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失敗しない!対人関係の心理学

以前の記事で、
自分あるいは相手の性格(パーソナリティ)を理解することが対人ストレスを減らす上で有用ですよ、という話をしました。

今回は、
対人場面において取りがちな考え方や行動を指標化したモデルについて解説していきます。

その名も、対人円環モデル。


対人円環モデルとは


円環という名前の通り、
対人特性を8領域に分類し、円環状に配置することで視覚的にも対象者の対人特性を分かりやすく認識することが出来るようになっています。

橋本泰央 「対人円環モデルに基づいた IPIP-IPC-J の作成」

・隣接する特性同士は高い正の相関を持つ
・対極に位置する特性同士は高い負の相関を持つ
・90°離れている特性同士は無相関

それでは、
対人領域を説明する8つの特性について順番に見ていきましょう。

①自信過剰で支配的

ひと言でいえば、「偉そうな人」「ナルシスト」です。
自分は特別扱いされて当然、という思いが強いため、他人に注目の目が集まることを良しとしません。

集団が好きですが、
あくまで集団の中で中心人物になろうとする傾向が強いタイプです。

【チェックポイント】
・皆の関心の中心は私であるべきだ
・自分が話の中心になることが多い
・大きな声で目立つように話をする
・私の言動にみな注目すべきだ

②お節介で外交的

社交的で基本的に良い人ですが、プライベートに干渉し過ぎて煙たがられるタイプです。
集団が好きで、心を閉ざしている人にも積極的に話し掛けます。

【チェックポイント】
・人の集まっているところにいても心地よくいられる
・自ら人に話しかける方だ
・集まりの場では沢山の人と話す方だ
・大きくてにぎやかな集まりが好きだ

③温厚で自己犠牲的

常に自分より他人を優先し、自身の欲求を押し殺してしまうタイプです。
悪意がない分、人によっては「恩着せがましい」と思われてしまうことも。

【チェックポイント】
・周りの人の様子を気にかけている
・相手に安心してもらえるよう努めている
・相手の幸せを気にかけて調子を尋ねる
・相手とうまく協調してやっていける

④謙虚で周りに合わせる

柔軟性があって大抵のことでは怒りませんが、悪く言うと自分がないタイプの人です。
そのため他人に影響されやすく、場合によってはカモにされやすくなります。

【チェックポイント】
・大抵のことは許すことができる
・物事をあるがままに受け取る方だ
・何があっても相手のことを第一に考える
・めったに嘘をついたりしない

⑤自信がなく控えめ

注目されるのが嫌いなタイプなので、話題の中心が自分に向けられる事を好みません。
1対1だと話せるのに、集団の中に入ると話せなくなる傾向があります。

【チェックポイント】
・注目を浴びないよう穏やかに話すことにしている
・他の人が話をしている時はその話が終わるまで待つことにしている
・自慢して目立ってしまうことがないようにしている
・注目されて目立ってしまうことを避けるようにしている

⑥孤独で内向的

親しくない人が側に来ると黙ってしまうタイプで、プライベートに踏み込んで来る人とも距離を取りがちです。
周りから「人間嫌い」というイメージを持たれやすい反面、本人はそうではなかったりします。

【チェックポイント】
・知らない人が近くにいると無口になる
・とても非社交的だ
・無口なほうだ
・多くを語らないほうだ

⑦冷淡でよそよそしい

ひと言でいえば「冷たい人」です。他人に同情しないため、人の為になるような事を進んでするこもありません。
人から相談を受けても親身にならないし、自分から相談することもありません。

【チェックポイント】
・人のことはあてにできない
・可哀そうな話を聞いても同情する気持ちが湧いてこない
・ものごとを親身になって深く考えたりはしない
・相手が困っていても所詮自分には関係ないことだ

⑧傲慢で自己中心的

自分の信念を通すためには手段を選ばないタイプで、周囲からは恐れられます。
相手を言い負かすために強めの言葉を言う事に躊躇いがありません。

【チェックポイント】
・相手をめちゃくちゃに言い負かす言葉を言う
・相手を否定する言葉を言う
・人にがみがみと文句を言う
・人にきついことを言う

8タイプの関係性


「⑤自信がなく控えめ」な人は、
対極に位置する「①自信過剰で支配的な人」に利用されると精神的ストレスになるでしょう。

「⑥孤独で内向的」な人は、
対極の「②お節介で外交的な人」が同僚にいて毎日顔を合わせていれば対人ストレスを感じやすくなります。

「④謙虚で周りに合わせる人」は、
対極の「⑧傲慢で自己中心的な人」に苦手意識を感じやすくなるでしょう。

HUNTER×HUNTERを読んだことがある人なら分かると思いますが、
対人円環モデルは念能力の特性みたいなものです。


自分のタイプと異なる性質の能力を身につけることは、(不可能ではないにしろ)効率が悪いです。

生まれつき強化系の能力に適性があるのなら、変化系の能力を鍛えようとしても上手くいきません。
多大な労力をかければ変化系の技も身につけられるかもしれませんが、元々変化系に適正がある人の全力には敵わない。

富樫義博『HUNTER×HUNTER』集英社

同じです。

「⑦冷淡でよそよそしい」性質を持っている人が、
相手の要望をもれなく汲み取って他人と協調的に働くことはやはり難しい。

集団内でどう上手くやっていくかを考えるよりも、
一人で出来る仕事をいかに増やして自己裁量権を手に入れるかを考えた方が性質に合っています。

「③温厚で自己犠牲的な人」は、
自己犠牲の程度調整は必要ですが、対人援助職としての適性の高さを活かして相手に寄り添う方向性を調整すれば良い。
「相手のことを考えすぎないようにしよう」と考えると失敗します。

前回も書きましたが、もう一度引用します。

感情の器の小さい人に対して「器を大きくしろ」って言っても無理だし、器の大きい人に「小さくしろ」って言っても無理です。
一人ひとり、おのれの感情の器に従って、相応のことをすればいいと思う。

自分の「感情の器」を測る意味でも、
この「対人関係の円環モデル」は有用だと思います。

自分はどのタイプか?
ストレス源になっている相手はどのタイプだろうか?

上記を見極めた上で、
自分の性質に合った問題解決方法を見つけられれば良いのだと思います。

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