現代のアダムとイヴ

 自分が我を忘れて快楽に溺れ恍惚とした表情を彼にみせるとき、かわいいとしきりにいい仕切りに言い、彼は右手を握り上下に動かすのを速めた。ビデオを介してお互いの表情を見ているだけなのに密度がとても濃くてわたしは、液晶の前から逃げ出したくなっていた。そんなわたしを逃さずまっすぐ見つめてくる(それはまるで視姦)ので困ってしまってわたしは仕方なく、眉毛を下げて水に濡れた犬のような表情をする。そんなわたしをみて益々たまらないのか、彼はより興奮する。性についての欲望を全て自分にぶつけられるときわたしはどんなときよりも生を実感する。足と足の間が燃えるように熱い。彼に会いたいと切なくなる。

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