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農業・漁業の技術

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最強・最悪の侵略的植物

最強・最悪の侵略的植物

「最強・最悪の侵略的植物」と呼ばれる外来種の水草「ナガエツルノゲイトウ」が国内の水田や河川で生息域を広げ、農業や治水関係者を悩ませています。

魚や水草を観賞するアクアリウム向けに日本に持ち込まれ、野外に広がったとされています。

水陸両生のうえに生命力が極めて強く、刈り取っても、ちぎれた茎や根の断面から再生します。除去後も枯死を確認して運ばないと、こぼれ落ちて拡散します。

水田を覆い尽くしてイ

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センサーで植物の健康状態管理

センサーで植物の健康状態管理

東北大学の研究チームは、植物の健康状態を光で測定するセンサーを開発した。葉の裏につけて栄養状態やストレスの度合いを測り、データを無線通信で送る。

農作物の栄養状態の悪化に早めに気付ければ、肥料を与えて状態を改善し収量を確保できる。

上空からドローンなどで測る手法もあるが、日光の当たり方が日によって違い、データの補正が必要になり、コストもかかる。

今回開発されたセンサーはコストを抑え、装置内の

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レーザーで害虫駆除

レーザーで害虫駆除

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の食用作物の最大40パーセントが、植物病害虫の被害によって失われているそうです。

シャープは、青色半導体レーザーを使った害虫駆除システムの研究開発を行っています。ガの映像をカメラで認識、パソコンで位置を予測し、光学スキャナーでレーザーの照射角を制御する。2メートル以内の距離から動き回るガの映像を追尾してレーザーを的確に照射できるといいます。

ただ現時点で

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天ぷら油をリサイクル

天ぷら油をリサイクル

中部電力は社員食堂で調理に使った天ぷら油のリサイクルに取り組んでいる。

再利用先は、中部電力パワーグリッドの社員が樹木の伐採時に使うチェーンソーの潤滑油の原料となる。

伐採検証を行い、使用済み天ぷら油から精製される植物由来の生分解性潤滑油は土壌汚染の心配がなく、潤滑油の性能に問題がないことが確認されている。

家は天ぷら油は新聞紙に染み込ませて燃えるゴミにしてしまっているけど、回収方法と精製方

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栽培と養殖の両立【アクアポニックス】

栽培と養殖の両立【アクアポニックス】

アクアポニックスは、魚の排泄物を微生物が分解し、植物がそれを栄養として吸収、浄化された水が再び魚の水槽へと戻る、水耕栽培と養殖を掛け合わせた、循環型農業です。

これまでアクアポニックスで育てられるのは、レタスなど葉物野菜の栽培が中心でしたが、研究の結果、農薬や化学肥料を使わずに、通常より甘いイチゴを年間を通して栽培できることを実証した。アクアポニックスでは通常よりも酸味が少なく、甘いイチゴを栽培

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ジャガイモの品種

ジャガイモの品種

ジャガイモと言えば男爵とメークインが日本では100年以上栽培され、圧倒的知名度です。

 男爵は初期育成がよく比較的地上部分の成長が早く、早生であるため北海道の輪作体系に合っているため広く普及しました。

メークインは、糖分が多く、低温貯蔵すると甘みが増え、煮込んでも煮崩れしにくい特徴があり普及しました。

しかし、男爵は目が深く調理するときに皮むきがしづらい、皮むき後に変色しやすいという欠点があ

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フルーツの王様

フルーツの王様

「フルーツの王様」、「悪魔のフルーツ」とも呼ばれるドリアン。沖縄県石垣島で日本初のドリアンの商業生産が始まります。

この取り組みのきっかけは、日本ドリアン普及協会名誉会長で、自身も大のドリアンファンという河野太郎デジタル大臣の「沖縄でドリアンが作れませんか?」という一言。

日本ではあまり馴染みのないドリアンだが、中国では1兆円を超える市場規模がある。原産地はマレーシアで、タイやベトナムなど東南

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プラズマアグリ

プラズマアグリ

今後、世界的な人口増加に伴い、世界的な肥料の争奪戦になる可能性があると言われています。そのため、国内で肥料そのものを生産拡大させていくことは食料自給率を上げていくためにも極めて重要なステップになります。

