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自選傑作集「澱」

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自慢の作品群です(エゴ) 全部怪談です
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五十五話「竹崎くんの家(仮)」

五十五話「竹崎くんの家(仮)」

今回は「これしかないな・・・」と判断してこのタイトルにした。
そして、以下は所々ぼかしているので、あくまでも都市伝説として読んで欲しい。

話をしてくれた福田さん(仮)の地元には、『竹崎くんの家』と呼ばれる密かな心霊スポットがある。
無論、上記の“ 竹崎 ”というのも仮名である。

このスポットのことでネット検索をかけたり、近隣の人に話を聞いてみたりすると

「むかし、竹崎一家がそこで壮絶な一家心

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五十一話「奇譚-その8-」

五十一話「奇譚-その8-」

その1

「よくお風呂場で髪を洗っていると後ろから視線を感じる・・・なんて話がありますよね」

昼間のファミレス。
明るい店内と比べて、どこか暗い感じのするSさん。
彼女がそんな風に話し始めた体験。

先の例に漏れず、Sさんがお風呂場で体を洗っていたときのこと。
妙な違和感があった。

沸き上がる奇妙な感覚を掻き消すかのように、両手で身体中をまさぐる。

すると、一ヶ所だけ肌触りの違うところがあっ

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五十話「こなきじじいの話」

五十話「こなきじじいの話」

 Gさんが学生だった頃の体験。

 友人であるKくんの家で仲間たちと飲んでいたときのこと。

 珍しく話題が尽きかけて、ふとした拍子にしばらくの沈黙が訪れた。
 すると、いつも騒がしいKくんが、おしゃべりの虫が騒いだのか唐突に昔話を始めた。

 Kくんはある山田舎出身だという。
 そこでおじいさんと両親の4人暮らしをしていたそうだが、いつの頃からかおじいさんに痴呆が進みはじめた。

 次第にいうこ

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二十八話「ケンタおじさん」

二十八話「ケンタおじさん」

 読者のみなさんが小学生だったとき、下校時の帰り道で出くわす印象深い大人というのが、一人や二人はいたのではないだろうか。例えば、道端で掃除をしていて「おかえり」と必ず挨拶してくる知らないおじさんや、帰り道にある駄菓子屋の前で腰掛けている気前のいいおばさんなど、そういった人物である。

 しかし、時が経つにつれ、名前の知らない彼らの行動は覚えていても、顔つきや服装、そういった細かい情報はうろ覚えにな

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十七話「へびのおきもの」

十七話「へびのおきもの」

 専業主婦のSさんの体験。

 Sさんのひとり娘、Nちゃんが幼稚園に通っていたときの話。

 幼稚園で先生の指導のもと、「工作をする」という機会が誰しもあっただろう。男性であれば怪獣だの恐竜、車やら、女性であれば花や動物、可愛いもの・・・といった感じで、いろいろな物の工作をしていたと思われるが、Nちゃんの場合は、他の園児と違った、奇妙な傾向があった。

 それは、『蛇しか作らない』のである。

 

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十六話「蕎麦処の女将」

十六話「蕎麦処の女将」

 単身赴任で働くWさんの体験。

 Wさんの趣味の一つに、食べ歩きがある。それはネットや雑誌で有名な店ではなく、町中華や個人で経営している食堂、特に蕎麦屋には目がないという。チェーン店とはまた違う、客層やメニュー表、その個人店独特の雰囲気がたまらないそうだ。

 ある休日の昼間、なにか食べようと行きつけの店に行ってみると、そこが店員の体調不良から急遽休店となっていた。

(これも個人店ならではだな

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十二話目「桜姫」

十二話目「桜姫」

 Kさんの小学生時代の体験。

 当時のKさんはいわゆるませた子供で、大人のやること言うことに抵抗感をもっていたという。
 数ある理解できないものの一つに「花」があった。
 なかでも、春になると大人たちが花見をして、ドカドカと大騒ぎしだすのが一番理解できなかったという。

「どうせ散ったり枯れたりするのに、そんなものをみてなにが楽しいんだろう」
 そんな風に思っていたそうだ。

 春のある日のこと

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十一話目「虫人形」

十一話目「虫人形」

 みなさんは『疳の虫』をご存じだろうか。
 子供の手をみて呪いをかけると、そこから出てくる白い糸や煙状のようなもの。乳児の異常行動の原因ともいわれるもの。
 この『疳の虫』を抑える祈祷のことを『虫封じ』や『虫切り』などと呼ぶらしい。

 今回は、知り合いの美樹さんが「『疳の虫』といえば……」と、話してくれたある思い出話。

「うちのお婆ちゃんはね、『虫切り』をしてくれる呪い師ってことで近所でも有名

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七話目「背面の家」

七話目「背面の家」

背面の家「2chに『背無し』っちゅう話あるやろ?あれ聞いて思い出したんやけど・・・」

 渋々とそんな顛末から話していただいたSさんの故郷の話。

 Sさんの地元には誰が管理しているのかわからない一軒家がある。
 変わった一軒家で、あらゆる窓が雨戸で締め切られており、道路に面した玄関扉が閉められた状態で放置されている。
 特筆すべきはその玄関口で、家に対して左右対称、ちょうど真ん中に位置しているの

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二話目「小人がくるぞ」

 OLのSさんから聞いた話。

 Sさんの同僚にNくんというごく普通の青年がいた。
 正直、Sさんからすると彼はなにを考えているかわからず、どことなく苦手な人物であった。

 会社の飲み会の帰りのときのこと。
 SさんはNさんと二人きりで帰路についていた。

「…思えば、変な状況だったんです」
 そのとき、酒が強いことで知られていたSさんは珍しく悪酔いしていた。
 逆にいつもおとなしくしているNく

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三話目「腰掛けババア」

三話目「腰掛けババア」

「誰かに話しても『え、嘘でしょ~』っていわれるんですけどね」
…と、大学生のEくんが話してくれた体験。

 Eくんの所属しているサークルの先輩で、Mさんという男性がいた。
EくんとMさんは、先輩と後輩の関係といえど、「いいバイトはないか?」とか、「彼女にフラれた」…だの内容の重さに関係なく、面と向かって話せる仲だったという。そんな彼が、ある時を境にパタッ…とサークルに来なくなり、全く連絡もとれなく

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