西川東(にしかわあずま)

週一で怪談あげます。そう口にしていた詐欺師です。 ↑そんなこと言ってたら週一であげれ…

西川東(にしかわあずま)

週一で怪談あげます。そう口にしていた詐欺師です。 ↑そんなこと言ってたら週一であげれるようになってきました……と思っていた時期もあったんですよ。 名前が読みづらいので改名しました。

マガジン

  • 黒日記

    へんな話を集めました。だいたい創作です。だいたい。 五話目は諸事情から「ケツバン」です。

  • 奇譚

    投稿作品のなかで『奇譚』と名付けて「あるテーマにそった3つの話」をまとめて出しているシリーズ特集です

  • 自選傑作集「澱」

    自慢の作品群です(エゴ) 全部怪談です

  • 短編集「父の日」

    父の日にちなんで、自分が書いたなかで父親が出てくる、絡んでくる話をかき集めました。怪談です。

  • リライト

    聞いた話をリライトします。だいたい禍話です。

最近の記事

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十一話目「虫人形」

 みなさんは『疳の虫』をご存じだろうか。  子供の手をみて呪いをかけると、そこから出てくる白い糸や煙状のようなもの。乳児の異常行動の原因ともいわれるもの。  この『疳の虫』を抑える祈祷のことを『虫封じ』や『虫切り』などと呼ぶらしい。  今回は、知り合いの美樹さんが「『疳の虫』といえば……」と、話してくれたある思い出話。 「うちのお婆ちゃんはね、『虫切り』をしてくれる呪い師ってことで近所でも有名だったの」  しわくちゃで、いつもニコニコしていた祖母は呪い師と人形師を兼業し

    • 七十話「顔をかいた話」

      「この話、正直あんまり話したくないんですよ。……聞かれたくないもんで……」 初老の男性は、仏間まであげてくれた柔和な態度とは違い、険しい顔で辺りの襖を一つ一つ丁寧に閉め、人差し指ですーっと空を切るように周りを注意深く窺いながらそう呟いた。 そして男性はメモ帳になにかを書き、机のうえに二重線で強調されたその『注意書き』なるものを置くと、無言のままそれを指差した。 私が『注意書き』を読んだことを確認すると、初老の男性は一言一句に気を使いながら、ゆっくりと話し始めた。 以下

      • 六十九話「山群」

        よくわからない、現在進行形の話。 数年前、Yさんが通勤電車に乗っていたときのこと。 携帯の電池が切れそうになっていたため、視線を手元から車窓の方へと移した。 陽の光を遮るどんよりとした曇り空。 似かよった色形の家宅を切り貼りしたような住宅地。 灰色のつまらない光景が広がっていた。 そんな光景でも、いつも携帯をいじってばかりで見逃していたせいか、新鮮味があってぼんやりと眺めるにはちょうどよかった。 そこから電車はぐんぐんと沈みはじめ、真っ暗な地下線路を潜航する。 それも束

        • 六十八話「奇譚-その12-」

          その1 Uさんが連れ合いと一緒に、ある心霊スポットに忍び込んだときのこと。 ある一室の扉を開いたところ「ギィィィーーーーッ!」と大きな音が出た。明かり一つない暗闇が露になると、 そのまま天井の方から「ぺった!ぺった!ぺった!ぺった!」と音が近づいてきたので、Uさんら一行は声をあげて逃げ出したという。 「だってその『ギィィィーーーーッ!』も、『ぺった!ぺった!ぺった!ぺった!』ってのも、全部その部屋のなかから聞こえた人の『声』だったんだわ」 いまでもUさんは、あのときソ

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        十一話目「虫人形」

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          67本
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        • 自選傑作集「澱」
          11本
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          6本
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          3本

        記事

          六十七話「奇譚-その11-」

          その1  地元の電機製品店でアルバイトをしていた聡子さん(仮名)の体験。  ある日、商品の埃を取り払っていると、どこからともなく子供の歌声が聞こえてきた。 「ハッピーバースデートゥユー、ハッピーバースデートゥユー、ハッピーバースデートゥユー、・・・」  その部分しか繰り返さない女の子の声がどこからするのか辺りを見回すと、青い顔をした店員さんが首を振って「やめろ」とジェスチャーを送ってきた。  不思議なことにお客さまには歌声が聞こえていないのか、何食わぬ顔でいるのが気

