つん

2005年11月生まれ、文章や詩歌・絵

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記事一覧

現代のアダムとイヴ

 自分が我を忘れて快楽に溺れ恍惚とした表情を彼にみせるとき、かわいいとしきりにいい仕切りに言い、彼は右手を握り上下に動かすのを速めた。ビデオを介してお互いの表情…

つん
4日前
2

りんごほっぺ癖っ毛

 彼女はおべっかを使うのが苦手で嘘を吐かなきゃいけない状況だと、モゴモゴと口篭ってしまうので僕はよく彼女を揶揄って遊んでいた。3年くらいもう会っていない。元気に…

つん
4日前
2

ひがん

白ワインを飲み干しちゃったあの日、 辛口が染みて涙が伝った。 お酒にだって救われないよ! ねぇ、なんでヒトは死ぬの 寂しいよ、悲しい。 わたしもいつか死ぬの ど…

つん
5日前
2

排気ガス食ってんのかグミ食ってんのかわかんない

死にたくなって 軽トラに轢かれた。 グミ食べて 顎関節症になる。 鳥肌立ったけど 飛べなかった。 翼のない鳥でも 生きているのだから それを理由に 生きないのはダメ…

つん
6日前
2

マッチに火を付けてフーッと息を吹きかける君

 その少女はカリカリに痩せていて麦茶を酒瓶をぐいっと飲むときのように飲んだ。茹だるように暑い夏、その姿は爽やかさすら感じた。常識や通例にとらわれない姿というのは…

つん
3週間前
4

ピアス

 その夜私は友人ではあるが性行為もする中途半端な関係の男の家に泊まっていた。    彼は現代アートみたいな変なピアスを付けていて、それは彼にあまり似合っていなかっ…

つん
3週間前
2

マンゴープリンを買いに亀有に

 亀有駅の発車ベル、エリーゼのためにが哀愁漂う。むかしはもう少し活気のある街だったのだろう。今は少し寂れた駅前のだだっ広い道が目立っている。こち亀が連載中のとき…

300
つん
3週間前
2

ひとくちエッセイ

 これ、タイトルがいいでしょ。ベッドでTwitter(意地でもXとは呼ばない)のスペースを軽く開いてるときに思い付いて、急いで書き留めた。今朝は昨日のお好み焼きの残りと…

300
つん
3週間前
6

おいしいってさ

 美味しくご飯を食べるには好きな人と食べることである。どんなに美味しいご飯でも嫌いな人とだと味がしない。砂を飲み込んでいるような、つまらない食事になる。誰と食べ…

400
つん
3週間前
2

こんな1日

 フランスで赤ちゃんを産む姉のために、母親は今日羽田空港からフランスのトゥールーズへ飛び立った。私はそれの見送りについて行って、荷物やチケットの受け取りを一緒に…

300
つん
3週間前
3

七月堂さんとの出会い

七月堂書店さんとわたしの出会いは下北沢にある三叉灯というアートカフェである画家と出会ったからだった。 そこにふらっと入ったとき、わたしは彼の絵に目を奪われた。独…

つん
3週間前
1

そんなひとりごと

砂浜に白ワンピとか
ベタなやつ
きみがやると新鮮で
かわいくて眩しくて
まあ大好きって
ことなんだけど
認めるのが恥ずかしくて
言えずにいたら
ぽっと出の男に
取られちゃった。
でもね僕の方が
きみが好きだよ。

つん
3週間前
2

揺れているさなか

空港の中でほんとうの意味で ひとりぼっちだったのは わたしだけだった。 苦しかった。 採光がよく入る 開放感のある天井で 行き交う人がいる中で わたしだけ目的地がない…

つん
3週間前
1

繭子にHはいらない

 そのだらんと垂れているものが生命の神秘ということが、わたしは信じられなかった。それが硬くなってぴーんと勃っていても、どこか間抜けである。かっこいいと思っていた…

つん
3週間前
2

きみが塗り潰してしまいたかった昔のきみの顔が、僕はとても好きだったから、表情が動くたび少し見え隠れする面影に胸を打つ。 きみがきみ自身をうつくしいと思えなかった…

