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音楽におけるプロとアマチュアの線引き

音楽におけるプロとアマチュアの線引きとはどこにあるのか。先日そんな話をしたのですが、リアルな結論ではありますが、やはりそこにはお金が関係してくると思います。

以下、自分の考えです。


一人称の目線

まず、プロアマの線引きにはいくつかの視点がありまして、一人称、演奏者側からだと、

プロ:演奏等音楽に関わることで対価をいただくと決めている
アマ:対価関係なく演奏をしている

と考えます。例えば一般の楽団は月額の参加費などを払っているわけですから、ここに参加している方はアマチュアと定義します。一方プロはその楽団の人たちが支払った団費の中からエキストラや指導者として参加することで、その行為に見合った報酬を支払われる側を指します。

お金をもらうことで演奏するのか、お金を払って演奏するのか、それを決めるのは自分自身です。(自称)プロの場合、自分が決めている金額をいただけるかが基準になっています。ですから、この文章をご覧くださっているプロの方、もしオファーがあってその報酬が「交通費と本番のお弁当」だけだったら受けないはずです。交通費は経費であり、収益にはなりませんからね。

ただし例外はあります。例えば友人の結婚式で演奏するとか、祖母の誕生日に1曲プレゼントするとか、そういうことを無報酬でしたからプロではない、なんてことはあり得ません。これは心の問題。

アルバイトをしていてもプロである

演奏活動等で収益になる金額を依頼側から払ってもらうのがプロなので、それ以外にアルバイトや副業をしていても「音楽家としての立場はプロである」と言えます。別に生活費すべてを音楽活動によって得ているかどうかは、プロアマの線引きとは関係ないと考えます。一人称的に言えば自覚の問題なのです。

では目線を変えてみます。

二人称、三人称の目線

いくら自分がプロだと言っていても、その人にオファーし、納得のいく金額を支払ってくれる人がいなければ、この構図は成立しません。
さらに、場合によっては主催側が演奏会を企画し、その演奏会のチケットを購入してくれる人が複数いなければいけないのです。

ですから、結局のところ(自称)プロがいくら「自分はプロでございます」と言ったところで、この構図が完成しなければ、結果的にプロにはなれない、というわけです。

結論。音楽においてのプロというのは、自分が決めるのではなく周りが決めるのです。

ただし難しいのが、その(自称)プロがどの程度演奏等で収益を上げているかが確定申告書を提示するわけにもいきませんからパッと見てわからない場合が多いのです。
そのため、純粋に自分の音楽を知ってもらうためのPR活動をしなければ始まらないわけです。

ひとつひとつの依頼された演奏に対して高い完成度の結果を出すとか、YouTubeで自分の実力を聴いてもらうなど、「この人に演奏してもらいたい」と思ってもらえるようにしなければならないのです。そのために最初(音大生の頃)は経費だけでも依頼を受ける、という選択肢もあるかもしれません。ただ、一度それで受けてしまうと「経費だけで演奏してくれる人」と定着してしまう恐れもあるため、仕事の請け方が難しいところでもあります。

そして、「また来てもらいたい」と思ってもらえる要素には、演奏の実力だけでなく、その人の人間性も大変重要になっていることも覚えておく必要があります。「演奏はいいんだけど、とっつきにくくて空気悪かったな」と思われたら、多分もう呼ばれないと思います。

これが僕の考えるプロとアマの線引きです。

ただ、「俺はプロだから」なんて恥ずかしすぎて今の今まで一度も言ったことありません。そんなこと言う人は単なる自称プロで周りからは認められていないと思いますのでご参考までに。


荻原明(おぎわらあきら)

荻原明(おぎわらあきら)です。記事をご覧いただきありがとうございます。 いただいたサポートは、音楽活動の資金に充てさせていただきます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。