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『オペラ座の怪人』長い感想文ー2ー

『オペラ座の怪人』長い感想文ー2ー

 映画『オペラ座の怪人』でじたるりますたー版を観ていたく感動したので感想文を書きます。
 前回の続きで、カルロッタご機嫌取りの「プリマ・ドンナ」シーンから、雪の墓地のシーンまでです。

Prima Donna

 「ぷりまどんな」をしばらく「ぷり・まどんな」だと思ってました。よく分からんがマドンナなんだな、と。ちがった。「プリマ・ドンナ」だった。オペラの主役女優をそう呼ぶのか。

 怪人のクリステ

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『オペラ座の怪人』長い感想文ー1ー

『オペラ座の怪人』長い感想文ー1ー

 映画『オペラ座の怪人』でじたるりますたー版を観ていたく感動したので感想文を書きます。
 今回は、最初のオーバーチュアからクリスティーヌが初めて怪人の住処を訪れるシーンまでです。

 

Overture

 オークション会場に現れたよぼよぼ爺さんことラウル翁が、修復された古いシャンデリアの天井へ登って行く姿から若かりし頃を回想するようにして、本編に入ります。

 知っていても何度でもびっくり仰天

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『オペラ座の怪人』長い感想文ー序ー

『オペラ座の怪人』長い感想文ー序ー

 映画『オペラ座の怪人』デジタルリマスター版が上映されていました。
 でじたるりますたーが一体何なのかメカ音痴にはよく分かりませんが、とりあえず観に行って来ました。4回観に行きました。

 『オペラ座の怪人』との出会いはそう、3年前くらい。映画好きでは特にないけれどミュージカル映画はわりと好きだったので、Netflixにあるし有名だしこれも観ておくか~ていうくらいのノリで、なんの前知識もなく観始め

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まだ観ぬフランス映画 (仏詩)

まだ観ぬフランス映画 (仏詩)

『コーラス』(原題 "Les Choristes")というフランス映画をご存知でしょうか。

戦後間もなくの、孤児や問題児が暮らす寄宿舎を舞台とし、新しく赴任した音楽教師が、合唱を通じて少年達と関係を築いていく物語…らしいです。
予告版の映像やDVDジャケットからは、セピア色な雰囲気が漂っています。
日本ではいざ知らず、フランスではかなり流行ったそうな。

お気づきかと思いますが、私は観たことがあ

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ミレイ「古来比類なき甘美な瞳」と英詩

ミレイ「古来比類なき甘美な瞳」と英詩

 日本語の形容詞にも、最上級の活用があればいいのに。

 ないが故に、”sweetest eyes were ever seen" というシンプルにして孤高の一節が、「古来比類なき甘美な瞳」という大層な表現になってしまうのだ。

・・・・・・・・・・

 「スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨匠たち」展に行きました。最も目を奪われた、ジョン・エヴァレット・ミレイによる作品「古来比

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百人一首㊲「白露に風の吹きしく秋の野は」 と 『赤毛のアン』

百人一首㊲「白露に風の吹きしく秋の野は」 と 『赤毛のアン』

 『赤毛のアン』より、アンが進学に向けて勉学に励む日々を描写した一節です。キラキラと過ぎて行く楽しい日々を、金色のネックレスに喩えて慈しむ表現がステキすぎます。
 時は、春に向かって滑るように過ぎ行く冬。初秋の頃にこの一文を紹介するのは、題にもある次の和歌が思い起こされるからです。

(意訳)
秋の野では、草に置いた露に風がしきりに吹きつけ、真珠の玉が散り乱れているような光景です。

 前者からは

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