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こころ

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ひとのこころ、見つめてみます。自分のこころから、誰かのこころへ。こころからこころへ伝わるものがあり、こころにあるものが、その人をつくり、世界をつくる。そんな素朴な思いに胸を躍らせ…
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#信仰

『宗教と子ども』(毎日新聞取材班・明石書店)

『宗教と子ども』(毎日新聞取材班・明石書店)

当然、と言ってもよいと思う。2022年7月8日の安倍元首相銃撃事件から、毎日新聞社に、ひとつの取材が始まった。
 
宗教とは何か。これを問うことも始まった。特にその狙撃犯が位置しているという「宗教2世」という存在に、世間が関心をもった。次第にその眼差しは、彼らを被害者だという世論を巻き起こしてゆく。そして、子どもに宗教を教えてはいけない、というような風潮が、「無宗教」を自称する人々により、唯一の正

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『みんなの宗教2世問題』(横道誠編・晶文社)

『みんなの宗教2世問題』(横道誠編・晶文社)

2022年の安倍晋三元首相の殺害事件により、背景にあった統一協会の組織と信者、その家族との関係が、一躍有名になった。それを受けて、信者そのものというよりも、その信仰活動による被害者として逃れられない位置にいる、子どもたちのことが取り沙汰されるようになった。いわゆる「2世」問題である。
 
以前からずっと統一協会問題に関わり、組織の批判と人的救出に尽力してきた弁護士やジャーナリストの声が、もはや他人

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『なぜ君は笑顔でいられたの?』

『なぜ君は笑顔でいられたの?』

(「福本峻平の本」制作委員会・いのちのことば社)

副題に「福本峻平 神と人とに愛されたその生涯」と書かれ、表紙にある写真は、車椅子で喉にチューブを入れた男性の写真がついている。これが福本峻平さんである。
 
とある関連でこの人のことを知った縁で、手に取ることとなった。
 
キリスト者が、困難な環境に置かれた中で、神を信じて乗り越えていった。病にも拘わらず喜びの人生を送り天に召された。このような話

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『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

『「神様」のいる家で育ちました』(菊池真理子・文藝春秋)

2022年の流行語とすらなった「宗教2世」であるが、本書はサブタイトルに「宗教2世な私たち」という形で、その実態を訴えることとなった。この言葉が世間に知れ渡ったのは、2022年7月の、安倍元首相の殺害事件を通してである。その容疑者の身の上を表す言葉として、それが浮かび上がった。
 
本書は、その前に書き上げられている模様。だから、決して「ブーム」に乗って売ろうとしているわけではない。尤も、本来集英

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お金の問題

お金の問題

私自身、経済観念がない。いや、誤解を招く言い方だ。浪費するという意味ではない。生活の切り詰めについては、大学時代にとことんやった。京都に行かないといけない、との思いだけで家を飛び出したみたいな恰好になり、親には申し訳ない気持ちばかりがあった。できるだけ学費の安いところを選んだし、住まいは古くてもよいから極力実費を抑えられるところにした。自炊が原則だった。食費は1日400円というノルマを課した。昔だ

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仏教の魅力

仏教の魅力

「お説教」という言葉がどこからどのように発生したのか知らない。「お」は多分、意味を低く下げるときの一種の揶揄として(「坊ちゃま」より「お坊ちゃま」のほうが悪いニュアンスになる)付けられたのではないかと推測するが、別に「説経」とも書くところをみると、仏教の伝統の中での用語ではないかと思われる。意味は、仏の教えを説くということのはずである。
 
近ごろ、僧侶が震災のときに人々を苦労して助け、慕われた場

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