006『西日本を歩く1 ~プロローグ~』
文:守屋佑一
5年。小学1年生が6年生になるくらいの長い年月。しかし、大人になってからはそれほどまでに長い年月だとは思えないくらいの時間。
昔のことを回顧するにはぴったりの間隔だろう。
5年前の今日。2010年9月12日日曜日。
僕らは車で、ほぼ下道を使って九州一周することを誓い旅に出た。下道を選択したのはもちろん安いからだ。
数多くの弾丸旅行を実践してきた僕だが、この時ほど長い旅行はいまだない。
この時僕は大学4年生。就職も決まった夏休み。共に旅に出たのは中学1年からの友人TYとS。
なぜこの旅を企画したのかはもうあまり記憶にない。でも確かこの年の6月頃、みんなが就職を決まった辺りで夏休み九州一周しようと誰からともなく話が出た。
そして、9月12日から20日。3人でバイトの休みを併せて旅に出ることにしたのだった。
旅に持ってったのはたくさんの着替えと暇潰し用のDSとキャップと大きな麦わら帽子と10万円くらいと携帯。いまと違ってまだまだガラケー全盛期。もちろん3人全員ガラケーだった。それともうひとつ、忘れてはいけないのが100円均一で購入した大きな日本地図。この地図が意外と役にたった。
9月12日23時。この日小田原で行われた産業祭の出店のバイトで少しの旅の資金を稼ぎ、そのまま二人を迎えにいき旅は始まった。
この時、土日のETCは道路料金が安かった。だから名古屋までは高速道路に乗ろうといい、大井松田インターから東名高速に乗った。
足柄SAでさっそく日本地図をひろげ、1日目にどこまで行けるかあれこれ話し合った。広島までは行けそうだ。そんな話をして、車を西に走らせた。
2010年9月12日。長い長い散歩の始まり。
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