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感想

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本や映画の感想。何かに触れて感じたこと。
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#読書感想文

太陽のパスタ、豆のスープ

太陽のパスタ、豆のスープ

"ドリフターズ・リスト"

わたしも、休職が延びて通勤訓練をしていた頃、やりたいことリストを作った。

主人公の明日羽は、結婚式直前に婚約を破棄され、失意のどん底にいる時に、叔母から"ドリフターズ・リスト"を作ることを提案された。

それは、「漂流する者たちの指針になるリスト」だそう。

わたしが今年、やりたいことリストを書いたのも、明日羽ほどではないが問題を抱えていた頃だった。
それでもわたしは

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やんごとなき休日

おうちでまったり読書をする。

今日はまさにそれをやった。

少し窓を開けて部屋の空気を入れ替えながら、かすかな雨の匂いをかぐ。

昨夜買ったコンビニのカフェオレグランデサイズを持ってきたテーブルには、庭から摘んできた花がプリンの空き瓶に飾られている。母がおすそ分けしてくれたものだ。
庭にいても気が付かないけど、部屋にあると花の香りを感じる。

YouTubeで「カフェ ミュージック」と検索すると

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青春って何歳まで?

青春って何歳まで?

またしても、益田ミリさんの本を読んだ。
今回は10年ほど前に発行された『青春ふたり乗り』

若い頃やり残した青春時代の恋愛について自虐を交えつつ綴っていて、図書館で読みながら何度かくすりと笑ってしまった。

青春って何歳までなんだろう?
高校生はたしかに青春。
大学生も青春といえる。
でもわたし、大学卒業する時に先生に、青春はこれからだぞ。と言われたな。それは、恋愛に限った話じゃないんだろうけど。

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人を好きになると哀しい

人を好きになると哀しい

30年経っても、素敵な文章は色褪せないのだなと思った。

江國香織さんの『綿菓子』はこれまでいったいどれだけの人々に読まれてきたのだろう。

初版発行は、わたしが生まれるよりも5年前のことらしい。

12歳の主人公が少女から女性へと変わる一歩を踏み出していくところを見届けたような気分。背伸びしているように見えるところも含めてとっても愛おしかった。

可愛らしくもあり、鋭さも持つ主人公のみのりは、祖

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ポップに怒ろう

わたしは自分の、「怒り」という感情に鈍感だ。そもそも「怒り」の発生確率が低い。

後になって、あの時言い返せば良かった。とか、あれ?わたし何も言わなかったせいで損してる?とかって遅れてムカついてくることもあれば、他人が怒っているのを見て、そんなことで怒るのか?と思ったり、怒るよりも先に悲しくなるほうが多かったりする。

怒りが少ないのはいいとして、あの時言い返せば良かった系の怒りはけっこう根深く忘

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言葉はいつもそばに居てくれる

言葉はいつもそばに居てくれる

2018年に出版された、西加奈子さんの短編集『おまじない』の文庫版が、最近発売されたということで読んでみました。

わたしは外で本を読むことが多いので、小説はいつも文庫版を購入しています。
『おまじない』の単行本の表紙は以前から本屋さんで目にしていたのですが、内容は知らずにいました。

読んでみてとっても良かったので、文庫版を待たずにもっと早く買うべきだったと反省しました。

この本は全部で8作の

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『私をくいとめて』読んだ。

綿谷りささんの『私をくいとめて』を読んだ。

読書は好きだけど、小説の知識は薄いわたしはどうやら、読書も映画鑑賞も一歩遅れているらしい。

恥ずかしながら、この小説が映画化されてすでに公開もされていたことを知らなかった。

そんなわたしですが、今日もこうして堂々と感想文を書いていくよ。ネタバレあるかもです。

まず、恋愛小説だと思って読んだらちがった。
いや、ちがわないんだけど。しっかりキュンとし

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分かりあえない者同士生きていく

分かりあえない者同士生きていく

結婚する、しない。子どもがいる、いない。それだけで女どうし、なぜ分かりあえなくなるんだろう。

という帯の言葉に共感と疑問をほぼ同時に抱いてこの本を手にとった。

これは、わたしがまだ20代で、周りのほとんどが独身であるから浮かんだ感想かもしれないけれど、今のわたしが感じたことを書いてみる。

今でも学生時代の友だちと会えば、学生時代に戻ったような時間を過ごせる。とはいえ、あの頃と比べて多少なりと

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