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育成のカギは「教えない」こと?

column vol.1012

5月もすっかり半ばですね。

4月に初めて上司になった方や、出世して新しい役職に就いた方、調子はいかがですか?

にぶつかっていませんか??

4月は意気揚々とスタートダッシュを決めたものの、当初の理想通りにいかないなぁ…と思うのもこの時期です。

部下を育て、導くことというのは、生涯の学びだと私は思っています。

でも、きっとヒントはあるはずです。

というわけで、本日も賢者のお知恵を拝借したいと思います。

その方とは、研修の企画・講師を年200回、トータル2000社、累計2万人を超えるビジネスリーダーの組織づくりに関わってきた組織開発コンサルタントの高野俊一さんです。

高野さんの育成術のポイントは「育てない」ことにあります。

〈東洋経済オンライン / 2023年4月14日〉

えっ!!育てない??

と思う方もいらっしゃるでしょう。

では、早速その真髄に迫ってみたいと思います。

「手取り足取り」の教育では育たない

初めて上司の方や、初めてチームのリーダーになった方は、きっと「頑張らないと」と肩に力が入っていることでしょう😊

まずは、一旦その肩の力を抜いてみましょう。

高野さんはやる気に満ち溢れた上司やリーダーを素晴らしいとしながらも、育てようという思いの強い人には次のような傾向があると仰います。

・部下の意見を聞く前に、細かく指示を出す
・指示どおり動かないと叱る
・代わりに自分がやってしまう

私も昔はそうでした…(汗)

しかし、部下に教えようとすればするほど、関わろうとすればするほど、相手は「考えなくなる」というデメリットが生まれます。

…そりゃそうです。

上司のプレイヤーとしての優秀さを見せつけられながら、さらに「この人は確固たる答えを持っている」と思わせてしまっているわけです。

この関係を続けている限り、部下イエスマン指示待ち人間になってしまう…

上司の言われたことだけをこなすのが上手い人

ということですね。

やはり、さまざまなことを主体的に考え、実行し、成果を出せる自律型人間を育てたいわけです。

もしも、そうした人財を育てたいのであれば、このような三か条を心がけると良いと思います。

①やり方を教えず、「ゴールのみ」共有する
②やり方を質問してきたら、自分で考えさせる(教えない)
③良い部分を褒め、悪い部分はもう一度考えさせる

ポイントは「面倒を見る」という意識ではなく、いかに「見守るか(見守れる状況をつくる)」という意識です。

「初めてのおつかい」もそうですね。

何度も親と一緒に買い物することよりも、たった一度の「一人で買い物をする」経験をさせて方が遥かに成長できるわけです。

仕事も同じで、いかに自分で考えさせて、行動させるかが肝要なのです。

最も重要なのは「転ばせる技術」

ですから、何か教えたいことがあっても、なるべく教えないほうが良い

むしろ、自分から「学びたい」と思わせることが大切です。

「学ぶ」「真似ぶ」から変化した言葉と言われていますが、自発的に上司からさまざまなノウハウや技術を盗もう(学ぼう)と思ってくれることが理想なわけです。

なぜなら、教えてしまえば単なる知識の伝達になってしまいますが、本人が自発的に学んでくれたなら「知恵」になります。

知識は応用に耐えられないことが多いですが、知恵なら乗り越えることができる。

なぜなら「考える」というアクションがあるからです。

どうして上司はできるのだろう?

そうした模索があってこそ知恵は育ちます

でも、上司として良い所も見せたい、と思いませんか?

…はい、私も同じです…(笑)

そこで、活躍するのは「部下が転んだ時」と心得ます。

やはり、人は転ばない(失敗しない)と成長できないわけです。

科学の実験だって、スポーツだって、何度も失敗して成功を勝ち取っていくわけです。

…でも、仕事になると失敗を許容できなくなる

だからこそ、上司は部下を転ばせない技術を高めていくわけです。

ですが、私が磨きたのは部下が転んだ時に上手くフォローできる技術

私が今の会社に入って良かったと思う一つは、先代社長がたくさんの失敗をさせてくれたことです。

ただし、失敗した際は、徹底的に何が悪かったかを私に考えさせました

…そう、…そこは恐ろしいぐらいに…(笑)

…恐ろしい部分は今の時代には合ってないのかもしれませんが…、部下が転んだ時に助けられる能力と、そこからの学びを促す指導力は高めたいところです。

「経営者視点」で考えてもらう

そして、もう一つ上司として促したいのが「上位概念」で物事を考えてもらうということです。

よく言われるのが「一つ上の役職になったことをイメージして仕事をする」ということですが

欲をいえば「経営者視点」で物事を考えてもらいたい。

なぜなら私の経験上、経営視点で物事を考えようとする人は、要職に就くか、起業(独立)する人が多いからです。

経営の神様、松下幸之助さんも1934年の元旦の挨拶

諸君は、各自受け持った仕事を忠実にやるというだけでは充分ではない。必ずその仕事の上に、経営意識を働かせなければ駄目である。如何なる仕事も経営と観念する所に適切な工夫も出来れば新発見も生まれるものであり、それが本所業務上効果大なるのみならず、以て諸君各自の向上に大いに役立つ事を考えられたい

と仰っています。

〈THE21 ONLINE / 2023年5月10日〉

企業経営に限らず、何らかの目標を立ててその実現を目指す活動はすべて経営であり、その経営を上手く行なうためにはコツを掴むのが大切だということです。

私も人生は経営そのものだと思っております。

そして、上記の話の最後にこのように社員の皆さんにアドバイスをしています。

経営のコツここなりと 気づいた価値は百万両

つまり、教えてもらって分かるものではなくて、経験に経験を重ね、試行錯誤の後に「悟る」というわけです。

新卒社員でも経営者視点を持って、考えて考え抜く。

その連続こそが自分の可能性を余すことなく発揮する「自己内最高人財」に近づいていくわけです。

あっ、「自己内最高人財」というのは私がつくった造語でして、自分にとって一番ベストな人財に自分が育つという意味になります。

上司やリーダーは、そのことに気づき、自らも体現し、部下を導いていく。

当然ながら経営者は、皆が経営者視点で物事を考える文化を育むことが肝要ですね。

ちなみに、松下幸之助さんは

経営のコツの基本の基本たるのは

雨が降れば傘をさす

と仰っています。

雨が降れば傘をさすというのは当たり前ですよね…?

しかし、経営の場となると、土砂降りの中を傘なしで走ったり、晴れているのに傘をさしたりするわけです。

何のこっちゃ??

…と思う方もいらっしゃるでしょう。

この言葉、私も昔は正直よく分かりませんでしたが、最近とてもピンと来ています。

ということで、この続きはまた明日させていただきます!

ぜひ、次回を楽しみにしていただければ幸いです😊

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