つん
3週間前
2

ケロイド乙女

 キョウコの左頬には爛れた甘い柔らかいケロイドができた。戦火を浴びて生きているだけでも幸運だが、乙女の顔にこれだけの傷ができては、きっともう結婚はできないのだろ…

350
つん
1か月前
6

現代のアダムとイヴ

 自分が我を忘れて快楽に溺れ恍惚とした表情を彼にみせるとき、かわいいとしきりにいい仕切りに言い、彼は右手を握り上下に動かすのを速めた。ビデオを介してお互いの表情を見ているだけなのに密度がとても濃くてわたしは、液晶の前から逃げ出したくなっていた。そんなわたしを逃さずまっすぐ見つめてくる(それはまるで視姦)ので困ってしまってわたしは仕方なく、眉毛を下げて水に濡れた犬のような表情をする。そんなわたしをみ

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りんごほっぺ癖っ毛

 彼女はおべっかを使うのが苦手で嘘を吐かなきゃいけない状況だと、モゴモゴと口篭ってしまうので僕はよく彼女を揶揄って遊んでいた。3年くらいもう会っていない。元気にしてるかなとは気になるけど、自分から連絡を取るほどではない。明るい茶髪の癖っ毛で、丸い頬っぺたが彼女の特徴だ。癖っ毛の髪も丸いほっぺも気にしていて、誰かに揶揄われると頬が真っ赤になるのも可愛らしかった。二軒隣に住んでいるのに、時間帯が合わな

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ひがん

白ワインを飲み干しちゃったあの日、

辛口が染みて涙が伝った。

お酒にだって救われないよ!

ねぇ、なんでヒトは死ぬの

寂しいよ、悲しい。

わたしもいつか死ぬの

どこに行くのかわからないけど

ただ一度、あなたに会えたらと思うよ。

排気ガス食ってんのかグミ食ってんのかわかんない

死にたくなって

軽トラに轢かれた。

グミ食べて
顎関節症になる。

鳥肌立ったけど
飛べなかった。

翼のない鳥でも
生きているのだから

それを理由に
生きないのはダメだね。

人間なのに
言葉を上手く操れない

ひとりぼっちで地面に弧を描く

他の人に馴染めないんだ。
だから、
消えちゃいたい。

空気に溶けてふわっとね、どこかへ

マッチに火を付けてフーッと息を吹きかける君

 その少女はカリカリに痩せていて麦茶を酒瓶をぐいっと飲むときのように飲んだ。茹だるように暑い夏、その姿は爽やかさすら感じた。常識や通例にとらわれない姿というのは、こちら側には清々しく映る。彼女はその野生み溢れる姿から男の子から人気があった。意外にも思われるかもしれないが、世の男性の中には意外とマゾヒストが紛れているらしい。しかし、彼女は特定の人は作らずに遊び呆けていた。時折り複数人で行為に及ぶそう

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ピアス

 その夜私は友人ではあるが性行為もする中途半端な関係の男の家に泊まっていた。
 
 彼は現代アートみたいな変なピアスを付けていて、それは彼にあまり似合っていなかった。芸術とはなんなのかみたいな、彼は私の目をまっすぐみて真剣にそんな高尚な話をしていたが、その前衛的なピアスのせいでよく話が入ってこなかった。彼はなかなかハンサムな顔をしているのに、それでも打ち消せないくらい変なピアスだった。笑いをこらえ

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マンゴープリンを買いに亀有に

 亀有駅の発車ベル、エリーゼのためにが哀愁漂う。むかしはもう少し活気のある街だったのだろう。今は少し寂れた駅前のだだっ広い道が目立っている。こち亀が連載中のとき、日本はもう少し活気付いていたような気がする。もう全てが懐かしい。新しいジャンプに両さんが登場することも無くなった。

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ひとくちエッセイ

ひとくちエッセイ

 これ、タイトルがいいでしょ。ベッドでTwitter(意地でもXとは呼ばない)のスペースを軽く開いてるときに思い付いて、急いで書き留めた。今朝は昨日のお好み焼きの残りとお味噌汁を飲んだ。お好み焼きは広島のお好み焼きで、広島人の前では、絶対に広島焼きとは言ってはいけないそう。お味噌汁はキャベツと海藻が入っていた。祖父母がお家で作っているお味噌なので、とても美味しい。食後にキウイのパピコを食べた。さわ

