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「またカップ焼きそば食べてるよ…」と妻にLINEした就労移行支援のリアル(投げ銭・無料で読めます)

就労移行支援の事業者はNPOや福祉団体が多く、家賃に大金は割けない。ランチや休憩のスペースなど無く、必然的に作業場や訓練所で各々昼食を取ることになる。毎日、カップラーメンとカップ焼きそばの人工的なニオイが鼻をつく。

「またカップ焼きそば食べてるよ…」

手持ち無沙汰な昼休み、わたしは妻にメッセージを送った。

訓練生のほとんどがカップラーメンやカップ焼きそばを毎日食べている。粗悪な油で揚げた麺、人工的な添加物と塩分。ほぼ、炭水化物と塩分と添加物といってよいそれは、肥満や高血圧、糖尿病の近道だ。つまり死への近道である。

普通の家庭が何気なく毎日作っている手料理。

しかし、一次障害に発達障害を持っている人や抑うつ状態の人にとって料理を作る行為は仕事以上に難関であることはあまり知られていない。具材や調味料の用意、段取り、下準備、時には並行でこなさないといけない上に火にかける時間は限られている。

複雑かつパラレルで脳が処理しきれないのだ。

精神科医も、掃除洗濯身なりは自分でやるように助言をするが、料理まで求めないことが多い。それほど高度なのだ。それに加え、手料理は時間と費用がかさむ。

特に、費用だ。

就労移行支援を利用できるのは、原則、無職の障害者である。お金に余裕があるはずもない。9割の訓練生は自己負担ゼロ円で利用していると言われ、その基準は前年がほぼ無収入か生活保護である。食に費用を割けるほど余裕は無い。

『1食100円におさめるようにやりくり挑戦中』

最近の趣味というお題で訓練生が順番に話していくプログラムで、ある訓練生が述べた趣味である。世間一般の趣味とはかけ離れたそれは、厳しい懐事情からであろう。

温かさと腹持ち、そして費用と手間のかからなさを考えればカップラーメンやカップ焼きそばは優等生だ。100円玉が2枚あればありつける。原価は50円に満たない。

無論、栄養価を度外視すれば、である。

精神疾患と疾患発症の統計データにこのようなデータがある。
肥満および糖尿病に罹患するリスクが1.5倍。

特筆すべきは、精神疾患の体内的や脳内における影響がリスクを上げるのでは無く、精神疾患者の食生活、摂取する食べ物がリスクを上げているいうところだ。

料理が難しい上に金銭的な余裕が無いがために糖質過多で安価かつインスタントな食事ばかりになり、その結果、肥満や糖尿病になる。貧困は心を壊すと前に述べたが、貧困は身体も蝕む。冒頭、死への近道と書いたのは、大げさではなく、喫緊の目の前のリスクなのだ。

『昨日、健康診断で高血圧と怒られました』

1食を100円におさめる趣味の彼は、大きく太った身体を揺らしながら笑っていた。血圧はその場で分かるが、おそらく採血の結果は後日であろう。想像の域を出ないが、血糖値もかなり高い値となっているはずだ。

昨今の研究では、脳内の神経伝達物質や自律神経の神経系の機能を正常に保つにはビタミンやミネラルが大切な役割を担っているというのが常識になっている。言わずもがな、神経伝達物質や神経系は精神疾患に直接影響を与える。

精神疾患を改善させる部位は必要な栄養素が欠乏し、身体は肥満と高血糖、高血圧にさらされる。そんな食生活を余儀なくされている人たちからカップラーメンやカップ焼きそばのニオイが漂う。

そのニオイのもとにはビタミンも無ければミネラルも無い。タンパク質すら無い。

冒頭の通り過剰で粗悪な糖質と塩分、添加物のみである。
生き抜くためとは真逆の摂取物でしかない。

就労移行支援は国民の税金が充てられ、医療費は国民が支払う国保や健保が充てられる。双方とも国民の負担は右肩上がりだ。カップラーメンやカップ焼きそばしか食べてこなかった彼らが病に臥した時、彼らに寄り添った声を健常者から聞くことはない。医師でさえ自己責任、自業自得と言い捨てるのだ。

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