あの寺

変えられない過去。変わらない自分。変わりたいと願い続けた。何度も胸に食い込む錆びた鉄格子を外したいと、不慣れな事にチャレンジする。何も続かない。楽しめない。なんだろう。この わびしさは・・・私は幸せになる権利を失ってしまったようだ。

そんな私が人生の半ばを過ぎたころ、自分が見知らぬ寺の前にいることに気づいた。と、その瞬間、私の人生とやらは終わった。

生まれてから死ぬまでの間に何が出来たのか、何をすれば良かったのか。人として生きる事は、私にはとても辛かった。正解が無いから楽しいと思えるほど楽観的ではなかったし、精神を病んで入院するほど深刻でもなく、平凡すぎると言えるほど幸せでもなかった。たまたま生を受け、何もかもを受け入れる事が出来ず、ふさいでばかりいた私を待っていたもの・・・

多分、私が見た あの寺は、飲み込み寺と呼ばれる寺だろう。驚いた。

おそらく死後だろうが、私は笑った。

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