質問051:プラス思考は、テニスゼロ的にはどうか?
回答
▶「せっかく頑張ってきたテニスなんだから」は最悪
「自己肯定感」が重んじられる今の時代に、プラス思考は、そぐわないかもしれません。
プラス思考というのが、主観的にマイナスと思える状況に対して、プラスに解釈する考え方と定義し、ここでは話を進めたいと思います。
子どもに対する親の接し方が、分かりやすい例でしょう。
たとえば子どもがテニスの試合に負けて、精神的に落ち込んで帰ってきたとします。
その子は「悔しいよ!」「残念だ!」「もうテニスなんてやめたい!」などと言うかもしれません。
そんなとき、プラス思考を行使する親なら、どんなレスポンスを子どもに伝えるでしょうか。
「気にするな!」「次は必ず勝てるよ!」「せっかく頑張ってきたテニスなんだから、これからも続けようよ!」などと、言うかもしれません。
一見すると、ポジティブな印象。
だけどこれが、「最悪」なのです。
▶自己肯定感が「ほころび始める」瞬間
その子が訴える「悔しさ」は受け止められず、「残念」な感情は無視され、「テニスなんてやめたい」思いは全否定。
生涯に渡って付き合うことになる自己肯定感が、ほころび始める瞬間です。
では、肯定するとは、どういうレスポンスでしょうか?
赤ちゃんのときには確かに持ち合わせていた自己肯定感を、今・ここ・この瞬間から、大人であっても取り戻す方法について考察します。
子どもは「悔しいよ!」「残念だ!」「もうテニスなんてやめたい!」などという気持ちで、テニスの敗戦から帰ってきたのです。
そうであるならば……。
「悔しいよ」→「悔しいんだね」
「残念だ」→「残念だったんだね」
「テニスなんてやめたい」→「やめたくなっても無理ないね」
これが、「全肯定」でしょう。
そうやって気持ちを受け止められた子どもは、負けた自分も、悔しい自分も、残念な自分も、テニスをやめたくなった自分も、「ありのままの自分」として、居場所を与えられます。
これにより、生涯に渡って付き合うことになる自己肯定感が、しっかり根づくのです。
▶感情たちに「居場所がなくなる」とき
さて子どもに対してだけではなく、自分に対しても、もちろん同様です 。
仕事で大失敗をしたり、恋人と別れたり、テニスの試合に負けたりして、精神的に落ち込んだ。
これらの主観的にマイナスと思える状況に対して、プラス思考を行使すると、どうなるでしょうか?
「失敗したって、クヨクヨしない!」
「フラれても、気にすることなんてない!」
「負けたくらいで、落ち込むものか!」
確かに意識的な思考では、そう考えることで、一時的には元気にもなれるでしょう。
だけどその裏で生じていた封印される感情たちに、居場所はありません。
無理やり蓋をして追いやられ、忘れられたつもりになる。
その結果、自分の気持ちや感情の本心が、分からなくなる。
だけど否定されたそのときの経験を、心はちゃんと学習していて、人格や、その後の人生の行動パターン、人間関係に、(悪)影響を及ぼすのです。
▶プラス思考は一時的な「トランキライザー」(副作用に注意)
真面目な人ほど、つい、やってしまいがちです。
プラス思考を。
「失敗したって、クヨクヨしない!」
「フラれても、気にすることはないぞ!」
「負けたくらいで、落ち込むものか!」
本心は落ち込んでいるのだとしたら、まったく「ありのまま」の自分ではありません。
もちろん一時的には、前向きになれるトランキライザーにはなるでしょう。
しかし、トランキライザーでしかありません。
心の奥深くに打ち込まれたトランキライザーによる副作用に、さいなまれかねません。
すなわち、自分の気持ちや感情の本心が、分からなくなる。
本当はそうしたいのに(あるいは、そうしたくないのに)、他人を優先して自分の気持ちや感情を、押し殺してしまう。
▶なぜだかつらくなるのは「なぜ?」
卑近な例で言えば、本当は「焼き肉が食べたい」のにみんながお寿司というから、本心を言い出せなくなる。
いえ、押し殺している自覚すらありません。
なぜなら「悔しい」「残念」といった自分の気持ちや感情が、プラス思考によって封印され、自分でも分からなくなっているからです。
人生における選択、判断、決定が、できなくなる(焼き肉が食べたいと言えなくなる)のです。
だけど封印(温存)したままだから、わけもなくなぜか(つまり本人も気づかないうちに)、つらくなったり、寂しくなったり、いらいらしたり、慢性的に我慢したりする人生を送るはめになる。
▶自己肯定感を取り戻すための「選択」
さてこれから、今・ここ・この瞬間から自己肯定感を取り戻すには、どうすればいいでしょうか?
選択、判断、決定を、どんなに些細な場面(焼き肉が食べたい場面)でも下すところから、それが叶うかどうかは別にして、やり始めてみる。
赤ちゃんのときは、それができていたのです。
やり方はもちろんかなり稚拙だったけれど、おっぱいが飲みたければわがままでもなんでもいいから泣き叫んで、母親に要求できました。
それを、大人になってから、大人のやり方で、やり直してみる。
すると、他人を優先して封印されていた自分の気持ちや感情の本心が、「あぁ、本当はこうだったんだねぇ」と分かるようになるから、自己を肯定する感覚が、確かに取り戻せるようになるしだいです。
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(テニスゼロ)
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