事象と対象
なぜ音楽を続けてこられたのか
尋ねられたからこう答えた
「聴こえたから」
もし画家だったら多分
こう答えただろう
「見えたから」
指が効かなくなったとしても
描けない理由にはならない
奏でられない理由にも
もちろんならない
芸術をやってるわけではない
あくまでも表現なのだから
表現したい事象があって
伝えたい対象があれば
即座に成立するもの
聴こえなければ描けばいいのだし
見えなければ奏でればいいだけ
指が効かなくなればその分
感覚が研ぎ澄まされる
仮に腕をもがれたとしても
聴こえる内は続けられる
更に表現が洗練されて
事象と対象さえあれば
恒久的に続けられる