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【エッセイ】二人の教授から学んだ事

私は今まで通っていた大学ではなく、大学院受験して違う大学院へ入学した。いわゆる学歴ロンダである。ただ、学部の時と研究内容が近い事をしていたのだが学部の時に教わっていた教授と大学院で教わっていた教授のキャラクターがこれでもかというくらい違っていて面白かった。

A教授は温厚で、研究用のコンパイルサーバーも自分でメンテナンスし、ほぼ毎日のように研究室で学生達が研究している所をちょこちょこ見に来て適当に会話してきた。私は自分の進捗がどうにも進まないのと出てきた結果が無惨で見られるとヤバイものばかりなので、先生が来たら塩対応で誤魔化していた。普段は温厚だが、叱る時は容赦ない。しかし誤魔化す奴は仕事は出来ない。案の定私の研究成果はボロボロだった。

また、A教授の授業は難解だった。ハキハキと喋るが理論系の教授という事もあり、黒板が数式だらけになる。私は一生懸命板書された数式をノートに書くが、書いたところで
「何だ、これ?」
となっていた。私は理系ながら数学は得意ではなかったので、どうやってこの授業の単位を取ったのか全く覚えていない。

そんなテストも研究成果もボロボロだった事を他所に、当時無駄に意識が高い系だった私はあろうことか大学院ロンダした。ロンダするに当たって推薦状を書いてくれたA教授には本当に感謝しかない。そしてB教授の研究室に配属される事になった。

B教授はA教授とまるで正反対の性格のように思えた。声も体もデカく、しかも気性が激しく研究成果が出ない時は怒鳴られる事もしばしばあった。そしてB教授はサーバー管理は学生達に任せ、自分がやりたい仕事に熱中していた。研究室におやつを食べにくる事もあるが、あくまでもメインは自身の教授部屋であり、様々な研究活動を行っていた。今から思い返しても、その行動力と精神力には脱帽する。そして、このような教授とやり合った先輩方はその道で一流のスペシャリストになってる事が多い。ある程度気が強いというのは生きる上で大事な才能だと思う。

B教授は意識が高く、全て英語で授業を行なっていた。ただ、日本人が話す英語は何となく日本人も耳に入ってきやすい。恐らく日本語のイントネーションで発音するためネイティブイングリッシュよりも聞き取りやすいのだろう。そしてB教授の授業はなんだかんだでわかりやすかった。板書ではなくスライドを使った授業をする為、学生は必要なところだけメモすれば良い。数式はあまり出て来ず、言葉で説明されているので理解もし易かった。

じゃあ私の研究成果は良くなったと言うと、ダメだった。どうにも研究は私に向いてないと言う事がこの三年間でわかり、研究者の道は諦めて就職し現在ファームウェアエンジニアとして生計を立てている。

研究成果はダメダメだったけれど、研究で培ったソースコードを読み解く力やプレゼンテーション、英語に対するアレルギーの無さは仕事でも活用できている。そして、研究室を渡り歩いた事で誰かに教える時の引き出しがちょっと多い気がする。「この人は論理的に説明した方が理解してくれるのか、それとも直感的に言い直した方が良いだろうか。」

今後も様々な立場を経験して、色々な角度で物事を見る能力を伸ばしていきたい。

技術力や英語力、マネジメント力も向上すれば、もうちょっとだけモノづくりも好きになれるのかな。

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