高橋ゆい

過ごしやすい気候になりましたね。 夏の疲れが出てきてるのか、どうも疲れ気味です。 しっ…

高橋ゆい

過ごしやすい気候になりましたね。 夏の疲れが出てきてるのか、どうも疲れ気味です。 しっかり食べて睡眠を取って、冬を越す体力をつけようと思います。

最近の記事

村八分

「アタシもかたして」 媚びたわけではないけど 仲間に入れてもらえたなら きっと気持ちいいんだろうと 思って言ったことばだったのよ あまりにも次元が違い過ぎた 雲の上の存在だとはまさか 考えも及ばなかったから 軽い思いで言ったのよ 結果として凄まじい孤独感に 苛まれる破目となってしまった 自業自得と言わざるを得ないわね 今更わかったとしても後の祭り 元いた場所にはもう帰れない これが村八分というものね 受け入れる他はないのよ 「アタシもかたして」なんてさ やんごとないお

    • あなたがいなくなっても

      あなたがいなくなっても 私は泣かない 悲しみについてはもう 充分過ぎるほど知ってるから あなたがいなくなっても 寂しくなんかない 私はひとりではないし 私には歌があるから あなたが残してくれた ことばをこの胸に 私、生きていくわ あなたがいなくなっても 恐くなんかない これから往くべき道を 私はもう見つけたから あなたが愛してくれた 愛をこの胸に 私、生きていくわ いくら悩んでみても 答えなんかない あなたが生きたことが 何より大切   ‐~‐~‐~‐~‐~‐~‐

      • アレに追われて

        裏切られたんじゃない 期待し過ぎただけ 失ったんじゃない 手に入れてなかっただけ アレに追われて日がな一日 ビクビクと怯えてばかり アレが攻撃してくるから ワナワナと逃げ回るばかり 悪意に満ちた諸々から 距離を置く術を血眼になって 探し求める血も凍るような時間を 今日もまたぞろ過ごすだけ 傍にいなくて寂しいんじゃない いた時だって寂しかった 触れられないから辛いんじゃない 抱き合っていた時も辛かった アレに追われて日がな一日 今日もまたぞろ アレに追われて

        • 元締

          誰の人生を歩んでいるの アタシ、わからなくなった 元締がいて遠くから観てるの どっちが主体なのかわからない 彼女の食事を食べてるの アタシ、わからなくなった 愉しんでるのは、別の人格で 味も素っ気も全く感じられない 何十年もこんな感覚で生きていたら 卑屈にもなるし敵対心も定着する 所謂マジョリティーに対しても 迎合しないと生きていけない 苦しいのよアタシ、お願い助けてよ 淋しいのよ今夜も、お願い今すぐ 彼女の人生を歩んでいるの アタシが自ら創作したの 元締に操られて、

          不条理

          長年に渡る暴力の結果 とうとう殺してしまった ある女の人生を奪った訳だ 如何せんこの国は法治国家だから 病を触媒に殺しに手を染めても 裁かれもせずに生きていける のうのうと酒なぞ飲み耽り 適当な女と遊び呆けては 面白おかしく暮らせる なんという不条理なことなのか それではとても浮かばれまい 全くもって気の毒なことよ 後は裁きを下してくれる存在を 待ちながら暮らしていくのか 全くもって不本意なことよ 殺しに手を染めた者の心情は 決して解りはしないだろう 殺してない者なぞ

          あなたは優しい

          この涙は知ってる 嬉しいわけでもなく 悲しくも悔しくもない 怒りによるものでもない ただひと言 ”休みなさい”と 私に知らせてくれる 命の救済を担ってる涙 前にいちど助けてもらった 何度でも来てくれるとは 思ってなかったから 今回はちゃんと 素直になろう 自分にすら優しく出来ない者が 他人に優しく出来る筈がない この涙は堪えてはいけない それに、命に代えてまで 続ける価値があるのか 私がしてることは 考えなければ 休みなさい、怠け者と言われても 泣きなさい、涙が止まる

          あなたは優しい

          事象と対象

          なぜ音楽を続けてこられたのか 尋ねられたからこう答えた 「聴こえたから」 もし画家だったら多分 こう答えただろう 「見えたから」 指が効かなくなったとしても 描けない理由にはならない 奏でられない理由にも もちろんならない 芸術をやってるわけではない あくまでも表現なのだから 表現したい事象があって 伝えたい対象があれば 即座に成立するもの 聴こえなければ描けばいいのだし 見えなければ奏でればいいだけ 指が効かなくなればその分 感覚が研ぎ澄まされる 仮に腕をもがれた

          事象と対象

          間柄

          二度と逢えなくなっても 連絡すら取れなくなっても 関係性が無くなった訳ではない 二度と逢えないし 連絡も取れないという そんな間柄になっただけ 今さら何も悔やむことは無い 二度と触れられなくなったけど 声すら聞けなくなったけど 感じることなら出来る 関係性は今も継続してる これが縁というもの 観念するがいい

