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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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2022年6月の記事一覧

『聖書の想像力と説教 説教塾ブックレット8』(並木浩一・キリスト新聞社)

『聖書の想像力と説教 説教塾ブックレット8』(並木浩一・キリスト新聞社)

何冊か読んでいるシリーズ。どれも多くのことを教えられる。今回求めたものは、2009年発行のもの。タイトルからすると、やや地味な気がしていたが、とんでもない優れものであった。
 
一冊まるごと、並木浩一氏が語っている。その講演における質疑応答も掲載されており、加藤常昭先生をはじめとした説教塾のメンバーの鋭い質問が、講演者の言い足りないところも深く吐露させる役割を演じているため、さらに実りの多い書とな

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正解は定められない中で

正解は定められない中で

物事には、よい面もあるが、悪い面もある。それが人間世界での法則だとしよう。では、もしもすべてにわたりよいというものがあったとしたら、どうだろうか。あるいは、人間はそういうものを望むのではないだろうか。
 
そこに、神についての、ひとつの規定が見えてくる。すべてにわたりよいもの、それが神だ、と。
 
そんな馬鹿な。この世の中を見たまえ。なにもかもよいなどということがありうるだろうか。ヴォルテールの『

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沖縄

沖縄

差別は、自分はしていない、と言える者はいないだろう。「つもり」ならまだ分からないでもないが、きっぱり言い切ると、その人はもはや信頼の置けない人間だということを天下に示すことになるだろう。
 
私も、絶対にそんなことはしていない、などと言うつもりはない。ただ、こと沖縄については、そのようなことは決して言わないだろう、と思えることがある。実際に聞いた言葉である。
 
「沖縄には、米軍施設の7割が押しつ

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シン・ウルトラマン

シン・ウルトラマン

誕生日を結婚記念日としてくれたのは、妻である。小さな民家のつくりの教会での結婚式の日、梅雨の最中にその日はカラリと晴れた。
 
ここのところ、毎年、その日か近くの日に、共に休みをとって、ランチに出かけることにしている。私の平日の休みが偶々この時期にあることから、その日に合わせて都合をつけてくれる妻に、ひたすら感謝である。
 
今年はその日、妻の見たかった映画を観る朝から始まった。「シン・ウルトラマ

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カムカムに学ぶ聖書の真実

カムカムに学ぶ聖書の真実

2022年春に放送は終了したが、『カムカムエヴリバディ』の評判がいい。最初は戦争が絡み、どうしても暗く悲惨な印象があり心配されたが、後から思えば、それがどれほど必要な始まりであったかも分かる。秀逸な作品であった、と多くの人が認めるドラマであった。
 
ラジオ英語会話の平川唯一の祈りが、まるでそうさせたかのようであった。もちろん、そのラジオ番組が、ドラマのとおりの狸囃子の歌で“Come, Come,

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説教は命を与える

説教は命を与える

教会や宣教について、やたら「困難な時代」というフレーズを持ち出すと、説教になるというのは、思い違いである。その中で「信じていきましょう」「神に委ねて歩きましょう」としか結論が出なかったら、昭和期の教会学校である。もちろん、それが間違っていると言うつもりはない。
 
その間がないのだ。せいぜい、与えられた聖書箇所の説明を加えて、尤もらしい励ましで終わると、説教になるような気がするらしい。取り上げた聖

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『ここが変わった!「聖書協会共同訳」新約編』

『ここが変わった!「聖書協会共同訳」新約編』

(浅野淳博・伊藤寿泰・須藤伊知郎・辻学・中野実・廣石望 日本キリスト教団出版局)
 
2018年末に、およそ30年を経て新しい聖書を発行した、日本聖書協会。その名前を「聖書協会共同訳」と、長い名前にした。それまでの新共同訳の普及が著しかったせいもあってか、この新しい聖書の普及は、教会単位でどのくらいになっているか、私は全く知るところがない。身近に聞く事もないし、データも出てこない。
 
当初から、

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出来心

出来心

生活に困っている人のために配分されることになった給付金などについて、不正に取得している者がいることが明るみになり、国民は怒っている。当然である。これを国税局の職員がやっていたとなると、言語道断であるし、政府の面目が丸潰れである。だが、それだけを悪者にするわけにはゆかない。それ以前から、一般人の中で多々なされていることが浮かび上がり、テレビのワイドショー関係が、熱心に取材して伝えている。
 
こうし

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挨拶

挨拶

(6月から、聖書協会共同訳を標準にします)
 
   ささやかな平和
 
 マンション生活の特徴の一つに、やたらご近所さんと顔を合わせるというのがある。
 たしかに深い交わりは少ないかもしれないが、いつも見る顔と頻繁に会い、あげくは狭いエレベーターで二人きりになるということもしばしばである。
「こんにちは」「しつれいします」
 その場だけのつきあいではあるが、あいさつは欠かせない。子どもの中には、

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