「身だしなみ自由化」が救う未来
column vol.1139
小売業の大きな課題の1つが「人財不足」。
それは、それは切実なものがあります…
一方、課題解決に向けてキラリと光る取り組みも増えています。
その1つが接客スタッフの「身だしなみ自由化」です。
〈読売新聞オンライン / 2024年2月10日〉
接客スタッフといえば、これまで「茶髪禁止」「ピアス禁止」など、身だしなみに関する厳しいルール(制限)があることが一般的でした。
実際、マイナビが昨年実施した「非正規雇用市場における採用・求職動向レポート(2023年5-6月)」でも、
と回答。
制限を緩和しない理由を聞いたところ
などといった意見があり、未だ業界全体としては慎重な姿勢が大勢。
それでも、緩和する企業においては、多くのポジティブな結果が見られるのです。
パイオニアが示すメリット
自由化のパイオニアといえば、スターバックスコーヒーです。
〈ITmediaビジネスオンライン / 2023年11月27日〉
21年にドレスコードを改訂。
特に注目なのが髪色の自由化で、以前は制限があったものの、改訂により何色でもOKとなったのです。
ドレスコードを自由化したことで、どのような変化があったのか?
そこで昨年、社内のスタッフを対象にした「実態調査」を実施。
まず、「 ドレスコード改定後に、少しでも髪色を変えたパートナーはいましたか?」という問いには
と回答。
「ドレスコード改定後、店舗パートナーがスターバックスで働きたいと思うきっかけになったと感じましたか?」という問いでは
と答えています。
ちなみに、先ほどのマイナビの調査でも、職場の服装や身だしなみの自由化に対する賛否を聞いたところ
となり、賛成派が8割を超えています。
さらには、「服装・身だしなみの自由化により仕事探しや働く意識に影響があるか」という問いには
という結果に。
まさに今回テーマとなっている「身だしなみ自由化=人財難の解消」につながりますね😊
自由化=モチベーションアップ
それからもう1つ重要なのが、身だしなみ自由化により、モチベーション&パフォーマスがアップするということでしょう。
マイナビ調査の別の設問で「自由化に賛成の理由」を聞いたところ
ということが明らかになっております。
それに、「従業員同士の会話のきっかけになるため」とありますが、スターバックスでも同様の声が挙がっています。
さらにスタバでは、お客さんとのコミュニケーションのきっかけになるという声もあったのです。
ちなみに昨日、【リーダーは「聞く」じゃなく「聴く」】の中で「内発的動機づけ」についてお話ししましたが
仕事で大きな成果をあげるには、達成感や充実感といった内面から湧き出るやる気が大切になります。
そして、自己決定の度合いが高くなるほど、モチベーションも高くなることが分かっているのです。
身だしなみを自由に選べるということも
など、自らが働きやすい服を考えることによって、自発的なモチベージョンが生まれることにつながります。
これは「自己決定理論」と呼ばれる心理効果であり、非常に有効なのです。
自由化が多様な人財の受け皿に
最後に1つ押さえておきたいのが、身だしなみ自由化は多様な人財を呼び込むことになります。
スターバックスの調査報告の最後に、このような記述があります。
「人種」、つまり外国人財の力を頼るための「自由化」でもあることが示唆されているのです。
実は、スタバだけではなく、他の企業でもそのような考えが見られます。
マイナビのキャリアリサーチラボ研究員・三輪希実さんは
と指摘。
昨年8月、アルバイトに自由な髪の色を認めたすかいらーくホールディングスでも
と自由化についての説明をしております。
帝国データバンクが全国約2万7000社を対象に行った従業員の過不足状況についての調査結果によると、昨年10月時点で、非正規社員が不足していると感じる割合が最も高かった業種は「飲食店」。
その割合は…
にも上るのです…(汗)
まさに喫緊の課題である人財不足解決の一手に、身だしなみ自由化を検討する企業はますます増えていくでしょう。
時代に合わせた柔軟な決断が、持続可能な会社づくりの大きな一歩になりそうですね。
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