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【エッセイ】まとめ

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私の記事の中からエッセイ記事をまとめました
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2021年11月の記事一覧

【エッセイ】@南武線

鹿島田駅の駐輪場近くに芒が生い茂っている箇所がある。そこには「お前達こんな所にいたのか」と思うくらい雀がいっぱいいる。昔、芒はその辺に生えていたものだが、次々と一軒家やマンションが建ち並び、芒を見る機会と共に雀を見る機会も減ってしまっていた。その雀が都会の喧騒からやや外れた所でチュンチュンしているものだからちょっと驚いた。私が雀を観察しようとすると、雀は見つかるのが怖くて生い茂った草木の中に潜って

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【エッセイ】鳩

【エッセイ】鳩

昨日のランニングで疲れてしまったからか、寝落ちしたようだ。気づいたらスマホをいじりながら風呂も入らず、暖房をつけっぱなしにして毛布を蹴っ飛ばした状態で寝ていたことに朝気づいた。こういう日は大抵ベストを尽くせない。今日は手を抜いて仕事しよう。とりあえず朝ご飯を食べ、顔を洗って、顔だけさっぱりした状態でPCの電源をつけた。どことなく体はだるいがやり過ごそう。

昼休みになり、いつもの散歩に出かけた。昨

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【エッセイ】夜のランニング

【エッセイ】夜のランニング

ここ最近筋トレをサボっていた事もあり、そろそろ運動しなきゃなとは思っていた。そしてひんやりする冷気の中、私は午後五時からランニングに出かけた。いつもの暗い散歩道を走って駆け抜けて、一般道に飛び出した。

さっきまであった寒気は走っている内になくなり、体は熱くなっていく。段々リズムも整ってきてスピードも乗るようになった?他にも私と同じように寒さに負けずに走っている人達もちらほらいた。

すると、ちっ

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【エッセイ】仕事つかれた…

【エッセイ】仕事つかれた…

昨日久々に出社したからか、午後から疲労感が強くなった。本日のノルマは何とか15時頃に片付いたので、就業中だけどベッドの上でゴロンと横になった。

私は疲れるとネットサーフィンばかりしてしまう。テキトーにSNSに生息しているエンジニアの呟きを眺めながら精神力が元に戻るのを待っていたけれど、全然戻って来ない。しょっちゅう呟いているエンジニア達を眺めていると、
「呟いてばかりいないで仕事しろ!」
と思う

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【エッセイ】今朝の車窓

【エッセイ】今朝の車窓

朝六時。体は起きたが脳は寝てる。今日は久々の出社だった。頭はボーッとしているが、早く出ないと間に合わない。急いで身支度を整え出発した。

外に出ると思った以上に冷気が体に突き刺さる。朝がこんなに冷たいとは気づかなかった。しかしお陰で目が覚めた。私は急いで駅に向かった。途中、頭をポリポリ掻いているオジサンを追い抜いていく。とにかくこのオジサン異常に進むのが遅い。そのため最寄駅に行く際に幅が狭い道で頭

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【エッセイ】今日寒かったですね。

【エッセイ】今日寒かったですね。

定時になったのでテレワークを終了し、散歩に出かけた。秋分の日を過ぎたこの日の外は既に暗く、星が二、三個瞬いていた。

私は普段着の上に軽いランニングウェアを羽織って出かけた。これまでならこの格好で大丈夫だったけれど、今日は寒気を覚えた。いつもより気温が下がったからか、はたまた二キロ減量した事で今まで守ってくれていた脂肪達が私の体から逃げていってしまったからだろうか。あっ、昨日体重測ったら0.5キロ

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【エッセイ】二人の教授から学んだ事

【エッセイ】二人の教授から学んだ事

私は今まで通っていた大学ではなく、大学院受験して違う大学院へ入学した。いわゆる学歴ロンダである。ただ、学部の時と研究内容が近い事をしていたのだが学部の時に教わっていた教授と大学院で教わっていた教授のキャラクターがこれでもかというくらい違っていて面白かった。

