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シン映画日記『ベネシアフレニア』

新宿バルト9にてスペイン映画『ベネシアフレニア』を見てきた。

監督は『スガラムルディの魔女』のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督。

結婚間近のイサが友人4人を連れて婚前旅行としてイタリアのベネチアのカーニバルに訪れる。外国人観光客に対して不寛容な地元民達の険悪な雰囲気の中、イサらは地下の建物で行われているオールナイトパーティーに遊びに行った翌朝、ホセか行方不明になっていることに気付き、捜索をすることに。

冒頭の早い段階から観光客を襲う謎のピエロというか仮面の怪人が出て来て、
この怪人がその後もちょくちょく出て来て、
中盤以降はサスペンス/ホラー映画の展開に。
怪人ともう一つ、観光客に対して物凄く不寛容なムードになっていて、この雰囲気が作中を支配する。

この作品は観光地ベネチアのオーバーツーリズム問題を逆手に取ったホラー映画で、やり過ぎ感はあるがそこはギリギリ悪くない。

オーバーツーリズムに対する地元民と謎の怪人の犯人の憎悪が渦巻く。
4、5人のパーティーが旅行先で襲われる流れは『テキサス・チェーンソー』等のホラー/スプラッター映画のそれだが、本作は特定の建物内だけではなく、ベネチアの街全体を舞台にしている所もポイントである。

しかしながら、肝心のピエロ怪人は思いの外強くはない。弱いとは言い難いが、『悪魔のいけにえ』/『テキサス・チェーンソー』のレザーフェイスや『13日の金曜日』のジェイソン、『エルム街の悪夢』のフレディのような強さ、タフさはない。
怪人のマスクのデザインは悪くはないが、不思議とカリスマ性が薄い。それは怪人が出る時のBGM/SEといった音楽効果と怪人出現、襲撃時のカメラワークのいまいちさで怪人の怪人らしさが薄まっている。

それでも残虐性は悪くなく、殺した後の屍体の残忍な扱い方は不気味さもある。
ポイントポイントでは悪くない部分もあるだけに惜しいホラー映画である。

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