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いちにち・いちとおこ

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日記のようなブログのようなエッセイのようなコラムのような。恋愛のことや、結婚のことや、助平なことや、時に真面目なジェンダーのことなどが、主な関心事。
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#小説

なつの感触 ver.2019

なつの感触 ver.2019

これは、フィクション版『あのこと暮らしたあの部屋は。』です。初めて発表したのが2002年、それから数度にわたる改稿を重ねました。今回は、手元に残る最古のバージョン、2009年版をもとに少しだけ手を加えています。

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 人差し指と親指で作ったフレームの中で、歌う真理子はほんとにきれいだ。彼女はわたしが見ていることやスケッチしていることなんか少しも気になら

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書く場所の話。note がなぜ好きかっていうこと。

書く場所の話。note がなぜ好きかっていうこと。

 今年の2月に note を始めた。登録したのはもっと前だったけれども、使い方がよく分からなくて周囲をうろうろしていた感じで、半年だか1年くらいはアカウントを作りっぱなしのままだったように思う。始めてからは主にエッセイを書いていて、小説は昔の作品をちょっと手直ししたものとか、その程度のアップしかしていなかった。

 来年はもう少し小説を書いてみたいと思っている。小説については以前の稿で少しだけ言及

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そしてトガワが残った。

 結婚していた2年間はわたしにとって人生最大の断捨離で、自分の中にくすぶっていた小説の麻薬が、全部抜けたような気がした。小説を読まなくても書かなくても、人生に何の問題もなかった。離婚して実家に戻った後に自分の所蔵する本はほとんど処分したので、今のわたしの本棚には、多分、現代日本の生存中の小説家の本は、一冊もない(まだ残っている本は、児童文学、文化人類学関係の教科書、英語の本が数冊、世界と日本の古典

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受注者になりたいなら、発注者になってみるといいと思う。

 先日偶然、末吉宏臣さんの note から、末吉さんと幻冬舎の箕輪厚介さんのラジオ番組「未来の作家のカタチ」に飛んだ。第1回と第2回しかまだ聴いていないけれども、(ああ、面白いな)と思った。お二人は本づくりに関わる人たちの中で「編集者」という立場から「作家」を語られている訳だけれども、(編集者の関わり方って、イベントの企画者と似てる感じなんだな)と思ったからだ。自分への引き寄せ方はその人次第で様々

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若い女子に「エンジョイ!」って言いたいから書く。

 先日書いた稿、『「女」を「男」に変換すると、そのおかしさに気がつく表現が、ある。』が、投稿から11日で、これまでの稿で最高のビューを数え、スキの数も一番となりました。ありがとうございます!

 最初(なぜ!?)と思ったが、ノートの「おすすめ」にピックアップされていたことが分かり、その後に「コンテンツ会議」にも取り上げていただいたので(金曜日の投稿で、その週の「コンテンツ会議」には入らなかったので

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「小説書く以外何もできない」というのに憧れていた。

「他になんのとりえもなかったけど、小説しか書けなくて、だから小説家になった」とかいう境遇に憧れていた。

 その、実生活とか実務とかにまったく無能である、という浮世離れした感じと、その浮世離れ感がよけいに際立たせる小説の絶対的な才能、みたいな感じに。

「小説書くしかできない、ってめっちゃかっこいい」と思ったし、「小説さえ書けたら他のことはなにひとつできなくても許される」とも思ったし、あまつさえ「

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復縁は難しいというけれどわたしは小説とよりを戻した。

(もう小説は卒業したな…)と思っていたのにも関わらずまた書き始めて、新しいサイトを立ち上げたりnoteに文章を書き出したりした。

 なので、この再スタートに当たって、昔の菊池とおこをご存知の方にも、初めて知るわ、という方にも、そこらへんの経緯をお伝えしたいなと思う。

 20代の半ばに小説家になりたいと思ってしまい、それから十数年、格闘した。

 書いたり、サイトを作ったり、個人誌を出したり、文

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