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理想の会社は「再現性」がカギ

column vol.1130

経営(リーダーシップ)は経験を積めば積むほど、学べば学ぶほど、難しいものだと思います。

リーダーは当然、社員みんなの幸せを願ってさまざまなことを考え、話をしますが、目線が合っていなかったり、知識や経験の差によってハレーションが起こることもしばしば…

意識や想いが同期していくには想像を絶する対話が必要ですし、…なかなか相手が腹落ちまでするというのは難しい

結果、リーダーは「これは社員みんなのためなんだ!」と腹を括り、鬼になる

みんなに熱意を語り、ようやく、みんなが自分の意見や想いを前向きに捉えてくれたと喜んでいたら、…実はリーダーが面倒臭いから付き合っているだけで、面従腹背状態

理想を語るリーダーは、すっかりと独裁者になっているパターンが多いのです…

私も副社長になって4年目ですが、さまざまなつまずきを経験してきました…

…今もつまずいてばかりですが…😅、やはり大切なことは理想の会社を「We」で考えることだと思っています。

当然、自分の理想も心の中では大切にします。

しかし、集まっているメンバーが同じ理想かは別ですし、社員それぞれで理想は違う

その中において、想いの重なる部分を軸にして目指すべき未来とプロセスを考えていく。

そんなことが肝要だと思っています。


従業員とのギャップを見極める

こうした考えをさらに深めてくださる素晴らしいリーダーシップ論に出会いました。

美容サロン「Dears」代表、北原孝彦さんの知恵です。

〈PRESIDENT Online / 2023年10月12日〉

北原さんといえば、2015年美容室を初出店してから、たった5年全都道府県出店を達成。

年商8億規模の通販サイト300社以上が登録するHP事業など、さまざまなビジネスを成功させる、まさに超敏腕経営者です。

そんな北原さんは、離職率の高い美容業界において、このように指摘しております。

従業員の離職が多い職場は『設定』と『設計』が間違っている

つまり、経営者は「自分が作りたいと思っているもの」「やりたいと思っていること」が、従業員からも必要とされているかどうかを、まずは冷静に見極める必要があるというわけです。

そもそもギャップがある状態で理想をぶつけても従業員からすれば重荷になるだけでしょう…

例えば、美容師になる際、新人の人が思う理想の姿とは何でしょう?

恐らく、多くの人が「カリスマ美容師」になりたいと思うのではないでしょうか?

そしてサロン経営者は、それを叶えられているからお店を持てていると思います。

「夢が叶った」、だから従業員にも同じ夢を叶えさせてあげたい

別に悪いことではないですよね?

一方、北原さんはこのように指摘しています。

多くの美容室では、求人の募集を出しても人が集まらないか、もしくは集まったとしても、いくつものお店を渡り歩いて、疲れ切った美容師がほとんどです。

「負」を理想論で解消しない

…つまり、集まった中途社員が求めているのは、カリスマになることではなく「無理なく、安心して働くこと」です。

美容師さんの仕事は集中力と体力を駆使する職業。

誰しもスーパーマンにようには働けません。

自分の体に負担をかけ過ぎない範囲でベストを尽くしたいという方の気持ちも分かりますね…

そして、北原さんは離職率の高さについて、最重要課題を3つに絞ります。

①休みが取れない
②給料が少ない
③人間関係が気に入らない

そして、この3つの課題を徹底的に解消するようにしているのです。

例えば、「①休みを取れない」について、Dearsでは「週休3日制」を採用。

これにより、例えば育児中の社員の場合、週休2日だと子どもに全ての時間を取られてしまいますが、週休3日であれば、残り1日は自分の時間を持つことができるというわけです。

さらに、働く時間を自由に選べるフレックス制を導入。

次回予約を採用しているので、自分が休みたい日にちに合わせて調整すれば、1週間の旅行などの長期休暇も可能です。

また、人間関係を良好に保つことに対しても理想を押し付けない姿勢を見せています。

普通は従業員の「結束」を固めようとする傾向にあり、そのため一般企業でも朝礼ミーティングを行うことが多い。

一方、北原さんは「大事だから仲良くなりたい」ではなく、「大事だからこそ、あえて距離を詰めない」という考え方も大切ではないかと考えています。

無理に仲良くさせようとするから、関係もこじれる。

まずは、心地よく仕事をできる環境を優先する。

その中で無理なくお互いを思いやれる状況をつくるという考えなのです。

つまり、「カリスマになれ」「仲良くしろ」と理想論で従業員の負を解消しないということですね😊

「再現性の高さ」が求心力になる

理想を押し付けない経営により、従業員の心身が保たれ、パフォーマンスの向上につながる。

リーダーが特に気をつけないといけないのが、無いものをねだってはいけないということでしょう。

その人のあるものでベストを尽くせる環境を築き上げていく。

結果、一般的なサロンの美容師1人あたりの1ヵ月の平均的な売上が50万~60万円なのに対し、Dearsでは、どの美容師も月80万~100万円をコンスタントに売り上げているそうです。

この生産性の高さを深く知りたい方は、ぜひ北原さんのこちらの本をご覧くださいませ。

北原さんは、

設定とは、再現性のあるものをどういう人が喜んでくれるのか?

ということを大事にしています。

北原さんのお店に集まる美容師は「安心して働ける環境」を求めている人が多いわけで、そうした人たちが誰もが活躍しやすい「再現性のある設定」をしているから、高収益と働きがいのある職場につながっているのでしょう。

「こういう人が欲しい」という欲に囚われない。

集まってくれている仲間とギャップを埋めながら、共に理想の会社をつくっていく

これは、中国史上最高のリーダー指南書と呼ばれる『貞観政要』にも通ずる考えですね。

ちなみに、『貞観政要』は徳川家康が読み天下を統一し、最近では栗山監督が読みWBCで世界一になったことは有名です。

理想の会社を「We」で考える

そんなことを私も大切にしていきたいと思っています😊

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