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【エッセイ】タイムイズマネー

午後四時くらいには部屋が陰ってきたなとは感じていた。だけど、まだ部屋の明かりはつけなくていいだろうと油断していた。そして油断の結果、午後五時の私の部屋はデスクのライトスタンドの周りを除いて真っ暗になっていた。テレワークする前まで、私は自分の机に座って長時間作業する事はしてこなかったため、この空間で味わった自分と外の時間感覚とのズレが新鮮だった。それでも私は作業に没頭してしまい、部屋の照明を点けるのも面倒臭がった。

定時になったが、まだ会議は続いている。時間通りに終わらない会議に私はウンザリする。先輩方と私とでは労働に対する時間感覚がズレている。偉くならなくて良いから決まった時間に帰りたい。ある程度給料が貰えるならそれで良い。私は途中で会議を抜け、電源を切った。

外は風が強かった事もあり昼間と比べて肌寒かった。風に吹かれながら私はいつもの散歩道を歩き始めた。頭では本当はもっと働いて偉くなりたいと思っている。でも体が言うことを効かないんだからしょうがない。悔しいが諦めと我慢は人生付き物だ。仏教に身口意という言葉があるように、基本的には体の欲求を優先した方が良いだろう。生きてればいつの日かチャンスはあるかもしれない。そのいつかを信じて私は体の許す限り打席に立ち続ける。

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