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歴史本書評

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オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
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2022年12月の記事一覧

【書評】渡邊大門『豊臣五奉行と家康』(柏書房)

【書評】渡邊大門『豊臣五奉行と家康』(柏書房)

 一般的に、関ヶ原の戦いは「豊臣秀吉の死後に主導権を握ろうとした徳川家康と、それを阻止しようとした石田三成の戦い」と認識されていると思います。

 しかし、近年は研究の進展が著しく、合戦のとらえ方はかなり変化してきています。例えば、合戦中に寝返ったとされてきた小早川秀秋は、実は開戦と同時に裏切っていた、という風に認識が変化しました。

 本書は、「豊臣五奉行」に焦点を当てて、関ヶ原合戦に至る権力闘

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【書評】ニコラス・スパイクマン「平和の地政学」(芙蓉書房出版)

【書評】ニコラス・スパイクマン「平和の地政学」(芙蓉書房出版)

 今世紀に入ってブームとなった感のある地政学。今や、書店には「地政学」を冠した本が数多くあります。私も最近、下記の本に関わりました。

 手に取りやすい本で入門するのはいいことですが、やはり古典的な書物を読んだ方が本当の教養につながるでしょう。

 とはいえ、地政学の祖とされるマハンやマッキンダーの著作は、一般にはハードルが高いように思われます。マハンの文章は非常に難解ですし、マッキンダーの著書は

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