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シネマ・エッセイ 〜暮らしに映画のエッセンスを

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人生の旅路という表現が意味するように、時に人生は旅に例えられる。映画は、さまざまな人生の縮図。旅をするように楽しむ。日常の、または非日常の暮らしにもっと映画のエッセンスが注がれた…
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2024年3月の記事一覧

映画『哀れなるものたち』

映画『哀れなるものたち』

つい先日こんな広告を目にした

LIFE WITH ART

アート週間を伝えるものだったと思う

私は常々思い考え記していることだが

人生は旅 そして人生は映画だと認知している

また映画はまさに総合芸術である

つまり 私の頭の中ではこんな関係になっている

人生=旅=映画=芸術

よって LIFE WITH ARTという表現にはいささかの矛盾を感じざるを得ない

こんな小難しいことと向き合

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映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』

映画『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』

今年上半期映画ファンの中で話題となっている
『ファースト・カウ』

ドーナツ、牛、わんちゃんなどの様々な構成要素

時と空間を超えた友情が
そのすべての要素をつなぎ留めていたということを
『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』を鑑賞後
再確認した

日常が崩れ去った後に訪れる「自由」

二人の主人公は互いに不治の病におかされ 死の存在と対峙していく
その過程で 生涯の同志のような間柄になっていく

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映画『NOSTALGHIA ノスタルジア 4K修復版』

映画『NOSTALGHIA ノスタルジア 4K修復版』

それにしても
このポスターの惹句にはただただ圧巻

‘もはや、すでに。‘

タルコフスキーに初めて触れたのは昨年のこと
4月に亡くなった坂本龍一さんの追悼を込めて
坂本さんのドキュメンタリー映画2作品
そしてタルコフスキー監督作品の特別上映が
行きつけの映画館にて開催された

『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』を鑑賞
ソ連当時モスクワにて これらの作品を観ていたというロシア人の女性と出会い
鑑賞

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映画『夜明けのすべて』

映画『夜明けのすべて』

2022年12月初旬 私は鳥取に向かった
バスを乗り継いで13時間30分
到着した時はすでに深夜前
降り着いたバス停のあたりには 街灯がなく
天上に輝く星たちが 旅の道先案内人となった

2023年12月に故・青山真治監督展覧会のトークイベントにて
三宅唱監督と出会う
『ケイコ目を澄ませて』も鑑賞したが
実は私が三宅唱監督を知ることになったのは それよりも前
コロナ禍で開催されていた『現代アートハ

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映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』

映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』

世界中24時間 どこかでタクシーは走り続けている

LA ‘あたしが生きる道じゃないわ‘

NY ‘金は必要だが重要ではない‘

パリ ‘映画を感じるのよ 説明してもムダね‘

ローマ ‘これからの人生は一方通行‘

ヘルシンキ‥‥‥ 愛は時として酷であることを受け取った

日々の暮らしにはこんなにも 自然原理の哲学があふれていることを確認した

ジャームッシュ監督は そのことを自ら受容し、表現し

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映画『東京画』

映画『東京画』

巨匠・小津安二郎監督の墓跡には
「無」と一文字だけが刻まれている

小津監督を敬愛する映画監督および関係者は数多

小津作品には欠かせない逸材である笠智衆さん
監督からの演技指導に必死に順った笠さんは語る
「自分を忘れて 白紙になる術を学んだ」と

乾為天の二爻「見龍」
周りを見て頑強な型を作る時
一度できた土台は揺るがない
笠さんは小津監督から一生ものの役者としての「型」を授かった

いまはただ

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