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【エッセイ】鳩

昨日のランニングで疲れてしまったからか、寝落ちしたようだ。気づいたらスマホをいじりながら風呂も入らず、暖房をつけっぱなしにして毛布を蹴っ飛ばした状態で寝ていたことに朝気づいた。こういう日は大抵ベストを尽くせない。今日は手を抜いて仕事しよう。とりあえず朝ご飯を食べ、顔を洗って、顔だけさっぱりした状態でPCの電源をつけた。どことなく体はだるいがやり過ごそう。

昼休みになり、いつもの散歩に出かけた。昨日風呂で温まることが出来ず冷えた体を日光が溶かしてくれた。髪の毛も寝ぐせがついたままだったが、どうせ誰ともすれ違わないのでそのままで出かけた。一つだらしない事をすると、また一つだらしない事が発生する。この現象に名前を付けたいが、今のところ良い名前が思いつかない。どうせ今日は考えても冴えない日だから宿題としとこう。

いつもの散歩道に石段があるのだが、そこには鳩がいる。今日も鳩とすれ違ったが、このすれ違いに私は鳩に気を遣ってしまう。どの間合いくらいなら、鳩が警戒して飛び立たない距離を保ちながらすれ違うことが出来るだろう。鳩は雀なんかと比べたら人間に対して警戒心は薄い。勿論鳩に向かって歩けば鳩は飛び立つが、そうでない場合は結構近寄っても鳩は中々羽ばたかない。そのため、私は鳩との「間合い」を散歩がてら楽しんでいた。

石段のある角を曲がると、今日の鳩は一段目の真中寄りの左側に位置していた。これは一歩目が大事である。既に間合いが近い。ここは、私としては右端を歩けば良い。ただ、それだけでは足りない。恐らく鳩の方向に足先を向けると鳩は飛び立つだろう。そのため、私は右足を軸に体を右旋回させ、直角方法に左足を踏み出した。さあ、鳩は飛ぶだろうか。

結果として、鳩は飛び立たなかった。私は鳩の間合いに入らず散歩をすることに成功した。危なかった、あのまま足先を鳩に向けていたら、鳩は飛び立っていた。私は胸を撫でおろし、いつもの散歩を楽しんだ。

一体、私は何と戦っているんだろう。

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