ポップに怒ろう

わたしは自分の、「怒り」という感情に鈍感だ。そもそも「怒り」の発生確率が低い。

後になって、あの時言い返せば良かった。とか、あれ?わたし何も言わなかったせいで損してる?とかって遅れてムカついてくることもあれば、他人が怒っているのを見て、そんなことで怒るのか?と思ったり、怒るよりも先に悲しくなるほうが多かったりする。

怒りが少ないのはいいとして、あの時言い返せば良かった系の怒りはけっこう根深く忘れられなかったりするからタチが悪い。

わたしが忘れられない怒りエピソードをここで成仏させてほしい。

例えば、道の向こうから猛スピードで自転車が来てぶつかりそうになったから止まったのに、その人に舌打ちされたとか。いや、ほんと、なんで?

ショッピングモールで運送業者にモールの従業員と間違えられて、建物の出入り口がわかりにくいと怒鳴られたこととか。その人の勢いに負けて謝っちゃったし。わたしは泣きながら、「あいつ帰り道にうんち踏め」と呪った。


「その怒りに哀しみが含まれていないなら、そんなに大した怒りではないのだ。」
と、益田ミリさんはエッセイの冒頭で話していた。

益田ミリさんのエッセイは、いくつか読んだことがあったけど、20年ほど前に発行されたこの『今日も怒ってしまいました』は、図書館で見つけて初めて読んだ。

日常の様々な怒りエピソードが綴られているのだが、毒を吐くというよりはツッコミのようで、所々でクスッと笑ってしまえるのが、痛快だった。

愚痴のような内容でも、話し方や最初に書いてあったような前置きのおかげで、聞き手が嫌な気持ちにならずに済むこともあるのかもなとも思い、普段愚痴が苦手なわたしも、たまにはそんなふうにポップに愚痴ってみたいと思った。

わたしが最初に話した怒りエピソードも、書いてみると、やっぱり大したことなく感じる。
たしかに哀しみが含まれていない怒りでもある。
哀しい怒りはいくつか覚えているけど、ここには書けない。
というか、他人に話せる時点で、怒りはだいぶ昇華されている気がする。

話し方によって、怒りのエピソードが他人からしたら笑えて、それで自分も笑えることもあるのなら、怒りの感情は必ずしもネガティブなものとは限らないとも思う。誰にでも沸き起こりうる感情だし。

怒りに対する共感が苦手なわたしとしては、笑えない愚痴は勘弁してとも思っちゃう。
時々見かける悪質な怒りの持ち主には、何度見ても引いてしまうし。

だから、話し方次第なんだなって。
愚痴に限らずだけど。

瞬発的に怒ることもできない上に、後から心の中でネチネチ思っているくらいなら、わたしも笑いに変えて消し去れるようになりたい。

悲しんでないで、はぁ?ムカつくー!って言ってみたい!いや、もっとポップに、語尾に♡をつけよう、ムカつく〜!♡

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