マガジンのカバー画像

一歩踏み出せ、旅とならん

7
つむぐの旅にまつわるエトセトラ。参考になるかどうかはあなた次第。
運営しているクリエイター

記事一覧

旅は私をうやむやにしてくれる(『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』レビュー)

旅は私をうやむやにしてくれる(『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』レビュー)

会社を辞めたら世界一周旅行に出るつもりだった。物価の高いヨーロッパを長く回れるように貯金もしたし、帰国後どうやって生きていこうとのんきな悩みで頭を抱えたこともある。が、すべて杞憂に終わった。

コロナウイルスはまたたくまに世界中で猛威を振るい、日本列島にも上陸。外国どころか徒歩10分のコンビニすら気軽に立寄れない生活に。夢は先延ばし。今はさらなる資金稼ぎに集中しよう。

もちろん考えた。けど、会社

もっとみる
アラフォーのワニと100日後に死ぬワニ【癒しを求めて別府旅⑤】

アラフォーのワニと100日後に死ぬワニ【癒しを求めて別府旅⑤】

あんなに鬼尽くしだったじゃないか。
それが何故、急に、ワニなんだ。

右も左も見渡す限り頑丈な檻が続く。
動物園にしたってあまりにおっかないここは「鬼山地獄」。

メインの地獄はもうもうと蒸気を噴出し、色も薄緑色でいかにも温泉らしい。にもかかわらず、あまり印象に残っていない。ワニが70頭近くいるのだ。

いっぺんにこれだけのワニを見ることもそうそうないだろう、と浮足立っていたのは最初だけ。眠たいの

もっとみる
〝フェリー泊〟に憧れて【癒しを求めて別府旅①】

〝フェリー泊〟に憧れて【癒しを求めて別府旅①】

「フェリーっていう手もありますよ」

同僚の一言にスマホをなぞる指が止まった。
後輩と別府旅行の計画を立てていたが、予算を前に「夜行バスかあ」「夜行バスなあ」「夜行バスねえ」というお決まりの逡巡の只中だった。

「雑魚寝なら片道1万円切りますし、売店も大浴場もゲームセンターもあるんで結構快適ですよ」

いつにもまして饒舌に語る同僚。
確かに夜行バスは乗車前に風呂を済ませておくのがやっかいだ。早朝に

もっとみる
迷子のすすめ【癒しを求めて別府旅②】

迷子のすすめ【癒しを求めて別府旅②】

迷った。

亀川駅前、バスの案内看板を前に思った。

そもそもは市場で海鮮丼を食べたかったのだ。

ところがたどり着いたのは「関係者以外立入禁止」のすげない札。業者さんしか入れない別府市公設地方卸売市場と飲食店のある大分市公設地方卸売市場を勘違いしていたのだ。下調べを怠った罰である。

ちなみにそこから車で30分ほど離れている。こう聞くと近く感じるが、徒歩ならなんと3時間半!地獄にたどり着く前に地

もっとみる
地獄のナンパにご用心!【癒しを求めて別府旅③】

地獄のナンパにご用心!【癒しを求めて別府旅③】



門に鬼、看板に鬼、庭に鬼、自販機も鬼、果ては休憩用のテーブルにも角がニョキっと。

鬼尽しのお出迎えである。
世にも恐ろしい異界の生き物なのだから少しは怖がってもいいのだが、いかんせんポップで賑やかな感じである。顔出しパネルも鬼に首根っこを掴まれた子どもたちが、どう考えても窮地に追い込まれているのにピースをしているのだ。だから私たちもふざけた顔で写真を撮りまくった。

と呑気なものだが、肝心の

もっとみる
我が家の秘湯へようこそ【癒しを求めて別府旅④】

我が家の秘湯へようこそ【癒しを求めて別府旅④】

「このかまど地獄には一丁目から六丁目まで名前がついた6つの地獄があるんです」

きちんと調べてきた後輩を頼りに、まずは一丁目。柵の上からのぞいてみると……

ぬかるみ!?
田んぼ道の水たまりみたいな色とサイズだけど。侮るなかれ、歴とした90度の熱泥。このなんとも親しみのある色は粘土が溶け出しているからだそう。

二丁目では巨大な赤鬼が待ち構える。じっと見上げているうちに、誰かに似てるような……あ、

もっとみる
旅行は旅行前から旅行です。【旅行前に買ってよかったもの2019】

旅行は旅行前から旅行です。【旅行前に買ってよかったもの2019】

まずコーディネートを考えるのが面倒になる。

体が勝手にGUに向かう。
真っ白な店内でふとスニーカーの汚れが目に留まり、今度は靴屋に寄る。

こうなるとかわいいアクセサリーをつけたくなるのが乙女心というやつで雑貨屋へ。

あ、お泊り用の化粧水がないや。
と覗いたドラッグストアで限定リップに一目惚れ。

最後に圧縮袋とウェットティッシュ、あと便利そうなものなんかないかな、なんて百均に足を踏み入れたら

もっとみる