農業における三大栄養素は窒素、リン酸、カリウム。窒素についてはほぼ輸入(97.5%)に依存しており、特に窒素は植物の成長に欠かせない要素です。現在利用されている窒素肥料の生成方法はハーバー・ボッ

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発電菌

発電菌

東京農工大学などの研究チームは、愛媛県内のみかん園地において微生物燃料電池の実証試験を開始します。

微生物燃料電池は、土壌微生物「発電菌」の働きを利用して発電します。「発電菌」は、植物が光合成により作り出す栄養を吸収し、分解する際に電子を放出する性質があります。

この、放出した電子を土壌に差し込んだ負極に集め、接続されたセンサー等を通じて正極に移動する際に電流が流れる仕組みを作ります。

効率

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シャワーヘッドの新たな可能性

シャワーヘッドの新たな可能性

微細な泡を発生させるシャワーヘッドは節水や美容といった面で家庭でも使われている方が多いのではないでしょうか。

そんなシャワーヘッドの新たな活用方法を、シャワーヘッドメーカーは模索しています。

シャワーヘッドを使うと、海水に直径0.001ミリメートル未満の酸素の泡を発生させられます。この泡は浮力が弱いため浮き上がらず、水中をただよい、水中生物の成長に良い影響を与えます。ウニの養殖では実を大きく育

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ビールの原材料『ホップ』

ビールの原材料『ホップ』

ビールの原材料であるホップの収穫時期は日本では一般的に年1回夏季のみで、収穫したホップの品質評価も年1回しか行えない。

キリンはホップの屋内栽培技術を確立し、屋外では夏季にしか収穫できないホップを他の季節でも収穫することに成功した。

この技術によって年に複数回ホップを収穫、品質評価でき、天候などの外部環境にも左右されないため、ホップの品種改良や栽培技術開発のサイクルを早めることができる。

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節水型稲

節水型稲

東京農工大のスタートアップ企業は、水の使用を抑える「節水型稲作」の実証研究をしています。
稲作には水の管理が重要。「作業の約3割は水管理」で、水田に引き込む水の量や水位を田んぼに出向いて確認するなど、農家にとって大きな負担になっています。

「菌根菌」は植物の根と共生し、菌糸を張り巡らせて養分になるリン酸や窒素を吸収、植物に供給する。植物が光合成で作った炭素化合物や糖をもらいエネルギー源にします。

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なぜ植物は水をあげないと枯れてしまうのに、水をやりすぎると枯れてしまうのか?

なぜ植物は水をあげないと枯れてしまうのに、水をやりすぎると枯れてしまうのか?

植物を育てていると、水のやりすぎで枯れてしまうことがあります。水をあげる量とタイミングは本当に難しいです。
水のやりすぎで植物が枯れてしまうのは、水びたしの土では根が呼吸できずに腐ってしまうからです。根の細胞も葉や茎の細胞と同じように、生きていくために酸素が必要になります。
 
ちなみに、イネは田んぼに水をはっていても成長します。これは、イネの茎の真ん中には大きな穴が開いていて、これが大気中の酸素

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家庭菜園で知っておきたい害虫たち

家庭菜園で知っておきたい害虫たち

1 アオムシ
アオムシはチョウ目(チョウやガ)の緑色の幼虫のことで、多くの種類がいます。
天敵から身を守るために植物と同じ緑色をしているため、見つけにくく気がつけば葉や果実に穴が空いていることがよくあります。ようやく発見したときは丸々大きな体になっていて、農薬も効きにくいです。アオムシの親であるチョウやガは満月の頃に産卵することが多いといわれています。3~4日後に孵化して、こっそり葉を食べ始めます

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