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吐露

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初期作品
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#詩

痛み

私から私の心身への約束事は守られた試しがない。

なので、私は常にバランスを失っている。

例えば「背骨の扉から出掛けてはいけない」という項目があるが、私の小さなカケラ達は、率先して転がり出ようとする。彼らに ごまかしは通用しないのだ。苦しめているのは私だ。彼らの脱出を止める為に筋肉は頑張る。精一杯に筋肉を固め、緊張させ、扉を小さくする。そのたびに私は痛みを感じる。

彼らは何十年も同じ事を繰り返

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私は自分の眼底に鬼火を見る。

それは、ささいな出来事で轟々と怪しく燃え 私を弱らせる。戦い。失い。差別に呪い、権力に憎悪。金に暗闇。それらは瞬時に他者への恨めしさに変わり無視できない 悪質なちからとなる。

私は鬼となり、苛立ちのすべてを込めて 心を黒く染め続ける。

その怪しい火は、私を守る鋼の剣にはならない。勇気にも 道しるべにもならない。身体を持つ時も、肉腐り骨になろうとも、逃れる事も 手

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あの寺

変えられない過去。変わらない自分。変わりたいと願い続けた。何度も胸に食い込む錆びた鉄格子を外したいと、不慣れな事にチャレンジする。何も続かない。楽しめない。なんだろう。この わびしさは・・・私は幸せになる権利を失ってしまったようだ。

そんな私が人生の半ばを過ぎたころ、自分が見知らぬ寺の前にいることに気づいた。と、その瞬間、私の人生とやらは終わった。

生まれてから死ぬまでの間に何が出来たのか、何

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あの目

心をどこかで見失ったり置き去りにしてきたり。そんな人間の目は宇宙のように見える。色濃い暗闇の中へ自分の好きなものだけを投げ込んで生きる。浮遊するそれらは 小さくチカチカと点滅を繰り返す。誰が話していても、誰を見つめていても、浮遊する死者しかいない宇宙にいる。いつも一人きりで遊んでいる。寂しそうにも悲しそうにも見えない。

自分の事で頭がいっぱいの人間とは全く違う目、あの目。さっき すれ違った子供の

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ファンレター

甘い人は人影にも見えない。丸いシャボン玉。淡く重なり合うパステルピンクのベールの向こう。

ロマンチックなセリフ 小さく 繊細で かすれた声 大好き。知らない事ばかりだから いろいろ知りたい。けれど本当は知らないままがいい。

あなたと出会えない運命で良かった。出会ってしまえば、きっとまた少しがっかりしてしまう。やっぱりただの人間なんだと感じてしまう。私だって毎秒腐りゆく人間なんだけど。甘い人は特

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お父さん

お父さん大好き。私が小学生のころ いなくなってしまったけど。私、ずっと待ってたよ。お父さんは、あしながおじさんになって私を迎えに来てくれるんだと信じていたの。本当は、大人になるまで 毎日お父さんに言ってほしかった。「知ってたか?お父さんはお前が大好きで、お前はお父さんの一番の宝物なんだぞ」と。

お父さんは自殺したんだね。寂しかったよね。色々辛かったんだよね。選んだ場所は、お父さんの思い出がたくさ

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勇気

誰ひとりいない世界へ行きたい。誰ひとり私に干渉しないで!放っておいて、イライラさせないでよ! と、わめき、騒ぎたてる事も、ひとりの世界を作って ずっとひとりでいる事も簡単に出来る。その世界は君だけのものだし、いられるだけいればいいとも思う。長い期間か短い期間かは ひとそれぞれだろうけど。ひとりでいたい時は必ずあるし、それには必ず理由もある。

失うものは勇気だけだ。

生を楽しめる喜びの時。時の経

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翳り

あなたは宙に浮いているようですね。と言われました。実際に浮いてはいないけれど、私はなぜか褒められたような気持ちになり、そういう風に見られるのも素敵、と思いました。

体に、心に、貧しさという烙印がある私。いまだに焼き消す火を自分に放てないでいる私。時々死にたくなる程に今を逃れたいなら、身軽に宙を回転するくらいが楽しい。魂など放り投げて何かに洗脳されたい。冷静に考える自分など捨てて楽になりたい。それ

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憧れ

環境汚染に耐え、忍ぶように ひょろりと伸びた名前も知らない木。誰も見ない、気にもしない一本の木。そんな木に芽吹いた葉が一枚。強風に煽られて飛ばされた。

空を舞い上がる。憧れていた鳥になれた気分だった。その一瞬を誰かが見てくれた。憧れていた美しい花になれた気分だった。

風により 空の上を下を浮かんだり沈んだりしながら流された。そして着地した。そこでカラカラに乾き、枯れた。バリバリと誰かに踏まれ粉

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ぼくの心に また虫が湧いた。ぼくの心は透明で小さくてヒンヤリとしている。外側はゴムみたいに強い弾力がある。そんなに おいしそうには見えないし、特別 魅力的な匂いもしないはずなんだけど。

例えばキャベツ。バリバリバリバリ虫に食べられているのに、なぜあんなにうれしそうなの?なぜあんなに優しいの?ぼくは胸が痛い。痛いから、うれしくなんかない。虫は ぼくの胸のあちこちをガジガジかじって小さな穴をあけてい

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止まる息

ふううぅと大きな息を吐く。気付くと止まるボクの息。ウタに変えよう大丈夫。ずっとずっと歌ってきた。自作自演で構わない。楽器なんてなかったけれど、息さえ吐ければ大丈夫。寂しい時は少し長めに。楽しい時は踊りつき。

緑重なる呼吸にも、色鮮やかに香る呼吸にも適わない。だけどボクのウタも満更じゃない。負けてないかもしれないよ。

ボクを助ける最高のウタ。必ず救うよボクのこと。必ず助けるボクのこと。

ふうう

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再生

今日の授業は似顔絵を書くことだ。課題は「お父さん」

先生は大声で言う。お父さんのいない人はいませんね?お父さんがいない人は、先生の顔を書いてみましょう。クラスでお父さんがいないのは ぼくだけだ。ぼくは、こういうデリカシーのない大人の発言や態度を嫌というほど見てきた。消えつつある記憶だから曖昧だが、多分似顔絵は白紙で提出した。先生は何も言わなかった。

大人というのは、どんな子供でも守る味方ではな

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悪夢以上

地があり陽が昇り雨が降る。

摂理に逆らう知恵なく当たり前に生を楽しむ。

人間がただ生きることは どうして楽しみに繋がらないんだろう。

この地に、土にとって人は異物であり

違和感がありすぎるのはどうしてなんだろう。

ぼくは一体誰の罪滅ぼしをしているのだろう。

どうしてぼくは人間にされたんだろう。

呪縛

この地に生まれて良かった。天と地に四季がある。内なる者と対峙するには、天に救いを求め自身の内に大きな四季を起こすしかないだろう。そこに時の経過は関係ない。強風に大粒の雨、海を荒立て渦潮の中を回転し大地に放り出され焼け付く日差しを浴びる。天を舞い地を這う者達は優しく、ぼくの思いを察しロープをついばみ食い噛みちぎってゆく。

固いロープは朽ち果てバラバラと体から剥がれ落ちてゆく。心は傷跡だらけだった。

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