「JALどこかにマイル」でどこかへ旅に出たら。
どこかにマイルで旅に出ました。
どこかのまちに。
どこかにマイルとは
「どこかにマイル」とは、JALのマイレージプログラムの特典無料航空券のことで、どこに行くかはわからないけれど、通常よりも少ないマイル数で国内のとこかに行ける、マイレージ会員特典サービスのことです。
つまり、どこに行くかわからない、飛行機版ミステリーツアーみたいなかんじ。もうそれだけでワクワクしますよね。
といっても、めかくしして飛行機に乗るわけではありません。行き先は出発前にわかりますのでご安心を。
「JALが提案する4つの候補地のなかからどこになるかはお楽しみ!」と書いてあるように、4つの候補地のなかの「どこかにマイル」のですが、申し込むときにお気に入りの4つになるまで数回シャッフルが可能なのです。(日によってシャッフル回数の限度があるそうです)そして、3日以内に候補地が決定されます。ドキドキしますよね。
どこかにマイルの申し込み方
ではじっさいにやってみましょう。(自分が申し込んだときには、あまりにも興奮しすぎてスクショするのを忘れていたので、今回は一例としてやってみますね)
マイレージのページから、「どこかにマイル」ページに入ります。発着地と行きかえり、だいたいの搭乗希望時間、人数を入れて、旅先を検索するボタンを押します。ちなみに予約ができるのは出発日時の1ヶ月前からです。
今回たとえば、伊丹空港から9月26日の日帰りで検索してみます。日帰りの飛行機旅ってしたことないのですが、それもやろうと思えばできるってことですよね。なんかそれもかっこいいですよね。いつかやってみたいな。
日帰りで飛行機に乗って、たとえばひとつの美術館や、博物館に行くためだけの旅とかよくないですか? 大人だあ〜。国内にいい美術館いっぱいありますもんね。社会人大学生として学芸員課程を履修しているわたしとしては、あの県ならあの博物館に行きたいなとか、むくむくと妄想がふくらみます。本業はドレスの仕立て屋なので、その土地ならではの生地や衣装にも触れてみたい。
あっ、すみません、妄想がふくらみすぎて脱線していました。ええと、そう、9月26日の日がりで伊丹空港から検索してみます。すると、「あなたにおすすめの旅先はこちら」と、4つの候補地が出てきます。
こんな感じで4つの候補地と、観光案内がでてきます。どこも素敵。
わあっ!那覇いいな。琉球衣装、紅型、芭蕉布。山形といえば紅花。染めの体験とかできることないかしら。新潟だったら、「大地の芸術祭」に行きたいなあ。(妄想中)
あ〜でも、出雲は大好きな場所だけど、ちいさい頃から何度も行っているからなぁ。
こんなふうに、この4つのなかに、すでに行ったことのある場所なども含まれている場合がありますよね。「せっかくなら行ったことのない場所に行ってみたい!」そういう場合には再検索も可能なのです。
そこで、「旅先を再検索する」を押してみます。
すると新たな4つの候補地が出てきます。
仙台と鹿児島には行ったことないから行ってみたい。鹿児島なら「霧島アートの森」に行きたいな。長崎と大分は修学旅行で行ったことがあるけど、ずいぶん昔のことだし、あらためて行ってみたいかも。うん、4つとも魅力的♡ と思ったら、「上記のどこかに旅に出る(お申し込み)」ボタンをポチっとして申し込むのです。
そうすると3日以内に行き先が決定しました! とメールが来ます。ワクワク。行き先が確定したら、ホテルの手配や旅行の計画をして、出発日を待つだけです。
申し込んでみました
じっさいに申し込んでみました。今回は、夏休みの家族旅行として4人分で予約します。
もともと家族旅行に出かけようと、せっせと貯めていたマイルです。でもここ数年は旅行がままならなかったので、完全に「陸マイラー」と化していました。それでもポイ活やキャンペーンなんかも組み合わせて、ほんとにコツコツ貯め続けていたんです。
それがまさかこんなに旅に出られない日々が続くとはね。そのうちマイルだけが(陸で)どんどん貯まっていって、いよいよ期限切れでマイルが消滅してしまいそうに。それだったら「どこかにマイろうぜ」と。
さっそく出発予定1ヶ月前、日付が変わったタイミングで、検索をしてみました。楽しみにしすぎて数分ほどフライイング。そうしたらやっぱり日付が入れられなかった。だから焦りすぎだって。ちょっと落ち着こう、わたし。
ちなみにわたしの家族は、
娘:「おいしいものがあればどこでもいい〜」
息子:「空港に行けて飛行機に乗れたらどこでもいい〜」
夫:「温泉とかでのんびりできたらどこでもいい〜」
というタイプ。
わたしだけが、「おもしろい博物館・美術館があるところがいい」または「その地方独特の衣装や、または生地や染めや織りなど、その土地特有の繊維系特産品があるとこがいい」「なんならその両方があるといい」と具体的な欲望にまみれてギラギラと鼻息荒くしとるわけです。
さっそく検索開始!
ではさっそく、出発日を入れて、検索、ポチっ!
