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トーチズ散歩

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TORCHESのマガジン第2弾です。不定期で更新していきます。
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#散歩

015『茨城を歩く ~牛久・霞ヶ浦・竜神大吊り橋~』

015『茨城を歩く ~牛久・霞ヶ浦・竜神大吊り橋~』

015『茨城を歩く ~牛久・霞ヶ浦・竜神大吊り橋~』

文:守屋佑一

2011年9月23日

あの旅から1年が経ち、僕は大学を卒業し、社会人となっていた。
僕が就職した先は地元の農協。イベントや集荷などで休日出勤もかなり多く、夏休みも無かったが、基本的には土日祝日が休日となっていた。僕は休日には野球をするか家の畑を手伝うかだったが、だんだんと一人暮らしにも慣れ、旅に出たい欲求が高まり、祭日の多い

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014『西日本を歩く9(完結)~滋賀・愛知・エピローグ~』

014『西日本を歩く9(完結)~滋賀・愛知・エピローグ~』

014『西日本を歩く9(完結)~滋賀・愛知・エピローグ~』

文:守屋佑一

2010年9月20日

12日の深夜に小田原を出発し、兵庫・岡山・広島・山口・福岡・大分・宮崎・鹿児島・熊本・佐賀・島根・鳥取そして滋賀と旅してきたが、ついに最終日が訪れてしまった。

この前日に泊まった琵琶湖のふもとの漫画喫茶で無料サービスのモーニングを食べて、琵琶湖を少し見て、ちょうど帰り道だし名古屋にでも寄って帰る

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012『西日本を歩く7~福岡・山口・島根・鳥取~』

012『西日本を歩く7~福岡・山口・島根・鳥取~』

文:守屋佑一

2010年9月18日。

朝の8時頃、ダーツがブルに当たる音で目か覚める。漫喫のブースから顔を出してみると、TYがダーツに興じている。僕もすぐさま合流した。
前日から泊まっている漫喫はまさかの神漫喫で、なんとダーツがいくらでも無料で出来た。大学4年のころ、仲間と夜中に麻雀とダーツばかりやっていた。

Sは一向に起きてこない。元来Sはよく寝る。旅の途中でも、午前中はだいたい車のなかで

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011『西日本を歩く6~佐賀・長崎・福岡~』

011『西日本を歩く6~佐賀・長崎・福岡~』

文:守屋佑一

2010年9月17日。

すでにこの旅で何度も漫画喫茶に泊まった朝。
もちろん漫画喫茶で、ただ寝るわけではもちろんない。
気になっていた漫画や好きな漫画をたくさん読んだ。

そして、すぐにみんなにすすめられる状況でもあったので布教もたくさんした。
特に布教した漫画はクッキングパパだ。
僕が小さい頃にアニメ化もされた名作で100巻をゆうに超えたいまでも連載は続いている。
僕は昔からこ

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010『西日本を歩く5~鹿児島・熊本・佐賀~』

010『西日本を歩く5~鹿児島・熊本・佐賀~』

文:守屋佑一

2010年9月16日

いつの間にか出発地である小田原からずいぶんと遠くに来た。鹿児島で朝を迎えた僕たちはこの日もひたすら先を目指す。鹿児島と言えば、桜島。

しかし、前日と同じくここに行く余裕はない。だから、車の中から少し眺めて熊本へと向かった。

いよいよここからは九州折り返し。

熊本に向かう途中、嬉しい弾丸ノープラン旅行の移動の楽しみがここでも発揮された。田舎道を走っている

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009『西日本を歩く4~福岡・大分・宮崎・鹿児島~』

009『西日本を歩く4~福岡・大分・宮崎・鹿児島~』

文:守屋佑一

2010年9月15日

前日に九州に突入し、北九州市のコロナワールドの漫画喫茶で夜を明かした僕たち3人は、朝からしっかりと牛丼屋で朝食を摂り、福岡城址に少し寄ってから次なる街を目指した。

小田原に戻らねばならない日が決まっている以上、計算ミスは許されない。前半に少しでも距離を稼いでおかねば、九州を一周し、日本海側まで廻ることはできないかもしれない。

この日はできれば宮崎、いや、

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008『西日本を歩く3 ~広島・山口・福岡~』

008『西日本を歩く3 ~広島・山口・福岡~』

文:守屋佑一

2010年9月14日 深夜

コロナワールドの温泉で温めた体はすでに冷え切り、何度か目を覚ましていた。

僕たちは9月12日の夜に小田原を出発し、9月13日夜から広島県福山市の温泉、映画、パチンコなどが一体となった大型アミューズメント施設コロナワールドの漫画喫茶にて宿をとっていた。

だが、ここは恐ろしいほどに冷房が効いていた。確かに2010年の夏は記録的な猛暑だったし、9月に入っ

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007『西日本を歩く2 ~神戸・岡山・広島~』

007『西日本を歩く2 ~神戸・岡山・広島~』

文:守屋佑一

2010年9月13日深夜の3:30頃。広いオデッセイの後部座席で僕は目を覚ました。助手席にいるTYから「お前、ずっと寝てたぞ」と声をかけられた。
どうやら僕は足柄SAを出て少ししてから寝てしまったらしい。TYとSはずっと起きていたようだった。前日まで続いた祭の出店のバイトは賃金と引き換えにとてつもない疲労を僕に残した。車はちょうど名古屋で東名高速を降りてガソリンを補給しているところ

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006『西日本を歩く1 ~プロローグ~』

006『西日本を歩く1 ~プロローグ~』

文:守屋佑一

5年。小学1年生が6年生になるくらいの長い年月。しかし、大人になってからはそれほどまでに長い年月だとは思えないくらいの時間。

昔のことを回顧するにはぴったりの間隔だろう。

5年前の今日。2010年9月12日日曜日。

僕らは車で、ほぼ下道を使って九州一周することを誓い旅に出た。下道を選択したのはもちろん安いからだ。

数多くの弾丸旅行を実践してきた僕だが、この時ほど長い旅行はい

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005『白川郷を歩く3番外編飛騨高山を歩く』

005『白川郷を歩く3番外編飛騨高山を歩く』

005『白川郷を歩く3番外編飛騨高山を歩く』

文:守屋佑一

2009年8月31日未明

暑い。とにかく暑い。それでも極限の疲労が身体中を蝕み、暑さを軽減するアクションをとることが出来ない。
自分が起きているのか寝ているのかも分からない朦朧とした状態で苦しむなか、誰かが車全部の窓を空けてくれたのが分かった。
少し風が入ってくる。
ああ良かった。死んでしまうところだった。
ほっとして僕はまた眠りに

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004『白川郷を歩く2』

004『白川郷を歩く2』

004『白川郷を歩く2』

文:守屋佑一

『白川郷』

岐阜県にある観光地。合掌造りが織り成す独特の景観はユネスコ世界遺産に登録されていることでも有名。

ここには、一般的な観光地としての常軌の顔以外に知る人ぞ知る『聖地』としての顔もあった。

もちろん宗教的な意味の聖地ではない。近年アニメや映画の舞台となった場所をファンの間ではこう呼び、巡礼をする。

白川郷は「ひぐらしの鳴く頃に」という人気

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