          簡潔に

          愉快な人生を送るのに 子どもなんか邪魔なだけと 出逢った時から言ってた だから貴女は子宮を棄てた 美しいコードを奏でるのに 五度はさほど重要ではないと 持論としてずっと主張してきた だから僕は左中指の機能を失った 足していったら面倒ばかり 引けばそれだけ軽くなる 人生もコードも簡潔に なんと理に適ったことか なんと崇高なことか 残った僕の指は働き者 新しい音を必ず見つけ出す 貴女は何処かで道を外した 愉快な人生を送られたのに 子宮だけに留めておけば

          あなた

          寒い寒いなぜ寒い ギラギラ照りつく太陽が あなたと浜辺で寝そべった 私の背中を灼いたから あれは遥か遠い夏 怖い怖いなぜ怖い 祭りが終わった帰り道 あなたが優しく耳元で 私を好きだと言ったから あれは遥か遠い秋 痛い痛い心が痛い 静かに過ぎるイヴの夜 あなたと挟む燭台に 銀の指輪があったから あれは遥か遠い冬 暗い暗い先が暗い 梅に桜に藤棚と あなたと愛でた花たちが ずっと続くと信じたから あれは遥か遠い春

          ヤクザと任侠

          殴り込みをかけたのは初めてではない 「ヤクザまがいは困りますよあなた」 「任侠だヤクザと一緒にすんなよ」 こんなやり取りを何度すればいいのか もういい加減疲れてしまいましたよ 人として筋を通すのも楽じゃない 厄介な性格に生まれ育ったものですよ 牢屋の中で考えあぐねて得た結論は 金さえ貢げば全て思い通りになる 長い物には巻かれた方がいいと 考える連中がこの組織の大半 ケーサツには二種類の人間しかいない 筋を通す者か長い物に巻かれる者か パトカーのツートンカラーが正に それ

          ヤクザと任侠

          照さん ② ~十日戎~

          「ねぇ、これ一緒に行こう」 照代が突然訪ねてきたのは、仕事始めから一週間ほど経った粉雪の舞う深夜だった。 十日恵比寿神社のえびす銭を、寒い中わざわざ届けてくれた。 宗教や信仰の話を振っても反応の薄い彼女だが、十日恵比寿神社の正月大祭だけは毎年欠かさない、どこかミーハーな信心深さにも僕は好感を抱いていた。 緋色のニット帽とモスグリーンのピーコートの彼女の頬は、雪だるまを拵えた後の少女のように淡く高陽していた。   肩の雪を軽く払ってあげると一目散に、黙々と湯気を上げるヤカン

          照さん ② ~十日戎~

          恋と行為

          恋をしましょう 街角で偶然逢ったら お茶でもいかがですか ええ、是非ご一緒したいわ などと簡単な会話を交わして 適当なカフェに入ってみましょう どうですか、お仕事の方は順調ですか ええ、このご時世ですから何かと などと無難な受け答えをして 反応を伺ってみましょう ところで、土曜日の夜はお暇ですか 私、貴方と違って水商売ですから はあ、これはまた失礼しました では僕が客として伺います 夕方にははち切れそうだった札入れも 二軒、三軒と河岸を変えるうちに なんとも心細くなって

          マーブルチョコ

          いつか深い眠りに落ちた 彼とお茶を飲みながら 吊革に掴まりながら 電話をかけながら 散歩をしながら 電極は吸盤式なのだから 痛くも怖くもないのに こめかみや額の肌が 厭だと訴えるのが 何故かわかった 身体の凡ゆる部位が各々 自分自身の意思の下に 機能していることを 私は初めて知った 君は明らかに病気なのだから 眠り姫と虐めた連中なんか 相手にしてはいけないよ 先生の言う通りにね 私マーブルチョコとか飴玉でも 先生がくれるんなら大丈夫よ なのにそんな恐ろしいもの 厭だ厭

          マーブルチョコ

          照さん ① ~送り梅雨~

            宅配便で届いた荷物の差し出し人欄には、馴染み深い住所と名まえが知らない筆跡で書かれてあった。    開けると見慣れた箱型のオーディオコンポだった。 CD、カセットテープ、ラジオ、そしてアナログレコードも聴けるティアック製の優れものだ。ターンテーブルに鳥獣戯画のポストカードがセロハンテープで貼り付けてあった。   ~アパートを引き払います。 荷物を整理してるのだけど、良かったら使ってください。優ちゃん前にプレーヤー壊れたって言ってたから。 色々とありがとう、さよなら~

          照さん ① ~送り梅雨~

          ちょうどいい世界

          この次はきっと出来るよ 失敗すると励まされる スゴイね、さすが! 上手く出来たら 誉められる わざと悪いことをしても 辛いよね、大丈夫よと 優しいことばだけが 必ず返ってくる 腫れ物にでも触るように 接してこられるのには 馴れ過ぎてしまった 所構わず唾を吐き散らしても 誰からも非難されはしない ステキね、個性豊かね! 何かと美談に変えられ またぞろ誉められる 曲者を避けるような態度で 他人が離れていくことが 恍惚となってしまった 引け目に感じることはない 寧ろ特権と

          ちょうどいい世界