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おいしいってさ

おいしいってさ

 美味しくご飯を食べるには好きな人と食べることである。どんなに美味しいご飯でも嫌いな人とだと味がしない。砂を飲み込んでいるような、つまらない食事になる。誰と食べるかがとても大事だ。

 今日はラタトューユと唐揚げを食べて、それは私が祖母を手伝った料理で、からあげの揚げ具合がちょうどよく美味しかった。美味しいものを作る方法、真心を込める。家族が笑って食べる想像をしながら作る。”おいしい”と家族が言っ

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こんな1日

こんな1日

 フランスで赤ちゃんを産む姉のために、母親は今日羽田空港からフランスのトゥールーズへ飛び立った。私はそれの見送りについて行って、荷物やチケットの受け取りを一緒にした。空港は多国籍の人間が沢山いて、みんな行く場所や帰る場所があるんだと思ったら微笑ましくなった。

 モノレールからみた車窓はいつもとびきりきれいで目から涙が溢れそうになる。行きは母と一緒だったから気丈に振舞っていたが、帰りは下を向いて隠

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七月堂さんとの出会い

七月堂書店さんとわたしの出会いは下北沢にある三叉灯というアートカフェである画家と出会ったからだった。

そこにふらっと入ったとき、わたしは彼の絵に目を奪われた。独特な暗さがある背景に光がないが綺麗な色をしている目を持つ中性的な少女が佇んでいる絵。深みのある赤や青や紫が美しかった。そのギャラリーは5、6人が入ったらぎゅうぎゅうになってしまうが、落ち着いた茶色の椅子が壁に寄り添ってコの字型に付いている

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そんなひとりごと

砂浜に白ワンピとか
ベタなやつ
きみがやると新鮮で
かわいくて眩しくて
まあ大好きって
ことなんだけど
認めるのが恥ずかしくて
言えずにいたら
ぽっと出の男に
取られちゃった。
でもね僕の方が
きみが好きだよ。

揺れているさなか

揺れているさなか

空港の中でほんとうの意味で
ひとりぼっちだったのは
わたしだけだった。
苦しかった。
採光がよく入る
開放感のある天井で
行き交う人がいる中で
わたしだけ目的地がない。
根無草だ。
彷徨っていて
正しく行先がない。
飛んでいけたら
わたしの苦しみも
異国の匂いがする街に
飛んで行く

繭子にHはいらない

 そのだらんと垂れているものが生命の神秘ということが、わたしは信じられなかった。それが硬くなってぴーんと勃っていても、どこか間抜けである。かっこいいと思っていたシゲ先輩の男性器を見たとき、繭子はそんなことを不躾に思った。いつもセックスの時に冷めてしまうのだ。

 それまでは大好きなので猛アタックを決める。でもセックスというものが繭子にとっては苦痛そのものでしかなかった。ウィットに富んだ切り返しや落

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きみが塗り潰してしまいたかった昔のきみの顔が、僕はとても好きだったから、表情が動くたび少し見え隠れする面影に胸を打つ。

きみがきみ自身をうつくしいと思えなかったこと、僕はそれに決して干渉することはできなかった。

きみの、皺が寄ることを気にしない屈託のない笑顔が好き。そういうところが変わらないとこ、ずるいね。

きみが痛みを我慢した分少しは救われた?

まだ最果タヒさんの模倣でしかないから、じぶ

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ケロイド乙女

 キョウコの左頬には爛れた甘い柔らかいケロイドができた。戦火を浴びて生きているだけでも幸運だが、乙女の顔にこれだけの傷ができては、きっともう結婚はできないのだろう。そのことについて未練はないが、生涯の伴侶がいない人生というのは心細い感じがする。内職と家事と実家の和菓子店の店番をする淡々とした毎日を過ごす。

 子どもに指を差され、化け物と言われることもあった。大概そばにいる母親に「やめなさいっ」と

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