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紫陽花の彩りに魅入られて

帰りの道中、瑠璃色の紫陽花が咲き揃っているのを見つけた。
"百花繚乱"という言葉が相応しい、堂々たる咲き誇りっぷりに圧倒される。

ネズミ色のコンクリートが続く小道に突然現れた彼女たちは、力強く咲き誇り、まるで自分が世界一美しいと言わんばかりに、自信過剰にこちらに訴えかけてくる。

まるでここが何十キロも続く花園のような、そんな雰囲気を漂わせて。

彼女たちに、誰も勝つことはできない・・・  

私が一番よ

緑とグレーの対比

東京の家の周りは道路のグレーや屋根の煉瓦色、壁の白といった色で構成されていて、所狭しと並ぶ家々たちの肩身はとても狭く感じる。

地元の彩りや風景とは対照的だ。

わたしの故郷では、コンクリートのグレーや家の白が霞んでしまうほど、緑陽がすべてを包み込む。

翠色に彩られた1枚のキャンバスに、春は桜の桃色、夏はねぶたの朱色、秋はもみじの黄金、冬はキャンバスさえも純白に染まる。

四季折々の色彩のなかで育ったわたしにとって、東京はあまりに同系色で、時折り目につくネオンはまぶしすぎる。

ひとつの国でこんなにも対比があるものなのかと。

東京で見つけた、1本の安らぎ

上を向いた、視線の先に

東京の空は狭くて小さい。

上を見上げても頭が見えない高層ビル。
何キロか離れて見てようやく、全てが見える東京スカイツリー。

東京は大きすぎる。

その中で生活しているわたしは、あまりにも小さく。
押しつぶされそうになる時がある。

いっそ東京から抜け出して、地元に帰ってしまおうか。

自分のことを愛してくれる、安全で温かいぬるま湯のようなそんな場所へ、戻ってしまおうか。

そんなことを考えない日が、ないわけはない。

あまりに大きい

Life

一方で、東京から抜け出せない自分もいる。

一生ココで酸いも甘いも嚙み分ける、人生を送る。
そんな気がしてならないのだ。

***

上京したてのころなにも持っていなかった18歳の少女は、10年経ち愛する人・やりがいのある仕事・信頼できる友だちを見つけた。

高校を卒業して右も左もわからなかった少女が、今や地図やマップを開かずとも行きたいところに辿りつけるようになった。

親元を飛び出しキャリーバックひとつで上京した少女は、やりたい仕事に出会うことができた。

ネオンが眩しすぎるこの場所は、わたしのベースのカラーを作ってくれた。

外を見るとネズミ色のコンクリートや、壁の黄ばみがかった白色しかないと思っていた家の周りも、彩られて美しいと思うほどに、見る景色が変わっていた。

written by みんちゃん

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