじとうっちゃりでいなした。しかし横綱は星系を出ず、外周をぐるりと周る動き。そして惑星から惑星へ。

超銀河相撲48手『スイング・バイ』だと気づいた時は冷や汗をかいた。だが、止める。得意技をうつときにこそ隙が生まれる。そのために567年待ったのだ。私はコーヒーを置き、衝撃に備えた。

ー来る

【Tomorrow's torikumi...】

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