          六十七話「奇譚-その11-」

          六十六話「奇譚-その10-」

          その1  Oさんが小学生の頃の話。  新年改めて親戚一同が集まるなか、曾祖父から子供らにお年玉が配られた。  おせちも食べ終わり、つかの間の自由時間が訪れるや否や、Oさんは宛がわれた寝室に戻り、若干の厚みをもち「お年賀」と書かれている封筒を覗きこんだ。  白熱灯の明かりのもと、スッと滑りでた紙面をみたOさんは思わず声を漏らした。すかさず中身を両手で広げると、皺ひとつなく、黄金色に輝く三枚のお札が露になった。  その右端に書かれた『0』の数に思わず笑みが溢れたOさんだったが

          六十六話「奇譚-その10-」

          明日の文学フリマ東京37はこういうの出します! きー25 「御泥堂」にて 270ページで¥1000です! (B6サイズです)

          明日の文学フリマ東京37はこういうの出します! きー25 「御泥堂」にて 270ページで¥1000です! (B6サイズです)

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          文学フリマ東京37出品内容(きー25)

          文学フリマ東京37出品内容(きー25)

          はい、お久しぶりです いま、こんな感じの同人誌の作成に追われていて、忙しいんですの! 興味ある方は11/11(土)の文学フリマ東京のブース(き-25)、『御泥堂』でお会いしましょう webカタログはこちら https://c.bunfree.net/c/tokyo37/h2e/%E3%81%8D/25

          はい、お久しぶりです いま、こんな感じの同人誌の作成に追われていて、忙しいんですの! 興味ある方は11/11(土)の文学フリマ東京のブース(き-25)、『御泥堂』でお会いしましょう webカタログはこちら https://c.bunfree.net/c/tokyo37/h2e/%E3%81%8D/25

          新作をあげるあげるいうて、全くあげれてないのでお話ししますね (録音は木曜まで残します) https://twitter.com/tosen_nishimoto/status/1707348297307037883?t=m8qrA0kHwqi3toDgV4vjfQ&s=19

          新作をあげるあげるいうて、全くあげれてないのでお話ししますね (録音は木曜まで残します) https://twitter.com/tosen_nishimoto/status/1707348297307037883?t=m8qrA0kHwqi3toDgV4vjfQ&s=19

          六十五話「タヌキのしっぽ」

          K老人がまだ幼かったときのこと。 近所の神社に向かう途中にある、山道の入り口に大きな岩があった。 岩自体はなにも変わらない。いつも通り静かに佇んでいる。 ただ、その下部にある僅かな隙間からしっぽが伸びていた。 「まんまアレだよ。おとぎ話の絵本とかに描かれる、あのタヌキのしっぽみたいな」 説明するには一番それが近かったそうだが、実際のそれは、黒々として、艶のある細かい毛が広がっていて、見るからにふわふわとしていた。 そして、なによりも大きかった。 大人の背丈ほどのものが入

          六十五話「タヌキのしっぽ」

          まーたまた先伸ばししま~す (連日忙しかったため) 洒落怖の『くねくね』を考察した話は来週ということで……

          まーたまた先伸ばししま~す (連日忙しかったため) 洒落怖の『くねくね』を考察した話は来週ということで……

          ひ~~~ ほんとは8/16にあげるはずだった 「あるネット怪談を考察した創作怪談」は来週の水曜にあげます~~~ 本の編集が終わらんのよ~~~~

          ひ~~~ ほんとは8/16にあげるはずだった 「あるネット怪談を考察した創作怪談」は来週の水曜にあげます~~~ 本の編集が終わらんのよ~~~~

          六十四話「お眼鏡にかなう」

          もしかすると、今回は怪談の類いではないかもしれない。 学生だったIさんという方の話。 彼は視力が悪く、本来は眼鏡をかけるべき人物なのだが、文字も人の顔もなんとな~く判別できるので裸眼で生活していた。 しかし、ある日、ひょんなことから車の免許をとることになった。 そうすると必然的に眼鏡を作らざるを得なくなった。 初めての眼鏡に感動を覚えたIさんは、しばらくずっと眼鏡で生活していた。 ある日、久しぶりに大学にやってきたIさんは、眼鏡をかけていなかった。 そして、「相談

          六十四話「お眼鏡にかなう」