すると候補として出てきたのは、女満別(北海道)、青森、花巻(岩手)、福岡
わあ〜、北海道も入ってるんだ。すごい。北海道行きたい。花巻は宮沢賢治の街だから行きたい。う〜ん、でも福岡は何度か行ったことあるなあ。
夫:「おれは青森にも行ったことあるから、もう一回やってみよう」
とのことで再検索。
その後、何度か再検索し、
女満別(北海道)、熊本、宮崎、鹿児島
わたし:「いいんじゃない?」
夫:「うん、ここやったらどこでもいいで」
そして、この4つのどこかに行き先を決定したのです。
女満別(北海道)、熊本、宮崎、鹿児島のどこかにマイル
それから行き先が決まるまでのあいだが、ものすごく楽しかったんです。だって旅の楽しみって、半分以上は計画にあると思いません?
まだ行き先がどこなのかも決まっていないのに、ホテルの比較検討サイトで検索してみたり、それぞれの美術館や温泉を調べたり、グルメ情報をみたり。それが楽しい。候補地が4つあるってことは、その楽しみが、4倍あるわけですよ。最高ですよね。
日付が変わってすぐに申し込んで、いろいろ調べてからその日は就寝。翌日の午後にはもう行き先決定のメールが届きました。
はやっ! なんならもうちょっと焦らしてくれてもよかったけど、ホテルの手配があるから早めに決まったのはうれしい。
気になる行き先は…
メールを受け取ったのは、対面授業のために大学にいた時でした。昼休みでごはんを食べていたとき、JALからのメールに気がつきました。
うわ〜。ドキドキする。
気になる旅先は…
ドゥルルル……(脳内ドラムロール)
女満別!
北海道です。
やったあ!
内心、女満別(北海道)だったらいいなぁと思っていたのです。オホーツクの海鮮をはじめ北海道にはおいしいものがいっぱい、広大な景色、温泉もあって、家族みんなの希望が叶います。
それに空港近くの網走市におもしろそうな博物館があったのと、なんといってもアイヌの衣装。ああ、これは衣装に呼ばれたんだな。と思いました。
じつは「どこかにマイル」を申し込んだ日、ちょうど副業先の仕事に関係して、アイヌのタマサイ(タマサイと呼ばれるビーズを用いた首飾りなどの装飾品)について調べていたのです。タマサイとアイヌの衣装を重ねてつけた写真を見て、なんて美しいんだろうと思っていました。
じっさいに北海道でそのタマサイに出会えたとき、ああここへつながっていたんだなあ、と感動して泣きそうになりました。タマサイの「タマ」は玉であり「たましい」でもあるそうです。つらなっている。遠くてもつながっている。
さらにふりかえってみると、その呼び声は今年のはじめからもう聞こえていたのです。2月に大学の博物館学芸員課程の実習の一環で奈良の「天理参考館」に行ったとき、飾ってあったアイヌの衣装のかっこよさにしびれ、わたしは思わずスケッチをしていました。
樹皮の繊維で服をつくり、木の力、樹力を宿す。そこには悪い霊から身を守るまじないの模様が刺繍されているのです。
「めちゃくちゃかっこいいやん」思わずひとりごとをつぶやいていました。
きっとその呼び声は、ここからつながっていたんだなあ。行き先決定メールを見て、わたしはそう思いました。
わかっています。きっと、その日時で空席のある路線がオススメされるであろうことは、わかっているんです。でもわたしにとってはそれは「呼ばれた」ことに違いはない。そしてわたしにとっては「呼ばれた」と考えるほうが自然で意味があるし、わたしはことさらに意味(物語)というものを愛しているのです。とくに服にこめられた意味を。
行き先メールを受けとったわたしがまずやったこと
大学で「女満別」行きのメールを受け取ってわたしがまずやったことは、大学図書館で本を借りることでした。
まずは、その土地の歴史、民族、風土、習慣、作法を理解しておかなくてはね。その下調べ期間も楽しかったし、すごく勉強になりました。話題の漫画「ゴールデンカムイ」もちゃんと読みましたよ。
「どこかにマイル」でどこかにマイったら、最高だった。
さて、「どこかにマイル」で呼ばれて行った北海道。ほんとうに最高でした。美しい景色にもたくさん出会えました。もちろんおいしいものにも。
そのようすはまた追ってレポートしますね。お天気に恵まれて景色は最高でしたし、念願だった博物館にも行け、アイヌの衣装にもたくさん出会えました。
あ、そうそう、今回の機内でのおとも本は、JALの機内誌でも紹介されていた「旅のラゴス」(筒井康隆、新潮文庫、平成六年)
ふと本から目を離して窓の外を見たら、表紙と同じ景色が広がっていました。
すご。
旅はいつも、こんな奇跡を起こす。
この記事を書いている途中、JALの再生にも尽力された稲盛和夫氏の訃報が飛び込んできて、かなり衝撃を受けています。わたしのnoteでもたびたび、座右の銘として稲盛氏のことばを紹介をしていました。
じつは以前に勤めていた会社で、稲盛氏ご本人の講演を受けさせてもらえたり、その著書を拝見させてもらうなど、稲盛氏の経営フィロソフィーに触れさせてもらえる機会がたくさんあったのです。それなのに、会社員だったころのわたしにはそのありがたみがちっともわかっていませんでした。稲盛氏のことばがやっと「沁みた」のは、会社を辞めてフリーランスになってからです。本当にもったいないことをしました。心よりご冥福をお祈りいたします。そしてわたしはこれからもJALでどこかにマイります。
旅、さいこう。
だれにたのまれたわけでもないのに、日本各地の布をめぐる研究の旅をしています。 いただいたサポートは、旅先のごはんやおやつ代にしてエッセイに書きます!