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質問028:アドバイスによって集中しにくくなる

ペアのアドバイスによっては集中しにくくなります。

 


回答

▶アドバイスは「制限」をかける


パートナーが「ああした方がいい」「こうするのはよくない」と試合中に助言するのだとすると、それは得策とは言えません。
 
なぜなら、それは自分のプレーに「制限がかかる」方向に作用しやすいからです。
 
「大事にいけ」「リターンはロブで返せ」など、自分ではなくパートナーが実行する内容を決めてしまうと、自分とパートナーとは当然、感性やその時々の心理状態、疲労度なども違うわけですから、パートナーの意見に合わせると、自分らしいプレーは実行しにくくなります(その結果、仰せのとおり集中しにくくなって、ミスしやすくなります)。
 
もちろん、作戦立案ということで事前に話し合うのであれば構わないですけれども、パートナーの「ああしろ」「こうするな」という助言はマイナスに作用しがちです。
 
それよりも、自分がどうしたいかの「感性」に従い、その時々の直感でプレーしたほうが、上手くいく可能性は高くなります
 

▶アドバイスは「面白くない」


テニスに限った話ではなく、日常生活でも、基本的にアドバイスはしないのが賢明です。
 
なぜならややもすると、「上下関係」になってしまいがちだからです。
 
アドバイス「してあげる側」と、「してもらう側」。
 
特に相手が求めてもいないアドバイスは、会話の中で「厳禁」とさえ言えます。
 
せっかく手料理を振る舞って差し上げたとしても、それを食べた御方が「ハチミツを隠し味に加えると、もっと美味しくなるよ!」などと親切心でアドバイスしてくれたとしても、面白いはずがありません。
 
むしろ、どこか「残念な気持ち」にならないでしょうか?
 

▶アドバイスは「自己肯定感」を損ねる


たとえ「ハチミツを隠し味に加えると、もっと美味しくなるよ!」といった程度の内容だとしても、それはありのままを認めない他者否定になっています。
 
私がよく俎上に載せる「領域侵犯」です。
 
手料理を作った人が、心を込めれば込めるほど、「ハチミツを隠し味に加えると、もっと美味しくなるよ!」のアドバイスは暴力にすらなりかねません。
 

▶唐揚げ「レモン問題」発生


たとえアドバイスに従って味が変わったとしても、味の好みなど「人それぞれ」
 
唐揚げにレモンをかけるのが好きな人もいれば、嫌いな人もいるでしょう。
 
グルメリポーターがいくら美味しいと伝えても、それは主観
 
視聴者が味わわないことには、味わえないのです。
 
「絶対に美味しいから!」などとオススメしたり決めつけたりするのは、意見に従わせようとする支配であり、強烈なジャッジメントです。
 

▶世の中は「アドバイザー」だらけ?

 
ところが世の中は、「アドバイザー」だらけです。
 
「ああした方がいい」
 
「こうするのはよくない」
 
言っている本人は親切心のつもりかもしれませんけれども、人に認めてもらいたい「承認欲求」や、人に認めさせたい「プライド」や、人を見下したい「優越感」が、発動しているのです。
 
テニスで言えば「もっと早く引けば振り遅れないよ!」
 
「ヒザを曲げないから安定しないんだ!」
 
「最後まで振り抜けば もっといいボールがいくぞ!」
 
「承認欲求」「プライド」「優越感」を満たそうとして、畳みかけてくる。
 
いえ本人には、満たそうとしている気づきすらないのが「教え魔」です。
 
アドバイスされる側は、たまったものではありません。
 
ですから自分からも、アドバイスなどという押し付けは、求められていなければしないほうがいい道理です。

▶「買わない馬券」を勧めるな!

 
アドバイスをするパートナーは、「自分たちペアが勝つためだから、優越感とかではない!」などと弁明するかもしれないけれど、それによって当の相方が集中しにくい事態を招いているとすれば、結局身勝手な押し付けでしかありません。
 
付け加えると、「ああした方がいい」「こうするのはよくない」というのは、アドバイザーによる主観ですから、アドバイザーにとって有利でトクする状況へ、事態や物事をコントロールしようとする意図さえ仕組まれかねません。
 
馬券売り場の予想屋さんみたいなものです。
 
「これを買えば万馬券になるよ!」とアドバイスするのであれば、「自分で買えば?」という話。
 
パートナーによるテニスに関するアドバイスも、投資話も、子どもに対する親のしつけも、そうです。
 
私はよく、自分が意識していないにも関わらず、フォームについて生徒さんやテニス愛好家に伝えるプロやコーチを、「自分が買わない馬券を他人に勧めるな」などとたとえます。

本当に相手のためを思ってのことなのか、胸に手を当てて省みたいものです。

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