【レビュー】『失意の引き分け』~第15節ファジアーノ岡山VS大宮アルディージャ~

試合結果

2023 J2 第15節
5/13 13:03K.O. @シティライトスタジアム
岡山(1-1)大宮
74分 田中雄大
90+5分 富山貴光

スタメン

マッチレポート

押し込んだ前半の無得点が響く。岡山が失意のドロー

岡山は佐野と坂本がU-20日本代表で離脱する中、堀田と鈴木の欠場というアクシデントにも見舞われてキックオフを迎えた。しかし、前半は大宮を押し込んだ。仙波が斜め左に下がって3バックを形成し、高い位置に張り出したSBの河野と高木がクロスを供給する形で攻める。18分には河野のアーリークロスから田中がフリーでヘディングシュートを放つも、GKに防がれた。ボールを保持しながら攻守の切り替えも鋭く行い、こぼれ球を回収して敵陣でのプレーを増やしていく。ただ、サイドの深い位置に進入できず、2トップの前方に蹴り込んだロングボールは跳ね返された。

大宮が自陣で守り切ることに重きを置いたため、スペースを埋められた岡山の2トップは推進力を発揮することができない。それでも42分には相手の背後に抜け出したチアゴ・アウベスが倒されてPKを獲得するも、背番号7のシュートはGK笠原に止められた。

0-0で迎えた後半は大宮が攻勢を強めた。前からのプレスを解禁し、ボール奪うと厚みのある攻撃を展開していく。54分に敵陣でパスカットした室井がミドルシュートを放ち、64分にはゴール前に飛び出した茂木がシュートを放つも、クロスバーに当たった。

両チームがゴールに向かう姿勢を強めたことでオープンな展開になると、岡山が試合を動かす。右サイドでのビルドアップで相手を剥がすと、本山が大きなサイドチェンジを蹴り込む。これを田中が巧みなトラップからゴール前に切れ込んでいき、右足でネットを揺らした。同期入団で切磋琢磨してきた2選手が熱い抱擁をして、互いの今季初得点と今季初アシストを喜んだ。

追い掛ける大宮は次々と選手交代をおこない、途中出場の柴山、泉澤、富山を中心にゴールに向かう。岡山が86分に濱田を投入して守備を固めてきたが、土壇場で追いつく。90+5分、GKのロングボールでプレスをひっくり返して柴山が中央を突破すると、最後は富山が連敗を『6』でストップさせるシュートをネットに突き刺した。

岡山は非常に悔しい引き分けになった。一方的に押し込んだ前半に先制点を奪えなかったことが響き、チームで3番目に出場時間の長い輪笠が負傷退場。そして勝利目前で失点を許して勝点2がこぼれ落ちる。攻守だけでなく、試合運びなども含めて成長しなければならないと感じる一戦となった。

コラム

状況と時間帯を考えた試合の締め方

非常にもったいない失点だった。

岡山は1点をリードして試合終盤に突入した中で、木山監督が86分に濱田を投入する。これはリードを守りきるというメッセージが込められた采配であり、実際に背番号4が入ると、最終ラインは5バックになった。しかし、90+5分に同点弾を許してしまう。

たくさんの問題が考えられる。前線に入ったルカオ、ステファン・ムーク、櫻川が勢いよくプレスを掛けたこと。田部井と本山のダブルボランチが2人とも前に出払ったこと。CBの柳とバイスが持ち場を離れて、一発で相手に置き去りにされたこと。中央を突き進んでくる柴山を食い止めることができなかったこと。寄せ切れずに富山にシュートを打たれたこと。特定の誰かが悪いというよりも、それぞれの選手が下した判断が正しかったかどうか、しっかりと精査する必要がある。

前から奪いにいくことを信条としているチームではあるが、タイムアップまで残り3分だった。CBの特長を踏まえると、全体で態勢を整えて相手の攻撃を跳ね返すことに専念することもできた。チームとして時間帯と状況を考えた試合運びができなかったことに悔いが残る。これ以上もったいない失点で後悔しないために、試合の締め方における共通認識をチームで追及しなければならない。大きな課題を突きつけられる10試合目の引き分けとなった。

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