何度も間髪入れずに吹き直すのはあまり良い練習ではありません
レッスンで生徒さんにとって難しかったりやりにくそうなフィンガリングや音域が出てきたりすると、何度も何度も間髪入れずにその部分を吹いてしまう、そうした方が結構多いです。
レッスンだけでなく日頃の個人練習でも同じですが、できないところを何度も吹きまくるのは良い練習ではありません。その理由は以下の通りです。
1.間違った理由がわからない
同じ部分を繰り返し吹いている理由は、上手く吹けるまで続けているからで、言い方を変えればそれは上手くいかなかった状態の連続であり、それらすべてを単なる「ミスした」という理由で廃棄しているわけです。
しかし、僕はレッスンで「上手くいかなかったものにも理由がある」とお話ししています。なぜ上手くいかなかったのか、どこに問題があったのかを振り返り、次どのように演奏したら改善されるのか仮説を立てて実践する、という流れを組むことが大切なのです。
2.正しく演奏できた理由がわからない
「1.間違った理由がわからない」のと同じで、なぜ正しくできたのか、その理由が明確に捉えることができません。例えばレッスンで高い音を1発で当てるという内容を実践していた際、出したかった音の1つ下の倍音が出てしまったときに僕はミスをしたとは言いません「1つ下の倍音を出す設定としては成功していた」という言い方をしています。要するに「もう1つ上の音を鳴らすためにはアパチュアに到達するスピードを今よりも上げればよい」と考えることで発展的な練習になるわけです。
もちろん、そのためのスピードを上げる具体的な方法を理解していなければなりませんから、レッスンでは細かく解説をすることも多いですが、個人練習時にも同じように実践してほしいと思います。
3.本番はやり直せないから
何度も吹いてしまうのはクセになっているのも理由のひとつですが、この状態、心理的には「何度でも吹ける」という安心感も含まれています。
一方で、本番や合奏練習では自分の都合でやり直しができません。一発で楽譜に書かれた音を出さなければならないこと自体がプレッシャーになり、練習の成果を発揮することができないのです。
間髪入れない反復練習はクセになります。この練習をしてしまう方は「根性練習」の素質が備わっていることが多いです。
練習時にもクオリティの高いものを毎回丁寧に行うことが大切です。そのためにはまず落ち着いた心理状態であること、集中した精神力を持っていること、常に音楽的なイメージが頭の中の多くを支配していること、計画的な時間の使い方(休憩をこまめに沢山取ることも含む)をすることなどが挙げられます。
練習時も本番のことを想定して音をだすように心がければ、今以上に合奏で演奏する時に自信がつきますし、楽しくなると思います!
荻原明(おぎわらあきら)