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火の用心
四屯トラックが搬入口に付けると
膝の破れたエドウィンの尻ポケットから
作業用の手袋を引っぱり出して
ひとつ大きなため息をつく
日当を手にするまで
もうコンパネで指は挟まない
考えるのはただそれだけ
下手にバミり上手にバミり
平台を組み積まれた箱馬をわらう
転がしが入りシーリングが板を射す
ホリゾントが見せる青から赤への
季節をも操るグラデーション
一瞬、裏方であることを忘れる
緞帳が重たくゆっくりと降ろされ
"火の用心"の札が視界に入る
芝居という魔法の辿ってきた
気が遠くなるほどの道程が
今夜でお終いになればと
馬鹿な妄想に耽ってみる
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