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農業・漁業の技術

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#植物

土を触って診断してみよう

土を触って診断してみよう

作物を育てる時には、親指と人差し指の間に土を挟んで擦り合わせるようにして、できるだけ細いコヨリを作ってみてください。

【ネチネチして粘り気のある細いコヨリができる土】

保肥力は高いですが、加湿になりやすく、どんな野菜もカビ菌系の病気になりやすい。
こまめに草刈りをして通気性をよくすることが大切です。

【ザラザラしていてなかなかコヨリができない土】

排水性がよいですが、真夏に水切れを起こしや

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自然にかえるポット

自然にかえるポット

ホームセンターに売られている苗は、プラスチック製の黒色ポットに植えられていることが多いです。

生分解性材料が増えてきている昨今、ポットにもついにやってきました。

「バイオーレ ポット」は生分解性で、苗をポットのまま圃場や花壇に植えることができます。植物へのストレスも軽減されます。ポットは植え付け後、土壌中の微生物により徐々に分解され自然に還元されます。

「バイオーレ」の主原料は、放置竹林の竹

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ターミネーターテクノロジー

ターミネーターテクノロジー

品質がよくて高値で取引される農産品が、海外で不当に使用され、日本に輸出されるケースが多く発生しているようです。
たとえば、栃木県の「とちおとめ」が韓国で勝手に交配され、「ウムヒョン」という新品種として出回り輸出されています。
このようなケースは、膨大な開発費をかけて品種改良を重ねてきた、メーカーの権利をうばいとることになります。しかし、これらの侵害行為をすべて把握するのは難しいのが現状です。
この

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トマトは"野菜"か"果物"か

トマトは"野菜"か"果物"か

19世紀のアメリカでは、野菜に関税をかけ、果物は無関税であった。そのため、トマトは果物なのか野菜なのかで裁判沙汰になったことがある。

植物学的には「フルーツ」というのは植物の果実のことである。そのため、トマトは果実である。しかし、フルーツという言葉は、植物学以外でも用いられる。つまり、デザート的に食べるものがフルーツであり、料理の食材として調理して食べるのが野菜である。結局裁判でも、「トマトはデ

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イネ科植物の紫外線ダメージ修復

イネ科植物の紫外線ダメージ修復

イネ科の植物は、紫外線でダメージを受けたDNAを修復する、他の植物にはみられない仕組みを持っている。

太陽光に含まれる紫外線は生物のDNAを傷つけ、人が浴びすぎると皮膚がんの要因になる。植物も同様に紫外線焼けをおこす。

イネやコムギ、トウモロコシなどのイネ科植物は、酵素の状態を変化させ、光合成を担う葉緑体を修復する。

東北大学の研究チームは、酵素を部分的に合成して、輸送を担う部位を特定した。

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植物の成長を抑制する

植物の成長を抑制する

九州大学などの研究チームは、植物の成長を抑える新しい物質を開発した。この物質を植物が吸収すると、根が浅く張るようになり、水や栄養分の摂取量が減り、生育状態が悪くなるという。

多くの植物の根は本来、重力方向に沿って伸びていく。今回開発した物質を与えると、根が伸びる方向がかく乱され、浅く張るようになる。重力を感知するのに関わる植物ホルモン「オーキシン」の流れが根の中で変わり、伸びる方向が混乱するとみ

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花咲かじいさん

花咲かじいさん

民話「花咲かじいさん」には、灰をまいて枯れ木に花を咲かすおじいさんが登場する。この灰のように開花の時期を操る物質の研究が進んでいる。

植物は季節の訪れを知る体内時計をもつ。フロリゲンがその役割を果たしている。花芽を作るスイッチとしてはたらく植物ホルモンだ。

名古屋大学の辻寛之教授ら研究チームは、フロリゲンの働きに作用する物質の研究を行っている。植物の成長の針を早く進めたり遅くしたりする。課題は

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【生物史】あらゆる物を錆びさせる毒性物質の誕生

【生物史】あらゆる物を錆びさせる毒性物質の誕生

38億年前、地球に生命が出現した。
そして、ある時、単細胞生物である植物プランクトンが出現する。葉緑体を持つ植物プランクトンは、光合成を行い、二酸化炭素と水からエネルギー源を作りだす。

ところが、光合成を行うと酸素を排出してしまう。酸素は本来、あらゆる物を錆びつかせてしまう毒性物質である。鉄や銅などの頑丈な金属でさえも酸素にふると錆びついてボロボロになってしまうほどだ。
ところが、植物の作り出し

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植物を使ったワクチン開発

植物を使ったワクチン開発

動物原料と比べて安全性の高さなどのメリットがある植物からのワクチン開発に取り組む。

植物を利用してワクチンを作ると、動物原料のワクチンと比べ、管理やスケールアップがしやすく、ワクチン開発のコスト低下にもつながると考えられています。

ワクチンの主成分の候補となる重大な感染症の病原体ウイルスの抗原をタバコで増殖させ、抽出して、精製する研究が行われています。

『参考資料』

https://www

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灰色かび病菌

灰色かび病菌

植物はそれぞれ独自の免疫機構を持ち、抗菌物質を作って病原菌から身を守る。そのため、多くの病原菌は特定の植物にのみ感染できる。
ところが、灰色かび病菌はトマトやピーマンなどの野菜、ブドウなどの果物、花卉(かき)など1400種類を超える植物に感染する。

名古屋大学の研究チームは、灰色かび病菌内にある、植物が作り出す抗菌物質を解毒する酵素を合成する遺伝子をつきとめた。

これまで、灰色かび病菌への対策

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植物のCO2センサー発見

植物のCO2センサー発見

植物は、二酸化炭素と水を取り込み、太陽の光をエネルギーにして酸素とデンプンなどの養分を作る「光合成」を行いますが、大気中に0.04%しかない二酸化炭素を取り込む詳しいメカニズムは分かっていません。

名古屋大学の研究チームは、シロイヌナズナという実験植物で、気孔の開閉に関連するたんぱく質を調べたところ、CO2の濃度に応じてMPK4とHT1という2種類のたんぱく質の結合が変わることを突き止めた。(こ

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