A教授は温厚で、研究用のコンパイルサーバーも自分でメンテナンスし、ほぼ毎日のように研究室で学生達が研究している所をちょこちょこ見に来て適当に

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【エッセイ】最後の一個

【エッセイ】最後の一個

今朝カラスが来た。庭には柿の木があるのだが、その最後の一個を狙いに来ていた。

実は先月もカラスは庭に来ていた。先月柿の木は今年の中で全盛だったため、沢山の柿がなっていた。その柿を狙いに来ていたのだが、家の中から私がジーッと監視している。その視線に気付いたのか、カラスは何も取らずに退散した。

もしかするとあの日と同じカラスだろうか。今回こそは食べてやろうと、少しずつジリジリと最後の一個に近づいて

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【エッセイ】月食

【エッセイ】月食

今宵は「ほぼ皆既月食」。我が眼でここまで綺麗に隠れる月食が見られる日が来るなんて。

・・・と言いたいところだが、当たり前のように街灯のある私の街で月食を見ても「ふーん、月食やってんのね。」と数あるニュースの一つとして消化してしまう。街の明るさが邪魔をして本来あるべき真っ暗な夜の闇にならない。

そもそも私達は夜の闇を恐れて街の明かりを灯しているのだから、本来月食になったら恐怖を感じるものなのかも

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【エッセイ】朝が辛い

【エッセイ】朝が辛い

段々と寒くなり、朝起き辛くなってきた。今年初めて暖房を着けたが、設定温度が高かったらしく部屋は温まらなかった。私の体に搭載されている「寒いと感じるセンサ」の閾値が高いんだろうか。少なくとも私の部屋の温度は二十度以上であり、私の「寒いと感じるセンサ」は二十度以上でも反応することがわかった。

あと一度温度を上げれば部屋は温まるかもしれない。しかし、それは私の中の謎の漢気が阻止する。
「二十一度以上で

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【エッセイ】父の手料理

【エッセイ】父の手料理

今年三月に父は定年退職した。退職したが、今も会社との雇用関係は続いており時々出張に出かけている。(退職とは…?)それでも家にいる時間が増えたため、母のストレスが溜まっている。

そのため、父が出張している時は母が自宅に居て、母が出張している時は父が自宅に居るという循環が起こっている。確かにいつも同じ人と何年も一緒にいると飽きるし特に話したい事も無いから面倒になると思う。かと言って、離婚してもそれは

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【エッセイ】タイムイズマネー

【エッセイ】タイムイズマネー

午後四時くらいには部屋が陰ってきたなとは感じていた。だけど、まだ部屋の明かりはつけなくていいだろうと油断していた。そして油断の結果、午後五時の私の部屋はデスクのライトスタンドの周りを除いて真っ暗になっていた。テレワークする前まで、私は自分の机に座って長時間作業する事はしてこなかったため、この空間で味わった自分と外の時間感覚とのズレが新鮮だった。それでも私は作業に没頭してしまい、部屋の照明を点けるの

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【エッセイ】タイムマシンなんかいらない

【エッセイ】タイムマシンなんかいらない

十一月も三分の一を経過しそうというのに、まだまだ暖かく感じる。もしかすると今年は急に冬が訪れるのかもしれない。昨日まで暖かかったのに、なんで今日は雪なんだ!みたいな感じ。首都圏に住んでてそれは無いか。雪は降ってる間は楽しいけど、積もると路面は滑るわ自転車が転倒するわ車が右往左往するわで大変になる。積もらない程度の雪が一番良い。

今日は雨が降っている。散歩に行くのも億劫だ。これは日頃筋トレをサボっ

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【エッセイ】美味い話 後編

【エッセイ】美味い話 後編

前回の続きです。

僕達がテーブルや椅子を元に戻して着席すると、運営者達は書類を配り始めた。僕達はさっきまでのテンションが抜け切れず、次はもっと楽しい事があるんじゃないかという何らかの期待感を持っていた。

「まず私達は何を売っているのかについてご説明したいと思います。」

司会者が意気揚々と説明をし始める。

「私達はこのようなサプリメントを売っています。」

司会者が指し示した卓上には何の変哲

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