見出し画像

大河「いだてん」の分析【第21話の感想】 女学校編スタート

アントワープから帰国した金栗四三。いつも何かを追いかけている四三の次の夢は、“女子スポーツの普及と発展”であった。

〜あらすじ〜
1920年、アントワープオリンピックでメダルを逃した四三(中村勘九郎)は失意の内にヨーロッパを旅し、第1次世界大戦の傷跡が生々しいベルリンを訪れていた。そこで四三が目にしたのは戦災に負けずにたくましくスポーツを楽しむ女性たちだった。その姿に大いに刺激を受ける四三。帰国するとスヤ(綾瀬はるか)から引退して熊本に帰るよう頼まれるが、その胸には日本に女子スポーツを根付かせるという固い決意が生まれていた。


1、“駅の回と道の回”という考え方

むかしむかし、ほぼ日で糸井重里さんたちが『タイガー&ドラゴン』(いだてんの脚本家、宮藤官九郎の代表作のひとつ)とか『新選組!』(脚本家三谷幸喜による大河ドラマ作品)の放映直後に感想会放談を記事にして連載してた。さっきそれをひっぱりだしてきて確認したのは、その中で糸井さんが提唱した「道の回・駅の回」という“連ドラの構造に関する考え方”の復習のためだ。
その“考え方”の説明を下記に引用する。

どうやらこのドラマには
「道の回」と「駅の回」があると思うんですよ。
今回は「道の回」なんです。
こういうふうなことで、
どこに行きますやら‥‥というのは
「道の回」なんですよ。
一方、「駅の回」というのは
そこにすたっと止まってやるんですよ。
「池田屋」のエピソードなんかそうですよね。
「寺田屋大騒動」は「道の回」なんですよ。
(中略)
つまり、大きくいうと、
『新選組!』というドラマの構造は、
「道の回」がしばらくあって、
「駅の回」がガツンと来る、
というふうになっているんです。
まあ、わかりやすくいうと、
こういうようなことがわーっとありまして
なんやなんやなんやかんやずどん!
という感じで続くわけですよ。

この考え方に則ると、今回のいだてん、第21話は、「道の回」である。

アントワープのオリンピックが終わり、次の目標への充電期間。新しい環境と、新しい登場人物たち。新しい髪型に、新しい夢。いろいろと今の状況を伝える回。

前回のアントワープの結果報告会が「駅の回」だったから、今回は“どこに行きますやら”の「道の回」。大河ドラマ全体での大きなリズム感。
毎回毎回、毎分毎秒がドラマチックだと胃もたれするので、ドラマには適度な山が必要だということだ。特に大河なんて長丁場だから、リズムの刻み方が重要だろう。

2、それぞれの世界が一歩ずつ変化

今回は大きくいうと4つの話から構成されている。

① 四三とスヤの夫婦の再開。熊本に戻らず東京で一緒に住もうと抱きしめる四三。

② 第二高等女学校に四三が赴任。学生の村田富江(黒島結菜)たちと出会い、スポーツの楽しさを喧伝する四三。

③ シマ(杉咲花)が増野(柄本祐)とお見合い結婚。結婚後もシマは先生として働き続けることに。

④ 浅草では清さん(峯田和伸)と小梅(橋本愛)がなぜかひっつき小料理屋を営んでいる。孝蔵にお見合いを紹介。

それぞれの世界がそれぞれで一歩進んでいる。状況に変化がつき、広がっている。メインストリームは女学校にシフト。登場人物も増えてきた。“女学生たちがスポーツの魅力に目覚めていく過程”がここから描かれる。

3、五りんの父親は誰か問題

「結局、1963年の五りんは誰の息子(孫?)なのか」という論争がツイッター界隈で地味にもりあがっている。
今のところ、決定的なヒントはない。

今回、五りんは高座にあがりシマの結婚式の経緯を語りながら、ぽろぽろと泣いた。それで視聴者のぼくらは「おや?」となった。「シマの関係者なんだっけ?」と。
年齢関係を洗ってみよう。

◆シマの年齢
・1923年時点…ざっくり22歳頃で結婚
       (高師の卒業後に教師はじめたばかりが目安)
・1943年頃…約40歳
・1963年頃…約60歳

◆五りんの年齢(逆算)
・1963年頃…ざっくり20歳くらいと予想
       (恋人のチャラさも目安に)
・1943年頃…この頃に産まれる

うむー、シマの実の子供と考えるのはちょっと歳が離れてるかなあ。それに父親は箱根駅伝選手だったと五りんが言っていたが増野にその気配はない。
「シマの孫」だとしたら、シマがもうすぐあわてて子供を産まないと成立しないかも。

というわけで、ぼくの分析見解では「シマと五りんの血縁関係説」は、懐疑的。

これまでにでているヒントを再整理しておくと、

・父親は、満州で志ん生の高座を聞いた
・父親は、満州で亡くなった
・五りんは父の記憶がほとんどない
・父親は、箱根駅伝に出たことがある
・父親の教えで、毎日水浴びをする習慣がある
・母親は、播磨屋で働いていた

素直に読みとると、やっぱり四三の血縁と考えたほうがシンプルだ。

四三の息子かというと、歳が離れすぎている(実際にはこの時代は子沢山な時代だから、70歳で20歳の息子もいると思うが)。

「四三の孫」と考えるのが一番年齢的にはドンピシャじゃないの?と今日時点ではかるくつぶやいておく。

今回はこのあたりで。(おわり)

※他の回の分析感想はこちら↓


コツコツ書き続けるので、サポートいただけたらがんばれます。